ロシアのウクライナ軍事侵攻から2週間 侵攻後初の外相会談へ

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから10日で2週間がたちましたが、ロシア軍は、依然として民間の施設も対象に攻撃を続けています。
両国は10日、侵攻後、初めてとなる外相会談を開きますが、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構に加盟しないとする「中立化」など、ロシアが求める停戦の条件をめぐって具体的なやり取りが行われるかが焦点です。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、首都キエフに向けて主に3方向から部隊を前進させているとみられるほか、民間の施設も対象に攻撃を続けています。

このうち東部の都市マリウポリでは、9日、産科などが入る病院が、ロシア軍の攻撃を受け、メディアは、ウクライナの当局者の話として、これまでに17人のけが人が確認されたとしています。

現時点で死亡した人はいないということです。

国連人権高等弁務官事務所によりますと、先月24日から今月8日までにウクライナで、少なくとも市民516人の死亡が確認され、このうち37人は子どもだということです。

一方、ウクライナの当局は、激しい戦闘が続くマリウポリだけで、これまでの犠牲者が少なくとも1170人に上るとしています。

アメリカ国防総省の高官は9日、ロシア軍がミサイルの発射や爆撃を増やしているなどと指摘したうえで、標的に向けて精密な誘導ができない爆弾を投下している可能性があると懸念を示しました。

また住民の避難について、ロシア国防省は9日も、首都キエフを含む5つの都市などで避難ルートを設置したとしていましたが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、避難できたのはキエフなどの3か所からおよそ35000人にとどまっているとして、ロシア軍による攻撃が収まらない中での避難は困難だと批判しています。
一方、ロシア軍が占拠しているウクライナ北部にあるチェルノブイリ原子力発電所で外部からの電源供給が失われたのに続き、IAEA=国際原子力機関は9日、南東部のザポリージャ原子力発電所では、監視システムからのデータ送信が停止したことを明らかにしました。

詳しい原因は、現時点で分かっていないということです。

10日には、トルコ政府の仲介で、軍事侵攻が始まってから初めてロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相がトルコ南部のアンタルヤで会談する予定です。

ロシアは、停戦の条件として、ウクライナがNATOに加盟しない「中立化」と「非軍事化」を強く要求していて、外相会談でこうした条件を巡って具体的なやり取りが行われるかが焦点です。

“米などが生物兵器開発に関与”と主張 米が真っ向から否定

ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して2週間となる中、ロシアはアメリカなどがウクライナでの生物兵器の開発に関与していると主張し、これに対し、アメリカが真っ向から否定する事態となっています。

ロシア外務省のザハロワ報道官は9日、アメリカが関与している生物兵器の開発計画の証拠を隠滅しようとした文書がウクライナで見つかったなどと、一方的に主張してアメリカなどを非難しました。

これについてアメリカの国防総省や国務省の報道官は9日、相次いで「お笑いぐさで、ばかげている」とか、「ロシアがウクライナで行っているおぞましい行為を正当化するために、うその口実をねつ造している」などと真っ向から否定しました。

そして、ホワイトハウスのサキ報道官はツイッターへの投稿で、「これはロシアがウクライナやほかの国々で何年にもわたって繰り返し行い、うそだと証明されている情報操作の1つだ」と反論しました。

そのうえで、「ロシアがウクライナで化学兵器や生物兵器を使ったりそれらを用いて偽旗作戦を行ったりすることを、われわれは警戒すべきだ」として、ロシア側が事実と異なる口実をもとに攻撃を仕掛けるおそれがあると警戒感を示しました。