【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6日の動き)

ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、現地では今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。
戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

北京 メダル授与のウクライナ選手「戦争をやめて」

北京パラリンピックのバイアスロンにはウクライナの選手20人が出場し、男子6キロの視覚障害のクラスではメダルを独占するなど▽金メダル3つ▽銀メダル3つ▽銅メダル1つの合わせて7つのメダルを獲得しました。
選手たちは6日夜のメダル授与式のあとインタビューに応じました。
グリゴリー・ボブチンスキー選手は「この金メダルはウクライナの人たちのものだ。私はウクライナ国民、そして祖国のことを考えている。多くの人たちが戦い亡くなっている」と話しました。
また、ビタリー・ルキヤネンコ選手は「国のために金メダルを獲得できたのはうれしいはずだが、今のウクライナの状況を考えると素直に喜べない。家族は空爆を受けた地域に住んでいる。私の町を攻撃しないでほしい。戦争をやめてほしい」と話しました。

WHO「医療提供に重大な影響生じている」

WHO=世界保健機関が5日公開した報告書によりますと、ウクライナでは、民間人を含む多数のけが人が出ている一方、戦闘の激化に伴う物流の停滞やインフラの破壊などにより、医療の提供に重大な影響が生じているとしています。医療用の物資やスタッフの不足も深刻で、今後は戦争によるけがだけでなく、がんや糖尿病といった病気の治療が中断したり、子どもの急な病気に対応できなかったりして、患者が死亡する事態も懸念されるということです。

また国外に避難する人がことし7月までに400万人に上る可能性もあるとしていて、大規模な移動によって新型コロナをはじめとする感染症にかかるリスクや、避難先での医療の受け入れ態勢も課題になるとしています。さらに、戦争によるストレスでPTSD=心的外傷後ストレス障害などのリスクも高まっているとしていて、心理的なケアも喫緊の課題だと指摘しています。

「ウクライナに届け」兵庫 芦屋から平和祈る鐘の音

兵庫県芦屋市では市民たちが鐘を鳴らして平和への祈りをささげました。

「芦屋ユネスコ協会」が呼びかけ、参加者たちは鐘の周りにウクライナの国旗をイメージして青と黄色のリボンを飾りつけ、「ウクライナに届け」と書かれたメッセージを掲げました。そして、ウクライナがある西の方角を向きながら鐘を鳴らし、ロシアの軍事侵攻に抗議するとともに1日も早く平和が戻るよう祈りをささげました。
参加した芦屋市の70代の女性は「ウクライナのことを報道などで知って心が痛みます。早く平和になるようにとお祈りしました」と話していました。

ロシア軍攻勢強めるマリウポリ 当局は市民の避難開始すると発表

ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部マリウポリでは、5日は、一時停戦が実現できませんでしたが、6日、地元の当局は、避難ルートを設置して市民の避難を開始すると発表しました。

東京 港区の教会で祈りの集会 両親の無事祈る人も

東京・港区にある教会では、ウクライナ正教会の呼びかけで祈りの集会が開かれ、ウクライナ出身の人やその家族などおよそ30人が集まりました。そして、ロシアの軍事侵攻が終わって平和がもたらされ、恐怖と混乱の中にいる現地の人々が救われるよう、祈りをささげていました。

サーシャ・カヴェリナさん(33歳)は、ロシア軍の激しい攻撃を受けたウクライナ第2の都市、ハリコフの出身で、両親が住んでいるマンションも攻撃を受けたということです。両親にけがはなかったものの、攻撃を受けた時は8階の自宅にいたということです。
サーシャさんは「両親は今は、少し離れた地区にいますが、同じハリコフ州の中なのでいつ危なくなるかわからずすごく心配です。毎日、攻撃が続いているもののガソリンがないため、避難できず、どこにも行けない状態だと言っていました」と話していました。

プーチン大統領 イスラエル首相とモスクワで会談

ロシア大統領府は5日、プーチン大統領が、イスラエルのベネット首相とモスクワで会談したと明らかにしました。両政府は、会談の詳細を明らかにしていませんが、イスラエルのメディアは会談は3時間におよんだと伝えていてベネット首相はその後、ウクライナのゼレンスキー大統領とも電話会談を行うなど、ロシアとウクライナの仲介に向けて動いたとみられています。

また、ロシア大統領府はプーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と6日に電話会談する予定だとしています。これについてトルコの大統領首席顧問は地元メディアに対して「エルドアン大統領は関係各国と活発に外交を展開している。あらゆる攻撃を停止し、交渉に参加するよう、すべての当事者、特にロシア側に呼びかけ続ける」として、ロシアとウクライナの仲介に意欲を示しています。

プーチン大統領「ウクライナ核保有 見過ごすわけにはいかない」

プーチン大統領は今月8日の国際女性デーを前に、5日、女性たちとの会合に参加し「ウクライナはいま核兵器を取得して、核保有国の地位を得ようとしている。見過ごすわけにはいかない」と主張したうえで、ウクライナ側との交渉では、「非軍事化」などが不可欠だと強調しました。

ロシアの複数の国営メディアは、6日、情報筋の話として、ロシア軍が掌握した北部のチェルノブイリ原子力発電所で放射性物質をまき散らすいわゆる「汚い爆弾」を製造しようとしていたなどと一斉に報じています。ロシアとしては、国際社会で批判の声が高まる原発への攻撃や掌握したことを正当化するとともに、核兵器疑惑を持ちだしてウクライナの「非軍事化」などの要求を強める可能性があるとみられます。

被爆者団体の呼びかけで抗議集会 長崎

集会は長崎県の被爆者団体の呼びかけで開かれ、被爆者などおよそ400人が参加しました。
「長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会」の議長を務める川野浩一さんは「ロシア軍は原発を攻撃し、さらに核兵器使用の可能性さえ示唆している。このような蛮行が許されていいのか。私たちは怒りと同時に悲しみを禁じえない」と訴えました。
そして、原爆がさく裂した時刻の午前11時2分に参加した人たちが黙とうをささげました。

ロシア ウクライナ軍基地を掌握と発表

ロシア国防省は、5日、ロシア軍がウクライナ南部の都市ヘルソン近郊にあるウクライナ軍の基地を掌握したと発表し、動画を公開しました。
動画では、広い敷地にウクライナ軍のものとみられる軍用のテントが数多く残され、戦車や装甲車、砲弾などが放置されている様子がうつっています。
ロシア国防省は、この基地にはさまざまな部隊からおよそ4000人のウクライナ軍兵士が集まり、訓練を行っていた可能性があるとしたうえで「兵士たちは、武器などを残したままあわてて立ち去った」としています。

「マスターカード」と「ビザ」 ロシアでのカード決済事業を停止

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、アメリカの大手クレジットカード会社のマスターカードとビザは5日、それぞれ、ロシアでのカード決済事業を停止すると発表しました。

米「ロシア 国民に真実隠すため報道制限」と非難

ロシアのプーチン大統領が誤った情報を拡散した者に罰則を科すとする法律の改正案に署名し、情報統制を強めていることについて、アメリカ・ホワイトハウスは5日、声明を出し「みずからの国民に真実を隠すため、ロシアの検閲当局は独立メディアやソーシャルメディアを封じ、国際的な報道機関へのアクセスを制限している」と非難しました。
そのうえで「うそを広め、真実を覆い隠そうとするロシア政府の行為は、国際社会から拒絶されている。人権と基本的な自由を促進するため、社会全体が行動し続けていくべきだ」としています。

ウクライナ軍 救命救助の女性 銃撃を受け死亡

ウクライナの首都キエフ郊外でけが人を救出していたウクライナ軍の女性が銃撃を受けて死亡し、家族や友人の間で悲しみが広がっています。
この女性は、軍で救命救助に従事していたということで、女性は5日、キエフで埋葬され、母親や娘、友人、同僚がひつぎの周りで泣きながら別れを惜しんでいました。
友人の1人は「生前、彼女は何かを感じていたのか、私に『娘をよろしく』と言っていました。この悲しみはことばにできません」と涙ながらに話していました。

米国務長官とウクライナ外相会談 軍事支援拡大へ

アメリカのブリンケン国務長官とウクライナのクレバ外相は5日、ウクライナとポーランドの国境で会談し、ロシアに対する制裁の強化やウクライナへの軍事支援などについて意見を交わしました。
会談のあと、ブリンケン長官は「ウクライナへのかつてない規模の支援は、今後さらに増える」と述べ、軍事支援を拡大するとともに、ロシアに対しさらなる制裁などで圧力を強めていく考えを示しました。
クレバ外相も各国からの一層の支援が必要だとしたうえで「特に求められているのは戦闘機や防空システムだ」と述べました。

プーチン大統領 “ウクライナ側が住民の避難を妨害”と非難

プーチン大統領は5日、国際女性デーを前にした会合のなかで「誰も避難させようとしない。民間人を盾にしている」と、ウクライナ側が住民の避難を妨害していると一方的に非難しました。
そのうえで「われわれの提案をウクライナ側が前向きに受け入れることを願う。ウクライナを中立的な地位にすること、非軍事化することで、市民を救えるのだ」と述べ、妥協しない姿勢を改めて示しました。
また、欧米諸国などがロシアに対する経済制裁を強化していることについて「宣戦布告のようなものだ」と述べ、強くけん制しました。

国境なき医師団「電気、水、暖房もない」

国際NGOの「国境なき医師団」は、ロシア軍の攻撃にさらされているウクライナ東部のマリウポリの状況について5日、現地にいるスタッフから聞き取ったという内容をホームページに掲載しました。
それによりますと、マリウポリにいるスタッフたちは「今夜の砲撃は、さらに激しく、さらに近くまで来た」とか、「電気、水、暖房もなく、携帯電話もつながらない」、「きのうは雪や雨水を集めた」、「薬局にももはや薬はない」などと、窮状を訴えています。
また、ロシアとウクライナは5日、マリウポリと周辺の町で一時的に停戦し、住民の避難ルートを設置すると発表したものの、結局、戦闘が続き、避難は実現せず、マリウポリにいる「国境なき医師団」のスタッフたちも「誰も避難の情報を聞いていない」などと話しています。
「国境なき医師団」は「戦場に市民が取り残されてはならない。安全を求める人々が危険なく避難できるようにするべきだ」と呼びかけています。

米中の外相が電話会談

ウクライナ情勢をめぐって、アメリカのブリンケン国務長官と中国の王毅外相は日本時間の5日、電話で会談しました。
アメリカ国務省の声明によりますと、この中でブリンケン長官は「世界は、どの国が自由や国の主権といった基本的な原則を守るために立ち上がっているのか注視している」と指摘しました。
そのうえで「ブリンケン長官は、ロシアに高い代償を払わせるため、世界は一致して行動していると強調した」としていて、中国にもロシアに対して各国と足並みをそろえて厳しい対応をとるよう促したものとみられます。
中国外務省によりますと、これに対し王外相は「ウクライナの危機は最終的には対話によってのみ解決できる」と述べ、あくまで話し合いによる問題解決を促しました。
そのうえで「アメリカとNATO=北大西洋条約機構、それにEU=ヨーロッパ連合がロシアと対等な対話を行うことを奨励し、NATOの東方への拡大がロシアの安全保障環境にもたらしたマイナスの影響を重く見るべきだ」と述べ、ロシア側の立場に配慮する姿勢を示しました。

赤十字 一刻も早い避難ルートの設置訴え

ロシア軍の攻撃にさらされているウクライナ東部のマリウポリと周辺の町から、住民が避難するのを支援する予定だったICRC=赤十字国際委員会は5日、声明を発表しました。
このなかでは避難が始まらなかったことについて「きょうのマリウポリなどでの光景を見ると心が張り裂けそうだ。住民の避難などは当事者間の合意に基づき十分計画され、実施されなければならない」としてロシアとウクライナの両政府の対応は不十分だったと指摘しました。
そのうえで「市民が暴力から解放され、安全な場所へ自主的に避難することができるいかなる取り組みも歓迎する」として、一刻も早い避難ルートの設置を訴えました。

イタリアとスペインのメディア ロシアでの取材活動 一時停止

メディアの取材活動停止の動きはほかにも。
イタリアの公共放送RAIは5日、声明を発表し、ロシア国内での取材活動を一時停止すると明らかにしました。
声明では「記者などジャーナリストの安全を守る必要がある」としていて、今後は、イタリアの本部と周辺国からロシアの動向を伝えていくとしています。
また、スペインの通信社EFEも5日、ロシアでの取材活動を一時停止すると発表しました。
発表でEFEは「1970年にモスクワに拠点を設けてから取材活動の停止を余儀なくされるのは初めてだ」としています。

ドイツ公共放送 ロシアからの報道 当面見合わせ

ドイツの公共放送ARDとZDFは5日、ロシアのスタジオからの報道を当面、見合わせると発表しました。
ロシアが続けているウクライナへの軍事侵攻をめぐって、プーチン大統領は4日、誤った情報を拡散した者に罰則を科すとする法律の改正案に署名していて、ARDとZDFは影響を見極めたいとしています。
一方で、ロシアとウクライナで起きていることについては、今後も各地から伝え続けるとしています。

欧米メディア 取材活動を停止

ロシアのプーチン大統領が情報統制を強める中、欧米の各メディアが相次いでロシア国内での放送の中止や取材活動を一時停止するなどの対応を決めています。
このうちアメリカのブルームバーグは4日、声明を発表し「大変残念だが、ロシアでの取材活動を一時的に停止することを決めた」としています。
また、イギリスの公共放送BBCは4日「独立したジャーナリズムのプロセスを犯罪としているようだ」と批判したうえで「スタッフの安全は最優先されるものであり、職務を遂行することで訴追されるリスクにさらすことはできない」としてロシア国内での取材活動を停止すると明らかにしました。

国連 ウクライナ市民351人死亡 22人は子ども

国連人権高等弁務官事務所は5日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった2月24日から3月4日までに、ウクライナで351人の市民が死亡したことを確認したと発表しました。
このうち22人は子どもとみられるとしています。
また、けがをした人は707人にのぼっているということです。
351人の死者のうち、86人がウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州で死亡したと報告され、残りの265人が首都キエフや第2の都市ハリコフ、北部のチェルニヒウ、南部のヘルソンなど、そのほかの地域で死亡したと報告されているということです。
犠牲者の多くは、大砲による砲撃や多連装ロケットシステム、それにミサイルや空爆によって死亡したとしています。
国連人権高等弁務官事務所は、まだ確認できていないケースも多いとして、死者やけが人は実際はさらに多いとみています。

ニューヨーク 観光名所が国旗色にライトアップ

ニューヨークの多くの観光名所もウクライナの国旗の青と黄色にライトアップされ、反戦の意思とウクライナへの連帯を示しています。
ニューヨークではロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めた2月24日から抗議デモが続いていて、5日もマンハッタン中心部のタイムズスクエアにはウクライナ出身の人など数百人が集まりました。
集まった人は「ウクライナと共に」と書かれたシールを胸などに貼りつけて参加し、はじめに犠牲になった人たちへ黙とうをささげました。
そして「飛行禁止区域を設けろ」と声をあげ、ロシア軍による空からの攻撃が続く中、NATO=北大西洋条約機構に対してウクライナ国内の上空を飛行禁止区域にするべきだと訴えていました。
ウクライナ西部のテルノピリ出身だという20代の女子大生は「祖母に会いたい」と書いたボードを掲げて初めてデモに参加し「家族や友人がウクライナにいて、毎日連絡を取り合っています。本当に悲しいですが今自分にできることはここで祈ることだと思って来ました」と不安そうに話していました。

ポーランド 抗議集会で停戦訴え ウクライナへの連帯示す

多くの人が避難しているポーランド南部のクラクフでは5日、避難してきたウクライナ人やポーランド人などが集会を開き、停戦を訴えるとともにウクライナへの連帯を示しました。
集会はロシア総領事館前で開かれ、集まった人たちは「侵攻をやめろ」や「ウクライナに栄光あれ」などと叫んでいました。
集会のあと、参加した人たちは、中心部にある広場まで行進し「戦争をやめろ」などと書いた紙を掲げて、軍事侵攻に反対するポーランド在住のロシア人などとウクライナへの連帯を示していました。
ウクライナ東部から避難してきたという女性は「NATOに私たちの国や人を守ってほしい。ウクライナでは多くの人が犠牲になっていて、大変なことになっています」と話していました。

オーストリア 原発攻撃に懸念や非難の声あがる

オーストリアの首都ウィーン中心部の広場では5日、数百人が集まりロシアによるウクライナへの軍事侵攻に抗議の声をあげました。
集まった人たちは、ウクライナの国旗を掲げて連帯を示したり「戦争反対」とか「プーチンを止めろ」などと書かれたプラカードを掲げたりしていました。
また、参加者からは、ウクライナの原子力発電所がロシア軍から攻撃を受けたことに懸念や非難の声があがっていました。
オーストリアに留学しているというウクライナ人の20歳の女性は「原発への攻撃は恐ろしいとしか言えません。いちばん大切なのは今すぐに戦いをやめることです」と話していました。
また、オーストリア人の54歳の男性は「無実の人たちが殺されている。そんなことがこのヨーロッパで起きている。これは戦争犯罪であり、受け入れられない。プーチン大統領が正気を取り戻し、すべてのロシア軍がウクライナから今すぐ撤退することを望んでいる」と話していました。

マレーシアでも抗議の声「戦争受け入れられない」

マレーシアの首都クアラルンプールでも5日、100人近くが集まり、参加者たちはウクライナの国旗とともに、花やろうそくを手に持って、軍事侵攻によって犠牲になった人たちを悼み「プーチンよ、私たちの街を破壊することはできても、私たちの国や心を奪うことはできない」などと抗議の声をあげていました。
参加したウクライナ人の女性は「これが単にウクライナとロシアの間の問題だと考えるのは間違っているので、世界はプーチンが現在、ウクライナで行っていることをもっと非難してほしい」と訴えていました。
また、マレーシア人の男性は「戦争は答えであってはならないし、受け入れられません。力を使ってほしいものを手に入れることはできないということを、私たちはメッセージとして発信しなければなりません」と話していました。

複数国をさまよう避難民も

ロシア軍が侵攻したウクライナからは、これまでに78万人以上が隣国のポーランドに逃れていて、この数日は一日当たりの避難者の数が10万人を超えています。
ポーランド南部の都市クラクフの中央駅には、ウクライナから避難してきた人たちに対応する窓口が設けられていて、避難者に温かい食べ物を提供したり、身を寄せる場所の相談に乗ったりしています。
この窓口を訪れたウクライナ人の女性はNHKの取材に対し、黒海沿岸の港湾都市オデッサを出発したあとモルドバ、ルーマニア、ハンガリー、そしてスロバキアを経由してクラクフにたどりついたと話していました。
家族がウクライナに残って戦闘に加わっているということで「家族とは国境で離れ離れになってしまいました」と涙を浮かべながら話していました。

国連 ウクライナから国外避難136万人余(4日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は4日時点で136万人余りに上っています。
このうち半数を超えるおよそ75万人はポーランドに避難したということです。
このほか、ハンガリーが15万人以上、モルドバとスロバキアが10万人以上、ルーマニアが6万人以上などとなっています。

ウクライナ大統領「各国からの志願兵1万6000人」

ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナ軍は、外国人にもウクライナの領土を守る部隊に加わるようSNSで要請を続けています。
ゼレンスキー大統領は3日、これまでに各国から退役した軍人など1万6000人の志願兵が集まっているとして「自由と私たちの命を守るために来てくれている。彼らの支援は必ず実を結ぶだろう」と感謝の意を示しました。
ヨーロッパの一部の国は自国民が志願兵としてウクライナに渡航することを認めているものの、日本のほかアメリカやイギリスなど多くの国は渡航しないよう強く呼びかけています。

ロシアの大手航空会社 国際線の運航停止へ

ロシアの航空当局は5日、ロシアの航空会社に対し、国際線を運航するのは「航空機が差し押さえられるリスクが高い」などとして運航を停止するよう勧告しました。
これを受けてロシアの大手航空会社「アエロフロート」は、3月6日からロシアから出発する便を、3月8日からはロシア国内とベラルーシの首都ミンスクとを結ぶ便を除くすべての国際線の運航を取りやめると発表しました。

タイの抗議集会「戦争を直ちにやめろ」

タイの首都バンコクでも5日、軍事侵攻に抗議する集会が開かれ、およそ100人が集まり、参加した人たちはウクライナの国旗を掲げながら「戦争を直ちにやめろ」とか「NATOはウクライナ上空を飛行禁止区域に設定しろ」などと声を上げていました。
参加した32歳のウクライナ人の女性は「私の住んでいたキエフ近くの地域はロシア軍の攻撃によって最悪の事態になっている。ウクライナでは、幼い子どもが亡くなっていて、多くの人が愛する人を失っている。人々の命を救うために、軍事的、人道的、経済的、あらゆる支援が必要だ」と訴えていました。
また、タイ人の23歳の女性は「早く戦争が終わってもらいたい。タイの人たちももっと抗議の声を上げ、ウクライナの平和を求めていることを示してほしい」と話していました。

フィンランドでも抗議活動

ロシアの隣国の北欧フィンランドでは5日、首都ヘルシンキ中心部で抗議活動が行われました。
集まった人たちは「プーチン大統領は戦争犯罪の罪で裁かれるべきだ」などと書かれたプラカードを掲げ、抗議の意思を示していました。
ウクライナ人の男性は「キエフにいる祖父は攻撃を逃れてシェルターに避難している。母は何とかポーランドまで逃れたが、今後どうなるかわからない。ロシアは市街地への攻撃を続けていて道徳に反している」などと、怒りをあらわにしていました。
また、フィンランド人の女性は「フィンランドとロシアの関係は安全保障面や、信頼という点で、大きく変わってしまった。多くの人が懸念している」と話していました。

ウクライナ南部ヘルソンの住民 危険を顧みずロシア軍に抗議

ロシア軍によって「州政府の庁舎が占領された」と州知事がSNSに投稿した、ウクライナ南部の都市ヘルソン。ここで5日、住民が街頭に出てデモを行い、ロシア軍に抗議しました。
現地からの映像では、大勢の人々がウクライナの国旗を掲げて行進し「ヘルソンはウクライナのものだ」とか、「ウクライナから出ていけ」などとシュプレヒコールをあげている様子が映っています。
また、この日、ウクライナ国防省がツイッターに投稿した動画では、銃声が鳴り響く中、デモに参加している女性が「今、ヘルソンにいます。何が起きているのか見てください。私たちは怖くありません。世界中にこの動画を拡散してください」と訴えていて、住民が危険を顧みずロシア軍に抗議を続けている様子がうかがえます。