“第2のアフガンにならないことを願う” ロシア専門家が懸念

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻についてプーチン政権にも近いロシアの外交専門家が、NHKのインタビューにこたえ、早期の停戦に悲観的な見方を示したうえで「泥沼化して第2のアフガニスタンにならないことを願う」と強い懸念を示しました。

ロシア政府系のシンクタンク「ロシア国際問題評議会」のアンドレイ・コルトゥノフ会長は11日、モスクワでNHKのインタビューに応じました。

この中で、コルトゥノフ氏は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について明確な評価を避けながらも、これほどの軍事衝突は予想できなかったと述べました。

そして「この2週間で世界が変わった。残念ながら多くの希望がかなわなかった」と述べ、プーチン大統領の決断に対して複雑な思いをにじませました。

また「当然、停戦して平和的な解決に向けた交渉を始めることが最大の課題だ」と述べる一方で、プーチン政権が、多大な犠牲を払いながらも首都キエフの掌握をめざしている可能性は排除できないとして、早期の停戦には悲観的な見方を示しました。

コルトゥノフ氏は「近い将来、終止符が打たれることを願うばかりだ。泥沼化して、ウクライナが第2のアフガニスタンにならないことを願う」と述べ、旧ソビエト時代の1979年から10年にわたるアフガニスタン侵攻を念頭に、強い懸念を示しました。

また、欧米や日本がロシアに科している経済制裁については「政権側の予想以上に強く、これまでにない新たな制裁の波が押し寄せている。世界経済と深く結びついている国に対する制裁としては、前例がないのではないか」と述べ、ロシア経済にとって大きな打撃になるだけでなく、世界経済にも影響を及ぼしかねないと指摘しました。

そして「ロシアのメディアは、欧米が科している制裁は指導部に対してではなく、ロシア社会に対するものだという考えを、積極的に広めている」と述べ、プーチン政権のプロパガンダによって、人々の不満の矛先が今後、欧米に向かう可能性にも言及しました。

今後の日ロ関係については、今回は日本も欧米と歩調を合わせる形で厳しい制裁に加わっていることから、当面、発展は望めないという見方を示したうえで「3年後か10年後か分からないが、正常で建設的、かつ互恵的な関係を築くよう努力すべきだ」と述べ、関係改善は双方にとって有益だという考えを示しました。

ロシア国内で広がり続ける、反戦の声については、プーチン政権への影響は、今のところ大きくないと分析したうえで「軍事作戦が長引き、戦費がかさんでくれば、社会の雰囲気は変わる。その時、この要素は重要になるだろう」と述べました。