ロシア滞在日本人に出国検討求めるもルート限られチケット高騰

ロシアからの帰国ルートを確保しようと、日本航空は、モスクワ周辺の空域を避け、ウラジオストクからの臨時便を運航しようとしましたが、断念しました。

経済制裁の一環で、ロシア上空を飛行する航空機については保険が適用されなくなるおそれがあるためとしていて、日本人の帰国が難しい状況が続いています。

ウクライナ情勢の緊迫化で、ロシアと日本を結ぶ直行便はすべて欠航しているほか、中東のトルコやカタールで乗り継いで日本に向かう便も、チケットが取りづらくなっています。

ロシアからの帰国を希望する人の輸送ルートを確保しようと、日本航空は、飛行への注意が呼びかけられているモスクワ周辺の空域を避け、ウラジオストクの空港から臨時便を運航できないか検討を進めたものの、断念しました。

理由について、ロシアへの経済制裁の一環で、ロシア上空を飛行する航空機については運航に関わる保険の引き受けを停止する保険会社が出ていて、保険が適用されなくなるおそれがあるためとしています。

外務省は、ロシア全域で危険情報のレベルを引き上げ、滞在する日本人に商用便での出国の検討を求めていますが、帰国が難しい状況が続いています。

ロシアによるウクライナへの侵攻を受けて、ロシアから日本への直行便やヨーロッパに向かう便の運航停止欠航が相次いでいます。

外務省はロシアからの帰国を検討するよう呼びかけていますが、航空券の価格が高騰したり入手が困難になっていて影響が出ています。

ロシア国内の危険情報について政府は、最も高いレベル4をウクライナとの国境周辺の地域で発出し退避を勧告しているのに続いて、今月6日、そのほかの地域で渡航中止を勧告するレベル3に引き上げ、滞在する日本人に商用便での出国の検討を求めるとともに、目的にかかわらず渡航をやめるよう呼びかけています。

一方、ロシアの航空当局がロシアの航空会社に対して、国際線の運航を停止するよう勧告したことなどを受けて、ロシアから日本への直行便やヨーロッパに向かう便は欠航になっています。

この影響などで、ロシアから日本に帰国するルートは中東を経由するものなどに限られていて、航空券が取りにくくなったり、価格が高騰したりしているということです。

3年前、都内からロシアに留学し、バレエを学んでいる女性は9日、NHKの取材に応じ、「日本への帰国を考え、航空券を調べていたところ、モスクワと東京を結ぶ直行便は、欠航になっていました。これまで往復で12万円ほどで行き来できていたのが、今は、中東を経由するルートになり、片道だけで50万円以上になっていた。日本人留学生の中には、身の安全を考え、高い航空券を買って帰国した人もいる」と話していました。

また、ロシアでの現在の生活の状況については、「持っているクレジットカードは使うことができず、日本からの送金を受け取ることもできないので、銀行で現金をおろして、現金を使う生活が続いている。自分が住む地域では、スーパーもふだんどおり営業をしていて、大きな変化はないが、海外資本のお店が閉まり始め、これから物価が高くなるのではないかと心配している」と今後の不安を語りました。

そのうえで、「コロナ禍で留学の機会が減る中、飛行機も欠航が相次ぎ、学びたいと思ったことを学べない状況が続いている。とにかく早くこの状況が収まってほしい」と話していました。

女性はインタビューのあと、中東を経由するルートで航空機の予約を取ることができ、近く、帰国する予定だということです。

ロシアから日本へ向かう航空券の価格高騰について、インターネット上では困惑する声などがあがっています。

娘をロシアから帰国させようと考えている人からは「航空券がものすごい値段で30万円から80万円に」といった投稿がありました。

また、家族がロシアから帰国したあとにチケットの価格が高騰したという人からは「数日でチケットの値段が高騰していた。11万円だったのが翌日は30万円、数日後には50万円に」といった内容の投稿があり価格高騰に困惑する声が上がっていました。