ウクライナ 避難先地下で女性出産余儀なく UNFPA危機感示す

ウクライナでは、ロシアの軍事侵攻を受けて避難先の病院の地下や地下鉄の構内で女性が出産を余儀なくされていて、UNFPA=国連人口基金は「適切でない環境での出産は母子の命を危険にさらす」として危機感を示しています。

ウクライナでは、病院が攻撃を受けるなどして妊娠している女性が病院の地下に逃れ、急きょ設けられたスペースで分娩を行ったり、避難先の地下鉄の構内やビルの地下室で出産するケースが相次いでいます。

ロイター通信などは、首都キエフや東部ルガンスクの病院の地下で、出産を間近に控えた女性や新生児が薄暗い廊下のソファーや床に置かれたマットレスの上で過ごしている様子を伝えています。

UNFPAウクライナ事務所のジャウマ・ナダル代表は、NHKの取材に対し「先月26日から27日の一晩でキエフだけで81人が建物の地下や地下鉄構内などの避難先で出産を余儀なくされた。適切でない環境での出産は母子の命を危険にさらすことになる」と危機感を示したうえで、今後3か月で8万人の女性が出産予定で、1万人余りが帝王切開などの医療措置が必要になるという見通しを明らかにしました。

そのうえで「衛生環境がよくない混み合った地下室などでの出産は理想からはほど遠い。今後増えていく医療のニーズに対応していかなければならない」として、支援の必要性を強調しました。