プーチン大統領などへの暴力的なSNS投稿 一時的に容認 メタ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐりフェイスブックから社名を変更した、アメリカのIT大手メタが、ロシアのプーチン大統領などに対する暴力的な内容の投稿を一時的に容認していることが明らかになりました。

アメリカメディアなどによりますと、メタは、ロシアやウクライナなどでのフェイスブックやインスタグラムへの投稿を対象に、ウクライナに侵攻しているロシア軍や、プーチン大統領、それにロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領に対する暴力的な投稿を一時的に認めているということです。

具体的には「ロシアの侵略者に死を」などといったコメントの投稿を認めるとしています。

一方、ロシアの一般市民に対する暴力的な投稿は認めていないということです。

メタは、ヘイトスピーチや、暴力を称賛する投稿などを削除する対応を強化してきましたが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が激しさを増す中、ルールの一時的な変更に踏み切ったものとみられます。

ただ、メタをめぐっては、去年、アメリカの連邦議会に暴徒化したトランプ前大統領の支持者らが乱入した事件でフェイスブックへの過激な投稿が実際の暴力行為につながったという指摘もあり、今回の措置は議論を呼ぶ可能性があります。

メタ幹部「言論の自由を守るため」

アメリカのIT大手メタの国際渉外部門のトップ、ニック・クレッグ氏は、自身のツイッターで声明を公表し「プーチン大統領によるウクライナへの軍事侵攻についての投稿をめぐる我々の方針について、さまざまな報道や議論がなされている」と認めたうえで「侵攻に対する自己防衛として、人々の言論の自由を守るためだということは明確にしておきたい」とコメントしました。

そのうえで「既存のルールをそのまま適用すると、ロシア軍の侵攻に対するウクライナの人々の抵抗や怒りを示す内容まで削除することになる」などとルール変更の理由を説明しました。

そして「ロシアの一般市民に対する差別やハラスメントなどの投稿は一切認めない」としたうえで、あくまで前例のない事態に対応するための一時的な措置だと強調しました。

ロシア メタを「過激派組織」と認定

ロシアの通信当局は11日、ロシア軍やロシア人に対する暴力行為を呼びかける内容を含む情報がインターネット上で拡散されているとして、アメリカのIT大手メタの傘下のソーシャルメディア、インスタグラムへのアクセスを制限すると発表しました。

ロシア国営のタス通信などによりますと、検察当局は、メタを「過激派組織」と認定し、ロシアでの活動を禁止するよう裁判所に申し立てたということです。

ロシアのプーチン政権は、ウクライナへの軍事侵攻に反対する声がやまないことに神経をとがらせ、情報統制を一層強めています。