国連総会の緊急特別会合始まる ロシアを非難する発言相次ぐ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、すべての国連加盟国が参加できる国連総会の緊急特別会合が国連本部で始まり、多くの加盟国からロシアの軍事侵攻を非難する発言が相次ぎました。
緊急特別会合は数日にわたって開かれ、アメリカなどはロシアを非難する決議を採択し圧力を強めたい考えです。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐる国連総会の緊急特別会合は、28日午前、日本時間の1日午前0時すぎからニューヨークの国連本部の総会議場で始まりました。

冒頭、今回の軍事侵攻で命を落とした人々のために黙とうがささげられました。

そして国連のグテーレス事務総長が演説し、「ウクライナでの戦闘を今すぐ止めなければならない」と訴え、ロシアの核戦力を運用する部隊が人員を増強し特別警戒態勢に入ったことについて、「核兵器の使用を正当化できるものは何もない」と厳しく批判しました。

続いてウクライナのキスリツァ国連大使が演説し、ロシア軍によるミサイル攻撃などで子どもを含む多くの市民が犠牲になっているとして、ロシアを非難しました。

これに対しロシアのネベンジャ国連大使が演説し、今回の作戦がウクライナ軍からウクライナ東部のロシア系住民を守るためものだと反論しました。

このあと、各国の代表による演説が行われ、ロシアを非難する声明が相次いでいて、国連によりますと193の加盟国の半数以上が演説することから会合は数日間にわたる見通しだということです。

国連総会の緊急特別会合の開催を提案したアメリカなどは、安全保障理事会での決議案がロシアの拒否権によって否決されたことから、すべての加盟国が参加する国連総会でロシアを非難する決議を採択することでロシアの国際的な孤立を際立たせ圧力を強めたい考えです。

ロシアの国連大使 軍事侵攻を正当化

ウクライナのすぐあとに演説したロシアのネベンジャ国連大使は、今回の軍事侵攻について「ウクライナ東部をめぐる停戦合意の履行をウクライナ側が怠ってきたからだ」と述べて正当化しました。

そのうえで、「われわれの計画にウクライナの占領は入っていない」と述べ、侵攻はウクライナの非軍事化などが目的だと主張しました。

日本「ヨーロッパと世界の国際秩序の基盤を揺るがす」

国連総会の緊急特別会合で演説した日本の石兼国連大使は「力によって現状を変えようとする一方的な試みは、ヨーロッパと世界の国際秩序の基盤を揺るがすものだ。ロシアの一連の決定と行動は、国際法と国連憲章に明確に違反している」と述べ、強く非難しました。

そのうえでロシアに対し、「直ちに攻撃をやめて軍を撤退させ、外交の道に戻らなければならない」と求めました。

英仏もロシアを強く非難

国連総会の緊急特別会合でイギリスのウッドワード国連大使は「ロシアは正当な理由なくウクライナに侵攻した。人道状況の悪化は計り知れず、ウクライナの民間人に対する無差別攻撃が行われている」と強く非難しました。

そのうえで「今われわれがウクライナ人たちのために立ち上がらなければすべての国の国境と独立が危険にさらされることになる」と述べ、国際社会が一致してロシアの軍事侵攻に反対すべきだと強調しました。

また、フランスのドリビエール国連大使は「国連総会は今、歴史的な責任を負っている。この戦争の即時終結とウクライナからのロシア軍の撤退を求めるすべての大陸の市民の声を、はっきりと伝えなければならない」と述べました。

そのうえで、会合の最終日に採決が行われるロシアを非難する決議案について「すべての加盟国に賛成するよう求める。これはウクライナ情勢にとどまらず国連憲章と国連の存在意義を守る問題だ」と呼びかけました。

中国 ロシアへの非難控えウクライナに対応求める

一方、中国の張軍国連大使は「現在の状況はわれわれが目の当たりにしたくない事態にまで発展した。当面の優先事項はすべての当事者が自制して外交努力を強化し、状況のさらなる悪化を防ぐことだ」と述べ、現状に懸念を示しながらも、ロシアへの非難は控えました。

そのうえで「ウクライナは、大きな権力の対立の最前線に立つのではなく、東西の間の橋渡し役を務めるべきだ」と述べて、ウクライナに対して事態の打開に向けた対応を求めました。