【解説】ロシア軍 ウクライナ軍の状況は 今後予想される動きは

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。

防衛省防衛研究所の高橋杉雄室長に▽ロシア軍とウクライナ軍のそれぞれの現状、▽軍事面から見た停戦に向けた交渉の見通し▽今後想定される展開について聞きました。

(動画は3分5秒です。データ放送ではご覧になれません)。

ロシア軍について

「三方から地上軍の侵攻が行われているわけですが、北方から最短ルートでキエフを狙っている部隊の進撃が停滞して、そこがある程度うまくいってない部分です。一方、南東部におけるロシアの占領地域は、着実に拡大をしているので、作戦が展開していると言えるかと思います」。

ウクライナ軍について

「ウクライナ軍に関する情報が一切流れてきません。例えばロシアの有名な車列などは民間の衛星会社が公開しているものです。もし仮にウクライナ軍がロシア軍を完全に食い止めているのであれば、あんなところに何日も止まっている部隊が無事でいられるはずがない。

ロシア軍も消耗していますけど、ウクライナ軍もそれ以上に消耗しているという情報があるので、その情報を正しいと考えるならば、現在ウクライナ軍は反撃の余力がないと評価せざるを得ない」。

停戦に向けた交渉の見通しは

「いま協議されている、いわゆる人道回廊、つまりその包囲されている都市、攻撃されている都市からの避難する市民の通る場所と時間を決めていくっていうことなんだと思います。ロシアとウクライナの間である程度の合意が成立しそうな論点が、そこしかないので、まず一つのポイントです。

もう一つはロシア側の補給状態によります。(補給状態によっては)ロシアはおそらく攻勢を強めてくるので、そうなると必然的に停戦交渉というものは形式的なものに変わっていくということになろうかと思います。さらに強い圧力をかけていくタイミングになってくるのではないという感じがします」。

今後の見通しは

「この段階でロシア側が条件をおろす必要はなくて、引き続き圧力強めながら、キエフに対する総攻撃のための時間を稼いでいく。北部の部隊が止まっている理由が、おそらく補給を待っている部分がある。(交渉が)再補給のための時間稼ぎという面もあろうかと思います」。

さらにウクライナ軍の状況によって、首都キエフへの攻撃のしかたを変えてくると指摘しています。

「キエフの防衛のために、ウクライナ軍がある程度の力を残していて、ある程度の反撃をするとすれば、ロシア軍はキエフに対する突入をおそらく思いとどまって、包囲をし、食料やエネルギーの供給を断って、周辺から砲撃を加えるということになると思います。基本的には、大規模な砲撃です。ウクライナ国民、キエフ市民の戦意を破壊していくと言うことがねらいだと思います」。