ウクライナ ロシア 外相会談 “進展なかった” ウクライナ外相

ロシア側との会談後、記者会見したウクライナのクレバ外相は「交渉について話し合ったが進展はなかった。再び交渉をする用意はある。交渉の目的は戦争を止め、ウクライナの市民を救い、ロシア軍の占領から解放することだ」と述べました。

また、クレバ外相は「ウクライナ国内で苦しんでいる人に人道支援を届ける必要があることをラブロフ外相には伝えた」と述べました。

一方で停戦については「現時点でロシアは停戦するつもりはない印象を受けた。ウクライナは立ち向かう意思があり、決して屈することはない」と述べました。

ロシア ラブロフ外相 “ベラルーシでの交渉を重視”

ウクライナ側との会談後、記者会見したロシアのラブロフ外相は「交渉を続けることは重要だが、ベラルーシで行っているロシアとウクライナとの代表団による交渉の妨げにはなってはならない。ベラルーシでの交渉で、真剣に話し合いたい」と述べ、ベラルーシで行われているロシアとウクライナの代表団による交渉を重視する考えを示しました。

また、ラブロフ外相は、「ヨーロッパなど海外からのウクライナへの兵器の供与は非常に危険だ」と述べるとともに、アメリカがウクライナでの生物兵器の開発に関与していると一方的に批判しました。
また、ラブロフ外相は「もちろん私たちはウクライナが中立であることを望んでいる。ヨーロッパの国々とともにウクライナの安全保障を議論する用意がある」と述べ、ウクライナをNATO=北大西洋条約機構に加盟させない「中立化」を求める姿勢を改めて示しました。

また、「ウクライナの『非軍事化』も必要であり、これを遅らせることはできない」と強調しました。

一方で、ラブロフ外相は、ウクライナのクレバ外相との間では、停戦に合意するかどうかは議論されなかったと述べました。

トルコ外相「外交努力を続けていく」

会談のあと、トルコのチャウシュオール外相は「3者会談を行った。私たちの地域に平和が再び戻ってくることを願っている。ロシアとウクライナの間を取り持つべく、外交努力を続けていく」とツイッターに投稿し、仲介外交を続けていく姿勢を改めて示しました。

チャウシュオール外相は、会談後の記者会見で「大統領どうしの会談についてもテーマに上がった。ゼレンスキー大統領は会談の用意ができていることを本人が明らかにしているし、ラブロフ外相もプーチン大統領は原則としては反対していないとしている」と述べ、両国の首脳会談の可能性についても話し合われたことを明らかにしました。

そのうえで「トルコは首脳会談を容易にするための役割を果たしている」として、外相会談を機に、首脳会談の開催に向けた道筋を立てたい考えを強調しました。

ただロシアのラブロフ外相は、会談後「プーチン大統領は、決して拒否しているわけではないが、首脳会談をするには具体的な成果が必要だ」と述べ、慎重な立場を示しました。

ゼレンスキー大統領は、これまでも繰り返し、停戦に向けてプーチン大統領との直接の話し合いを訴えていますが、ロシア側はこれに応じる姿勢を示していません。

米 バイデン大統領 “トルコの仲介に感謝”

アメリカのバイデン大統領は10日、ロシアとウクライナの初の外相会談を仲介したトルコのエルドアン大統領と電話会談を行いました。

ホワイトハウスは会談後、声明を発表し「両首脳はウクライナの政府と市民への強い支持を確認し、ロシアによる侵攻の即時停止の必要性を強調した」としています。

その上で「バイデン大統領は外交的な解決に向けたトルコ政府の関与とともに平和と安定を進めるための地域の指導者とのやり取りに感謝する」として、エルドアン大統領がプーチン大統領と電話会談するなど仲介役を担っていることを歓迎しました。

トルコの大統領府も「トルコはロシアとウクライナの双方に対して対話ができる地位にある。外相会談を実現できたこと自体が外交的勝利だ」とする声明を発表し、成果を強調しました。