国連安保理 ロシアの主張に各国から非難相次ぐ

国連安全保障理事会ではロシアが「ウクライナで生物兵器が開発されている」と主張していることについて協議が行われ、国連はそうした開発計画を把握していないと報告したほか、各国からも「ロシアは安保理でうその情報を広げるべきではない」といった非難が相次ぎました。

ウクライナでの戦闘が激しさを増す中、ロシアは「ウクライナで生物兵器が開発されアメリカが関与している」と一方的に主張していて、11日、ロシアの要請で安保理の緊急会合が開かれました。

会合では冒頭、国連で軍縮部門のトップを務める中満泉事務次長が「ウクライナでの生物兵器計画の疑惑について報道は承知しているが、国連としてはいかなる計画も把握していない」と報告しました。
このあと各国からはロシアを非難する発言が相次ぎ、このうちイギリスのウッドワード国連大使が「うその情報を広げるために常任理事国の立場を悪用するロシアを許してはならない」と述べたほか、アイルランドのネイソン国連大使も「国際社会の平和と安全を守る安保理の役割をおとしめる有害な行為だ」と述べました。
さらにアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「うその背後にあるねらいは明白だ。ロシアこそが生物兵器や化学兵器を使用するのではないかと深刻な懸念を持っている」と述べ、逆にロシア側が生物化学兵器の使用に踏み切るおそれを指摘しました。

米国連大使が中国を非難 中国国連大使は米に反発

安保理の緊急会合では、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使が中国について「ロシアの乱暴な主張を支持し、うその情報を広げている」と非難しました。

これに対して中国の張軍国連大使は「アメリカの国連大使の根拠のない発言を断固として拒否する。むしろアメリカ軍が世界中の研究所で行っている生物兵器活動に国際社会は懸念を高めている」と述べアメリカに反発しました。

ウクライナ国連大使 「ロシアの不条理なうそを聞かされている」

安保理の緊急会合でウクライナのキスリツァ国連大使は、ウクライナ東部のマリウポリの状況について「ロシア軍の無差別攻撃で美しい街はほぼ破壊され、地元当局によると1582人の住民が殺害された。第2次世界大戦以来はじめて人々が集団墓地に埋葬されている」と述べました。

また、マリウポリで9日、ロシア軍の攻撃を受けた病院で撮影された女性について、ロシア側が、著名なブロガーでけがをした妊婦を演じている可能性があるなどと主張しているのに対し、キスリツァ国連大使はタブレット端末で写真を見せながら「よいニュースをお知らせする。妊婦のマリアンナさんは昨夜、元気な女の子を出産した。名前はベロニカだ」と述べ、ロシア側の主張を否定しました。

そのうえで「ウクライナで人々が殺され、街が破壊されているのに、われわれは安保理の議場でロシアの不条理なうそを聞かされている。ロシアの野蛮な行為に対抗するため断固とした姿勢が必要だ」と訴えました。