ロシアとウクライナの両国で被爆体験伝えた広島の男性は

ウクライナに軍事侵攻したロシアのプーチン大統領が核戦力を念頭においた発言をしていることについて、かつて両国を訪問して、現地の学生たちに被爆体験を証言したことのある広島の男性が、多くの人が苦しむ核兵器は使ってはならないと訴えています。

広島市佐伯区の森下弘さん(91)は、14歳の時に爆心地から1.5キロの場所で被爆して顔や体に大やけどを負い、自宅にいた母親を亡くしました。

60年近く前から自身の被爆体験を伝える活動を続けていて、17年前にはロシアやウクライナを訪問し、現地の学生などに自身の体験を証言しました。

どちらの国の学生も、焼け野原になった広島の写真を食い入るように見つめて証言を聞いてくれたといい、チェルノブイリの原子力発電所の事故を経験したウクライナの学生とは互いの思いを語り合ったといいます。

ロシアの学生からも、直接、被爆者の話を聞くことで原爆被害の悲惨さが、より詳しくわかったと感謝のことばを伝えられたといい「ロシアの一般の人も戦争や核を好んではいないと思う」と話しています。

そのうえで森下さんは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、核戦力を念頭にしたプーチン大統領の発言に「核兵器が使われたら多くの人が苦しみ家族を失い、生き残った人も長い間、放射能による影響で苦しむことになる。人類が滅んでしまう。そんなことはあってはならない」と訴えていました。