【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8日の動き)

ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、現地では今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。
戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

父親がロシア軍の捕虜に ウクライナ選手がパラ出場取りやめ

北京パラリンピックに参加しているウクライナの選手が、父親がウクライナ東部の要衝マリウポリでロシア軍の捕虜となり「精神的に出場できる状態ではなくなった」として、予定していたバイアスロン競技への出場を取りやめたことがわかりました。北京パラリンピックのウクライナ選手団は8日までに金メダル6つを含む17個のメダルを獲得する活躍を見せています。

ウクライナ支援の防弾チョッキやヘルメット 隣国へ出発

ロシアから軍事侵攻を受けているウクライナを支援するため、防弾チョッキやヘルメットを載せた自衛隊のKC767空中給油・輸送機が8日夜、隣国ポーランドに向けて出発しました。

「防衛装備移転三原則」では「紛争当事国」への武器の提供は認められていませんが、ウクライナは国連安保理の措置の対象になっていないため提供は可能で、政府は殺傷能力の無い装備品に限って提供する方針です。

ロシア副首相「ガス供給停止も」欧米側けん制

ロシアのノバク副首相は7日、国営テレビに出演し「欧米側が(ロシア産原油の輸入を)禁止すれば原油価格は1バレル=300ドルを超えるだろう。世界の市場に破滅的な影響を与えることは明らかだ」と警告し、ロシア産天然ガスをヨーロッパに供給しているパイプライン「ノルドストリーム」について「われわれは供給を停止する権利を持っている」と対抗措置をとる可能性を示唆して欧米側を強くけん制しました。

NHKワールド JAPAN ロシアでの配信停止 政府の情報統制で

NHKの英語のテレビ国際放送「NHKワールド JAPAN」は、ロシア国内で衛星チャンネルなどを通じておよそ1800万世帯に配信されていますが、7日夜(日本時間8日未明)から放送が見られなくなりました。

NHKワールド JAPANをロシア国内で配信している会社は「ロシア政府が情報統制を強めていることに加え、『非友好的な国』のリストに日本を含めたことを受け、放送を停止せざるを得なかった」としています。

NHKワールド JAPANの放送はインターネットのホームページでも同時に提供していて、ロシア国内でもインターネットを通じてはいまも見られる状態になっています。NHKではラジオの短波や中波によるロシア語放送などを増やして、ロシア向けの情報発信を強化することにしています。

ゼレンスキー大統領「子どもが脱水で死亡」西側の対応も批判

ウクライナのゼレンスキー大統領は8日に公開した動画で、ロシア側が市民の避難ルートを設置するとしている東部の要衝マリウポリがロシア軍によって封鎖され、食料や水の配送が意図的に妨害されていると非難しました。そして「過去数十年間で初めて、おそらくナチス・ドイツの侵攻以来初めて、マリウポリで1人の子どもが脱水症状で亡くなった。パートナーの国々よ、どうか聞いてほしい。2022年に子どもが脱水症状で亡くなったのだ」と訴えました。

ゼレンスキー大統領は「罪は占領者にあるが、明らかに必要な決定をできない西側諸国やその内閣にも責任がある。今にいたるまでロシアの殺人者からウクライナの空の安全を守らず、空爆や爆弾、ロケット弾からウクライナの都市を守っていない」と述べて、西側諸国の対応を厳しく批判しました。

中国 習主席 欧米各国のロシア制裁に反対の考え示す

中国の習近平国家主席は8日午後、ウクライナ情勢をめぐってフランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相とオンライン形式で会談し「中国はフランスやドイツなどと協調しながら関係国の必要に応じて国際社会とともに積極的な役割を果たしていきたい」と述べた一方で「制裁は世界の金融やエネルギー、交通、サプライチェーンの安定に打撃を与え、各国にも不利だ」と述べ、欧米各国などによるロシアへの制裁に反対する考えを示しました。

任天堂 ロシア向けオンラインショップでの販売停止

「任天堂」は決済会社がロシアの通貨・ルーブルの取り扱いを停止したため、ロシア向けのオンラインショップでの販売を今月4日から停止したことを明らかにしました。再開時期や代わりの対応については「現時点では答えられない」としています。

日本郵便 ヨーロッパ向け国際スピード郵便など停止へ

ロシアへの経済制裁の影響で世界の航空機の運航に影響が広がる中、日本郵便は8日、十分な輸送力が確保できないとして、主にヨーロッパ向けのEMS=国際スピード郵便と、航空機を使った国際郵便の新規引き受けを停止すると発表しました。
引き受け停止の対象になるのは、イギリス、ドイツ、フィンランド、フランス、ベルギー、チュニジアなど合わせて18の国と地域です。

ルーマニアのホテル 宴会場が避難所に

ルーマニア北部のスチャバにあるホテルでは、ウクライナから逃れてきた人たちのために宴会場を開放し、これまでに2600人以上が一時避難所として利用したということです。
ホテルでは8日の朝、体を休めた人たちが荷物をまとめ次の目的地へ向かう姿が見られました。午前10時ごろにNGOなどが手配したドイツのドレスデンまで向かうバスが到着すると、およそ40人が荷物をトランクに入れて乗り込んでいました。
バスを手配する担当者によりますと、このホテルからはイタリアやスペインなどに向かうバスも出発し、逃れてきた多くの人たちはルーマニアにとどまることなく、親類や知人を頼ってヨーロッパ各国へ向かっているということです。

ハリコフに住む女性「世界の人たちに被害の実態を知ってほしい」

マリア・アブディーバさんはロシアがウクライナに侵攻した日から、定期的にハリコフ中心部で撮影した写真や動画をSNSに投稿しています。
今月6日に撮影された動画では、割れた窓ガラスやがれきが散乱している建物の中の様子が映されています。
アブディーバさんは「2週間くらい前に友達と会った場所などがこのように破壊されているのを見て、とてもショックです。いつこの状況が終わり、元の状態に戻れるのか不安です」と話しました。
そのうえで「世界の人たちに被害の実態を知ってもらうために動画を投稿しています。私はこれを使命だと感じ、避難しなければならないその時まで発信したいと思います」と話していました。
そして「これはロシアとウクライナだけの問題ではありません。世界の国々がこの悲惨な状況を知り、行動をとってほしい」と呼びかけました。

JCB ロシアでのカード決済事業を停止へ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、大手クレジットカード会社「JCB」はロシアでのカード決済事業を今月14日以降、停止することになりました。
JCBの発表によりますと、日本などロシア以外の国で発行されたJCBのクレジットカードはロシア国内の店舗や通販などで決済できなくなるほか、ロシアで発行されたカードはロシア以外の国で決済ができなくなります。
これらの措置について、JCBは今月14日以降、実施するとしています。

経済制裁で休業検討する日本企業も

ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁によって、日本企業のビジネスにも影響が出始めています。
大阪 北区で貿易会社を営む岩佐毅さんは中古車の部品を月に100トンほど輸出するなど、ソ連時代から50年近くにわたりロシアとの貿易を専門にビジネスを続けています。
しかし、経済制裁で国際的な決済ネットワーク「SWIFT」からロシアが締め出されるなどの影響で、岩佐さんの会社では現地の銀行を通じての代金の回収が困難になり始めています。
さらにロシアの通貨、ルーブルが急激に下落してルーブル安となっている影響でロシア国内での輸入品の価格が上がり、日本から輸出しても買い手がつかなくなるリスクも出てきているということです。
このため岩佐さんは今後の先行きが見通せないとして事態が落ち着くまでの間、休業することも検討しているということです。

市民の避難 “一部ルートで開始”と伝えられる

ロシア国防省は首都キエフやハリコフ、東部の要衝マリウポリ、北東部のスムイ、それに、北部チェルニヒウで日本時間の8日午後4時からそれぞれ市民のための避難ルートを設置し、これらの地域で一時的に停戦すると発表しました。
ウクライナのメディアは8日、ロシア軍が発表したルートのうち、北東部のスムイから、ウクライナ中部のポルタワに移すルートは、市民の避難が始まったと伝えました。
ただ、ウクライナのベレシチュク副首相は、残りの避難ルートは、ロシア側と合意ができていないとしています。
ロシア軍の発表では、多くのルートが、ロシアやベラルーシに市民を避難させることになっていることから、市民の安全を強く懸念しているものとみられます。
また市民の避難をめぐっては、前日の7日もロシア側とウクライナ側はそれぞれ相手が攻撃を行ったと批判して一時停戦が実現できずにいて、どこまで市民の避難につながるかは不透明です。

プーチン大統領 国民に軍事作戦への理解求める

ロシアのプーチン大統領は8日、国際女性デーに合わせて、女性たちに向けたビデオ声明を出し、ウクライナの戦闘に参加する女性の兵士たちに感謝の意を伝えるとともに、国民に軍事作戦への理解を求めました。
そのうえで「徴集兵は軍事行動に関わっていないし、関わることはない。任務は職業軍人によって達成される」と述べたうえで、作戦は順調だと強調しました。

松野官房長官 「ロシア滞在の日本人は商用便での出国の検討を」

松野官房長官は午後の記者会見で、危険情報のレベルが引き上げられたロシアからの日本人の出国について「現時点で商用便が運航されており、商用便を利用した出国の検討を呼びかけている。状況は流動的で引き続き細心の注意を払い機敏に対応して在留邦人の安全確保に万全を期す考えだ」と述べました。
また、記者団が「ロシアの日本大使館の職員が退避する可能性はあるのか」と質問したのに対し「ロシアの日本大使館の体制は邦人保護に万全を期しつつ、現地の情勢を踏まえて適切に対応したい」と述べました。

WHO ウクライナでの医療支援を急ぐ

ウクライナで市民の死傷者が増え続ける中、WHO=世界保健機関は現地での医療支援を急いでいます。
ポーランドとの国境に近いウクライナ西部のリビウにある倉庫には7日、けがをした人の治療に必要な医療用の資材や医薬品などおよそ36トンが運び込まれました。いったんリビウで保管し、ウクライナの保健省と協議して特に支援が必要な地域や周辺の戦闘の状況などを把握したうえで、各地に振り分ける計画だということです。
またリビウ市内の駐車場では仮設の病院の設営が進められています。2つの手術室と4つの集中治療室、それにおよそ60の病床などが備えられ、一日に100人以上の患者を治療することができるということです。
早ければ来週にも運用を始める予定です。

横浜市 ウクライナから避難の80世帯を受け入れへ

横浜市は、ロシアの軍事侵攻によってウクライナから避難してくる人たちを受け入れるため、市営住宅80世帯分を確保したことを明らかにしました。
市内に住むおよそ120人のウクライナの人たちの親族や知人の受け入れを想定しています。
横浜市は昭和40年からウクライナのオデッサ市と姉妹都市として交流を続けています。

ハリコフの幼稚園 窓ガラスが割れる 室内からは黒煙

ロシア軍の攻撃にさらされているウクライナ第2の都市、ハリコフで7日、撮影された映像では、2階建ての幼稚園の窓ガラスが割れ、室内から黒煙が上がっている様子が確認できます。また、付近の建物の外壁が被害を受けている様子も映っています。

ロシア産ウニ 200グラム7800円 例年の約2倍に 茨城

茨城県ひたちなか市の「那珂湊おさかな市場」にある水産会社では、ロシア産のバフンウニを仕入れて販売しています。
水産会社によりますと、ロシア産のバフンウニの現在の価格はおよそ200グラムで7800円と、例年のおよそ2倍になっているということです。
ウクライナへの軍事侵攻でロシアへの経済制裁が強まる中、水産会社では入荷がとどこおり、品薄の状況が続いているということです。このため水産会社では今後、価格がさらに高騰するのではないかと懸念しています。

ウクライナ人女性「子どもたちに残す文化 なくなってしまう」

ウクライナ人のナタリア・シュラムカヴァさんは8年前に来日し、日本人の夫と暮らしています。5日、愛知県豊橋市で行われたデモに参加し、今週、自宅で取材に応じました。
ナタリアさんはウクライナの伝統芸術に親しみ、日本で絵画教室を開いて子どもたちに祖国の文化を紹介してきましたが、いま現地ではウクライナを代表する画家の作品を収めた博物館が破壊され、知り合いの画家も爆撃の危険にさらされていると言い「人命とともに貴重な文化財も壊され、アーティストたちも危険にさらされている。この世に一つしか無い貴重な芸術作品や建物などは失われたら戻らない。未来の子どもたちに残すべき祖国ウクライナの文化がなくなってしまう」と訴えました。

200以上の企業や団体 ロシアとビジネス見合わせるなど対応

アメリカのエール大学のまとめによりますと、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアとのビジネスを見合わせるなど何らかの対応を取ると発表した企業や団体は日本時間の8日午後1時の時点で200以上にのぼっています。
その中では、ドイツの大手自動車メーカーフォルクスワーゲンやスウェーデンが発祥の家具大手イケアなどロシアへの輸出を取りやめる企業が相次いでいるほか、動画共有アプリ「TikTok」はロシアでの動画投稿サービスを停止しています。また、IOC=国際オリンピック委員会はロシアの選手を国際大会に参加させないよう勧告しているほかロシアの参加を認めない動きはFIFA=国際サッカー連盟などほかのスポーツ関係団体にも波及しています。
一方、エール大学は欧米のおよそ30の企業をロシアとのビジネスを継続していると名指しして指摘しています。

日経平均株価 終値が2万5000円を下回る 約1年4か月ぶり

8日の東京株式市場、日経平均株価は400円余り値下がりして、終値が2万5000円を下回りました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けた原油などの価格高騰への懸念から売り注文が広がり、2営業日連続でことしの最安値を更新しました。
終値が2万5000円を下回るのは、2020年11月以来、およそ1年4か月ぶりです。

ウクライナ人の日本入国は46人(6日時点)

出入国在留管理庁の担当者は、8日の自民党の会合で、外務省が先月11日に、ウクライナ全土における「危険情報」を最も高いレベル4に引き上げて以降、6日時点の速報値で46人のウクライナ人が日本に入国したと説明しました。

ウクライナ北部チェルニヒウ 車や学校に弾痕 窓ガラスが床に散乱

ロシア軍の攻撃を受けている北部のチェルニヒウで7日、撮影された映像では、路上の車や学校の外壁と廊下に弾痕がみられるほか、学校の窓ガラスが割れて床に散乱していて、無残な被害の様子が確認できます。
また、建物の入り口に散乱したガラスの破片の片づけに追われる女性の様子が映っています。

ウクライナ大統領府顧問「202の学校、34の病院に被害」

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は7日、ツイッターにウクライナの被害状況を投稿し「ロシアは202の学校、34の病院、1500以上の住居を損傷させたり破壊したりしている。900以上の地区で完全に明かり、水道、暖房が使えなくなっている」などと書き込みロシア軍を強く非難しています。

世界銀行 ウクライナに830億円の資金支援へ

世界銀行は7日、ウクライナに対して緊急の融資など合わせて7億2300万ドル、日本円でおよそ830億円の資金支援を行うことを決めたと発表しました。
世界銀行は声明で支援の目的について「今回の措置によってウクライナ政府が病院で働く人たちの賃金や高齢者の年金の支払い、それに社会的な弱者へのプログラムなど国民への重要なサービスを提供できるようになる」としています。

ロシア軍 国境周辺の戦闘部隊のほぼ100%を投入

アメリカ国防総省の高官は7日、ロシア軍が国境周辺に展開していた戦闘部隊のうちほぼ100%の戦力をウクライナ国内に投入し、625発以上のミサイルを発射したとの分析を明らかにしました。
そして、首都キエフに向けて南下しているロシア軍の部隊についてウクライナ軍の抵抗もあって動きが停滞しているとしたほか、ウクライナ軍は今も多くの航空戦力を維持し制空権をめぐる攻防が続いているとの認識を示しました。
そのうえでロシア軍が砲撃を増やしていると指摘し「民間のインフラ施設や住宅地などを攻撃している」と懸念を示しました。

ウクライナ 少なくとも子ども27人含む市民406人が死亡

国連人権高等弁務官事務所によりますと、先月24日から今月6日までにウクライナでは少なくとも市民406人が死亡し、このうち27人は子どもだということです。

松野官房長官“非友好的な国と地域”リストに「遺憾であり抗議」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で、ロシア政府が公表した「非友好的な国と地域」のリストに日本が含まれたことについて「遺憾であり抗議した。きのう外交ルートを通じてロシア側に対し日本国民や企業の正当な利益が損なわれないよう求めた。現在、内容の詳細を精査しており、現時点で影響について述べることは差し控えたい」と述べました。
また、ウクライナ西部のリビウの連絡事務所に勤務する大使館員を一時、国外へ移動させたことについて「情勢が一層緊迫し、フランスとイタリア以外のG7=主要7か国がキエフに加えリビウの拠点も閉鎖していることも踏まえ、大使館員を一時的に国外に移動させた。連絡事務所は閉鎖せず安全を確認しつつ機動的に運用し、情勢が落ち着き次第、リビウでの執務を再開する」と説明しました。
そして、現地に滞在する日本人は今月6日の時点でおよそ80人だとしたうえで、安全確保や出国支援に最大限取り組む考えを強調しました。

アメリカのガソリン小売価格 13年8か月ぶりの高値水準

ロシア軍のウクライナ侵攻を背景に原油価格が高騰する中、アメリカではガソリンの小売価格が13年8か月ぶりの高値水準まで大幅に上昇し、市民生活への影響が懸念されています。
アメリカのエネルギー情報局によりますと、7日時点のレギュラーガソリンの全米での小売価格の平均は1ガロン=3.78リットル当たり4ドル10セントと、前の週と比べて49セントの大幅な上昇になりました。
これは2008年7月以来、13年8か月ぶりの高値水準です。

萩生田経済産業相 ロシア産原油輸入禁止「G7と歩調を合わせる」

アメリカのブリンケン国務長官がヨーロッパ各国や同盟国と協調してロシア産原油の輸入禁止に向けた検討を進めていると明らかにしたことについて、萩生田経済産業大臣は8日の閣議のあとの会見で「G7とも歩調を合わせ適切に対応していきたい」と述べました。
また、ロシア政府が7日公表した「非友好的な国と地域」のリストの中に日本が含まれたことについて、ロシアによる経済制裁への報復も念頭に、日本企業に不利益が生じないような対策を準備していることを明らかにしました。

日本政府 ロシアとベラルーシへの追加制裁措置を了解

ウクライナ情勢をめぐり、政府は8日の閣議で、ロシアとベラルーシに対する追加の制裁措置を了解しました。
ロシアへの石油の生産に使う設備の輸出禁止や、ベラルーシへの軍事関連団体に対する輸出禁止のほか、両国の関係者の資産凍結などを盛り込んでいます。

早ければ今夜遅くにも “防弾チョッキ” 日本出発

政府は、ロシアから軍事侵攻を受けているウクライナに防弾チョッキを送るため、ウクライナに殺傷能力のない装備品に限って提供できることを明記した「防衛装備移転三原則」の運用指針の改正案を自民党の会合に示しました。
与党側の了承が得られれば、必要な手続きを経て、早ければ今夜遅くにも物資を運ぶ自衛隊機が日本を出発する見通しです。

ウクライナ国連大使 “停戦の取り決めに違反してはならない”

ウクライナのキスリツァ国連大使は避難している人や車にロシア軍が攻撃を行っていると非難したうえで「ロシアは避難ルートの安全を確保するためこれらの地域での一時的な停戦の取り決めに違反してはならない」と述べました。
また、避難ルートの多くがロシアやベラルーシの領土につながっていることについて「ロシアが包囲した街でウクライナの市民をロシア側に逃げるよう強制するのは不適切な企てだ」と指摘し、安全な避難ルートが必要だという考えを示しました。
そのうえで「第二次世界大戦の終結以来、ヨーロッパで最悪の人道危機に安保理の断固とした対応を期待している」と述べ、現地の人道状況の改善のため安保理の具体的な対応に期待を示しました。

ウクライナ大統領 “多くの都市が爆撃”

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日に放送されたアメリカのABCテレビのインタビューの中で、ロシアによる軍事侵攻について「キエフの市街地や住宅地だけでなく郊外も爆撃されている。首都は元の姿から大きく変わってしまった。ほかにもハリコフやオデッサ、マリウポリなど多くの都市が爆撃されている。きのうも大学や寮、そして小児科の診療所がミサイルの被害にあった」と述べ、被害の深刻さを訴えました。
そのうえで「ロシア軍により制圧された都市でさえも一般市民が立ち向かっている。しかし問題はいつまで持ちこたえられるかだ」と述べ欧米に支援を求めました。さらに、欧米がロシアとの衝突を懸念して否定的な考えを示している、ウクライナ上空を飛行禁止区域に設定することについて「ロシアは空からヘリコプターや戦闘機を送り込んでいてこれを許してはならない」と述べて再考を求めました。

ウクライナ大統領 “ロシアのせいで市民避難うまくいかず”

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日に公表した動画で「私はキエフにいる。隠れていない」と述べ、今も首都中心部にある大統領府にとどまっていることを強調しました。
そして「市民の避難は、ロシアの戦車、ロシアの地雷のせいでうまくいっていない。ロシア軍はマリウポリの人々に食料や薬を運ぶ道路に地雷を仕掛け、避難用のバスを破壊した」と述べ、ロシア側の対応を非難しました。

ウクライナ人留学生が避難者への速やかな支援訴え

ウクライナ西部の都市リビウ出身で21歳のローマンさんは去年4月から千葉大学に留学して日本語を学んでいます。
リビウには家族7人が住んでいて、父親からは攻撃に備えて包帯や止血剤といった医薬品や、ヘルメットや発電機などの物資が不足して、買えなくなっているということで必要な物資の一覧表が届いていました。
ローマンさんは「自分で何が買えるのか考えましたが、個人的に送っても届かないおそれがあるので、団体など大きなレベルで支援してほしい」と日本から医薬品や物資などの速やかな支援を訴えました。
そのうえで「ウクライナから日本に避難したい人はたくさんいると思う。これから避難してきた人が金銭的に困らないような支援や相談窓口があればより助かると思います」と話していました。

トルコがロシア、ウクライナの外相招き10日に会談へ

仲介に乗り出したトルコのチャウシュオール外相は、今月10日、トルコ南部のアンタルヤにロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相を招き、3者会談を行うと発表しました。

米英独仏 4か国首脳がオンライン会談

ウクライナ情勢について7日、バイデン大統領、イギリスのジョンソン首相、ドイツのショルツ首相、それにフランスのマクロン大統領の4人の首脳がオンライン会談を行いました。会談はおよそ1時間20分にわたり、ロシアへの圧力の強化やウクライナへの支援の継続などで一致しました。
これについてアメリカのホワイトハウスは会談後に発表した声明で「首脳らは理不尽で正当化できないロシアの軍事侵攻に対し圧力を強化していく決意を確認した。そしてウクライナに安全保障や経済面、人道面などさまざまな分野で支援を続けていくことを強調した」としています。
また、ドイツ政府の報道官は「ウクライナの市民の保護が最優先事項であるとともに、ロシアに対して国際法に違反している軍事侵攻を即座にやめ、部隊を完全に撤退させるよう求めることで一致した」とする声明を発表しました。
一方、フランスの大統領府は、マクロン大統領が前日に行ったロシアのプーチン大統領などとの会談内容について共有するとともに首脳らが「ロシアとベラルーシに対する制裁を強化する決意で一致した」としています。
イギリスの首相官邸は、この4か国の枠組みでの協議を今後も続けていくことで合意したとしていてウクライナ情勢をめぐり主要な同盟国が足並みをそろえて対応していきたいねらいとみられます。

国連安保理 米などロシアを非難 “安全な避難ルート設置を”

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、国連の安全保障理事会は、現地の人道状況をめぐる緊急の会合を開き、アメリカなどがロシアを非難し、市民の安全な避難ルートを設置するよう求めたのに対し、ロシアはウクライナ側が市民の避難を認めていないと反論しました。

EU加盟国 ウクライナなどの加盟交渉に向け 手続き開始で合意

ウクライナなど旧ソビエトの3か国がEU=ヨーロッパ連合への加盟を申請したことを受け、EU加盟国は交渉開始に向けて必要な手続きを始めるよう、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会に求めることで合意しました。
EUでは加盟交渉を始めるにあたってすべての加盟国の同意が必要ですが、EUのミシェル大統領は新規加盟について「EUの中にはさまざまな意見があり難しい問題だ」と述べていて、3か国の加盟がいつ実現するのかは見通せない情勢です。

ウクライナ “医療機関で少なくとも9人死亡” WHO

WHO=世界保健機関は7日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで先月24日から今月3日までに医療機関に対して16回の攻撃を確認し、少なくとも9人が死亡、16人がけがをしたと発表しました。
けがをした人のうち少なくとも7人は医療従事者だということです。
WHOは医療機関への攻撃を強く非難しています。

ハリコフ 6日もロシア軍による攻撃で被害

ロイター通信は、ウクライナ第2の都市ハリコフで6日、ロシア軍による攻撃があり、被害が出ていると伝えています。
翌日の7日に街の様子を撮影した映像には、攻撃によって破壊された住宅や、ほとんどの窓ガラスが割れてなくなった建物が映っているほか、地面に砲撃でできたとみられる大きな穴も確認できます。
また、街の通りが、がれきで埋め尽くされている様子や、子どもの遊び場のすぐ横にある建物が破壊されている様子なども映っています。

キエフ ウクライナ人兵士がロシア軍の拠点に向け砲撃

アメリカ政府や議会が出資する「ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー」は、ウクライナの首都キエフの近郊で6日、ウクライナ人の兵士がロシア軍の拠点に向けて砲撃を行っているとする映像を伝えています。
映像には、ウクライナ人の兵士が砲弾を装填(そうてん)する様子や、大きな音をたてて砲弾が発射される様子が映っています。
兵士の男性は「私たちは祖国を守っている。ロシア軍は私たちが常に警戒を続けていることを知るべきだ」と話していました。

プーチン大統領 “ウクライナが避難を妨害 停戦実現できず”

ロシアのプーチン大統領は7日、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領やインドのモディ首相と電話で会談しました。
ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領はこのうちEUのミシェル大統領との電話会談の中で「ロシア軍は市民を避難させるため何度も停戦を宣言した。しかし、ウクライナ側が住民に対する暴力や挑発行為で阻止した」と主張し、ウクライナ側が市民の避難を妨害し、停戦が実現できないと非難しました。

3回目の停戦交渉 隔たり埋まらず

停戦に向けたロシアとウクライナとの3回目の交渉は7日、ポーランドとの国境付近のベラルーシ西部で行われました。
協議の後、ロシア代表団のトップ、メジンスキー大統領補佐官は「期待は実現できなかった。次回の進展を期待したい」と述べ、ウクライナ代表団のポドリャク大統領府顧問も「避難ルートについては小さな進展があった」と述べるにとどまりました。
双方は引き続き交渉を継続するとしていますが、市民の避難も実現できない中、停戦に向けて大きな進展はありませんでした。

ウクライナ4都市からの避難は実現せず

ロシア国防省は7日、首都キエフやハリコフ、東部の要衝マリウポリ、それに北東部のスムイで市民のための避難ルートを設置し、これらの地域で一時的に停戦すると発表しました。
しかし、その後、ロシア側とウクライナ側はそれぞれ相手が攻撃を行ったと批判し、市民を避難させることができませんでした。
市民を避難させる試みは、これで3日連続で暗礁に乗り上げています。

停戦監視のOSCE 全外国人スタッフが国外に退避

ウクライナ東部で続くウクライナ軍と親ロシア派の武装勢力との戦闘について、停戦監視にあたっていたOSCE=ヨーロッパ安全保障協力機構は、7日、およそ500人のすべての外国人スタッフがウクライナ国外に退避したと明らかにしました。
今も現地スタッフが国内に残っているものの、監視活動は大きく制限されているということです。

ロシア政府の「非友好的な国と地域」のリストに日本も

ロシア政府は、7日、ロシアへの制裁措置を行う「非友好的な国と地域」のリストを公表し、この中に日本も含まれました。
ロシア政府が7日に公表したリストによりますと、日本のほか、アメリカ、イギリス、EU=ヨーロッパ連合の加盟国、それに韓国や台湾などが含まれています。
ロシアによるウクライナへの侵攻を受けて、日本は、欧米と歩調を合わせる形でロシアに対して経済制裁を科しています。

ウクライナ “少なくとも406人の市民が死亡” 国連

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月6日までにウクライナで少なくとも406人の市民が死亡したと発表しました。
このうち27人は子どもだということです。
犠牲者の多くは砲撃やミサイル、空爆などの広い範囲にわたる攻撃によって命を落としたということです。

ウクライナから国外の避難者は173万人 (6日時点・国連まとめ)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は6日時点で173万人に上っています。
このうち6割に当たる102万人はポーランドに避難したということです。
このほか、ハンガリーが18万人、スロバキアが12万人、モルドバが8万人、ルーマニアが7万人、などとなっています。

3回目の停戦交渉始まる

ロシアの国営メディアなどによりますと、ロシアとウクライナの停戦に向けた3回目の交渉が始まりました。
交渉は、ポーランドとの国境付近のベラルーシ西部で行われています。
停戦に向けた交渉は、これまで先月28日と今月3日に行われましたが、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの「非軍事化」と「中立化」といった要求が受け入れられないかぎり攻撃はやめないと強調していて、即時停戦を求めるウクライナ側との主張は大きく隔たったままです。