隣国ポーランドで避難者支援の日本人「心に傷 サポート必要」

ロシアによる軍事侵攻でウクライナから避難する人が増え続ける中、隣国ポーランドの街で支援活動に携わっている日本人男性がNHKの取材に応じ、「避難した人たちは母国に残った家族を心配し、一変した故郷の様子に深く傷ついていてサポートが必要だ」と話しました。

ポーランドの首都ワルシャワで日本語学校を運営している坂本龍太朗さん(36)は、みずからが住むポーランド東部、ツェレスティヌフに開設された「支援センター」で避難して来た人たちの支援にあたっています。

センターにはウクライナ各地の都市から1日に50人ほど、これまでに500人ほどが避難してきていて、坂本さんは受け入れや支援物資の調達を行っているということです。

ほとんどは夫や父親をウクライナに残したまま避難してきた子連れの女性で、離れ離れになった家族と頻繁に連絡をとったり、心配のあまり涙を流す人も多いということです。

また、半数ほどは実際にロシア軍の攻撃を受けた地域から避難してきていて、砲撃などによってわずか1日ほどで慣れ親しんだ故郷の風景が一変してしまったことに強いショックを受けているということです。

坂本さんは「自分の旦那さんやお兄さん、また息子さんなどを残して避難している人も多く、愛する家族とのつながりが引き裂かれたことにみんな強い憤りと悲しみを感じています」と話しています。

また、攻撃で変わり果てた故郷の様子にショックを受けている人も多いということで、「ハリコフから来た女性が自分の街を説明する時に『きれいな街でした』と過去形にして言い直したことがあり、本当に深い悲しみが感じられました」と話していました。

坂本さんたちは現在、地元の人たちと協力し合って支援活動を続けていて、今のところ不足している物資はほとんどないということですが、長期的な避難先の確保や日々増えていく避難者の支援がどこまで可能なのか、不安も感じるということです。
坂本さんは「いま目の前で避難してくる人たちがどんどん増えている状況で、長期化にどのように対応していくべきか話し合うような余裕がないのが実際のところです。ウクライナでは重要な施設やインフラ設備が破壊されているため、『戦争が終わったからそこで支援は終わり』というわけにはいかない状況で、復興までの長期間支援を継続する覚悟が必要だと思っています」と話しています。

そのうえで「ぜひ日本の人たちも避難者が来た場合は温かく受け入れていただきたいと思います」と訴えました。