“ソ連崩壊後のような混乱のおそれ” 経済制裁の影響で 識者

ロシアに対する欧米各国からの厳しい経済制裁の影響について、イギリス在住でロシア経済が専門のアンドレイ・モフチャン氏がNHKのインタビューに応じました。

このなかで、モフチャン氏は、アメリカなどがSWIFTとよばれる国際的な決済ネットワークからロシアの特定の銀行を締め出す厳しい経済制裁を科したことについて、「ロシアはもはや世界のマーケットから切り離された」と述べました。

その影響について「90年代のはじめのようにサプライチェーンが一気に崩壊し、その結果、大規模な企業倒産が起きるだろう。これは非常に深刻な変化だ」と述べ、ソビエト連邦が崩壊したあとのような混乱した時代に戻りかねないという見方を示しました。

また、経済が悪化することで国民の所得は減り、国が住宅や公共事業などに多額の補助金を出すことになるという見通しを示したうえで「完全な経済の国有化であり、事実上の社会主義体制への回帰だ。今やロシアは世界から閉ざされ、中国にだけ開かれた全体主義的な独裁国家になりつつある」と指摘しました。

そして、ルーブルが大幅に値下がりするなか、プーチン大統領が対外債務を外貨ではなく、自国の通貨ルーブルで返済することを一時的に認める大統領令に署名したことについては「デフォルト=債務不履行はすでに起きている。ルーブルで支払うと決定したことがそれを意味している」と述べ、すでにロシアの債務支払い能力に深刻な懸念があると指摘しました。

またロシア経済への影響を軽減する方策についてモフチャン氏は「簡単なことだ。停戦し、軍を撤退させ、ウクライナと何らかの合意に至るだけだ」と述べ、停戦することのほかに解決策はないという見方を示しました。