中国 北京五輪閉幕まで侵攻しないよう事前要請か 複数メディア

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、複数のメディアはアメリカ政府高官などの話として、中国が事前にロシアに対し北京オリンピックが閉幕するまでは侵攻しないよう要請していたとの情報があると報じました。

これは、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアが2日、バイデン政権の高官などの話として伝えました。

それによりますと、中国政府の高官が先月上旬、ロシア側に対して北京オリンピックが閉幕するまではウクライナに侵攻しないよう要請していたという情報があるということです。

西側の情報機関はこうした情報をもとに報告書を作成し、中国政府がロシアの軍事侵攻の計画や意図について事前に何らかの情報を把握していたことを示唆しているとしています。

北京オリンピックが閉幕したのは先月20日で、軍事侵攻が始まったのは閉幕から4日後でした。

中国政府はこれまでにロシアによる軍事侵攻が侵略行為に当たるかどうかの明言を避けるとともに、欧米による制裁を非難し、2日に行われた国連総会でのロシアを非難する決議案の採択でも棄権するなどロシア寄りの姿勢を示しています。

中国国内で避難遅れに批判も

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって、中国国内では現地の中国人に避難を呼びかけるのが遅かったと政府の対応への批判が出ています。

中国メディアによりますと、ウクライナにはおよそ6000人の中国人がいるということですが、現地の中国大使館が避難に向けた通知を出したのは、ロシアが軍事侵攻に乗り出したあとの2月25日でした。

大使館はチャーター機による帰国に向けて希望者の募集を始めましたが運航は実現せず、先月28日から大使館が主導して陸路での避難が始まりました。

しかし、現地では1日、避難していた中国人1人が銃撃に遭ってけがをする事態も起きています。

王毅外相は1日、ウクライナのクレバ外相との電話会談で、現地にいる中国人の安全確保や避難に向けて便宜を図るよう求めましたが、中国のSNS上には「中国は自国民を避難させる決定が遅かった」や「アメリカ、イギリスなどは2月中旬に自国民の避難を始めていたのに、中国はなぜ戦闘が始まる前に避難させなかったのか」など批判する書き込みも見られました。