“ロシア軍 キエフ中心部まで約15キロに” 米 国防総省高官

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍について、アメリカ国防総省の高官は10日、首都キエフの中心部からおよそ15キロの位置にまで近づいたと明らかにしました。
一方、ロシア軍は、病院や核関連施設など重要な社会インフラへの攻撃も続けていて、ロシア側の要求をウクライナ側に受け入れさせるため、一層圧力をかけるねらいもあるとみられます。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍について、アメリカ国防総省の高官は10日、首都キエフに北西方向から向かっているロシア軍の部隊は、一日で5キロほど前進し、中心部からおよそ15キロの位置にまで近づいたと明らかにしました。

また、キエフの東側からも前進し、およそ40キロの位置に到達したとしていますが、ウクライナ側が激しい抵抗を続けているとして、中心部に入るのにどのくらいの時間がかかるかは予測できないとしています。

一方、東部マリウポリで産科や小児科が入る病院が空爆で破壊されたことにロシアへの非難が一層高まる中、ロシア国防省は10日、病院への攻撃を否定しました。

これに対して国連のデュジャリック報道官は10日、現地の国連スタッフへの聞き取り調査の結果「病院への無差別攻撃があり、当時、病院に女性や子どもたちがいたことを確認した」と述べ、ロシア側の主張を否定しました。

国連人権高等弁務官事務所によりますと、先月24日から今月9日までにウクライナで、少なくとも549人の死亡が確認され、このうち41人は子どもだということです。

市民を安全に避難させることが当面の課題となるなか、ウクライナのゼレンスキー大統領は11日に公開した動画の中で「人道回廊」と呼ばれる複数の避難ルートを使い、10日だけでおよそ4万人が避難できたと明らかにしました。

ただ、ロシア側が避難ルートを設置したとしているマリウポリについては「ロシア側の攻撃が続き、完全に封鎖されている」と述べ、ロシアを厳しく批判しました。

一方、ウクライナの議会と原子力規制当局は、東部のハリコフにある核物質を扱う国立物理技術研究所が今月6日に続いて10日、ロシア軍から再び、砲撃を受けたとSNSで発表しました。

ロシア軍は、キエフの包囲に向けて軍の部隊を進めるとともに、病院や核関連施設など重要な社会インフラへの攻撃も続けていて、ウクライナの非軍事化などロシア側の要求をウクライナ側に受け入れさせるため、一層圧力をかけるねらいもあるとみられます。