福島でチェルノブイリ共同調査の研究者から心配の声

東京電力福島第一原発の事故のあと、福島大学ではウクライナの専門家と共同でチェルノブイリ原発周辺の放射性物質について調査していますが、来日している研究者からは現地の家族や友人を心配する声が聞かれました。

福島大学環境放射能研究所で特任教授を務めるマーク・ジェレズニヤクさん(71)はウクライナの首都キエフ出身で、福島大学と共同で行うチェルノブイリ原発周辺での研究のため9年前に来日しました。

妻と娘は、今もキエフにとどまっています。

マークさんは「キエフの建物や道が破壊されている。家族や知人が心配だ」と話していました。

ウクライナと福島大学の共同研究では、若手研究者の人材育成のため互いに派遣する取り組みも行っていますが、行き来できない状況です。

福島に来る予定だったキエフ在住の研究者、アレクサンドラ・ピリペンコさんは、NHKの取材に対し、キエフ市内から電話で「福島に行けず残念です。国際線の運航がとまっているのでキエフを離れることができません。空襲警報が鳴っていないときはシェルターから出て町をパトロールしている状況です」と話していました。

福島の子どもたち ウクライナに励ましの動画送る

福島市にある英会話教室を開設する学童施設では、原発事故をきっかけに交流のあるウクライナの子どもたちを励まそうと動画を撮影しました。

福島市にある「レインボーハウス」は、学童施設とともに英会話教室も行っていて、3歳から高校生までおよそ40人が通っています。

11年前の原発事故をきっかけに、子どもたちはウクライナの子どもたちとクリスマスカードを互いに送ったり、学生を招いたりして交流を続けてきました。

ウクライナ情勢が緊迫する中、子どもたちは交流のあるウクライナの人たちを励まそうとメッセージカードなどを撮影した動画を作り、現地の人に送りました。

小学6年生の児童は「ウクライナの人たちには希望を捨てずに頑張ってほしいと思って作りました」と話していました。

レインボーハウス代表の岩上信子さんは「早く事態が収まって、ウクライナの子どもたちが福島に来てもらえるように、いまはただ祈るばかりです」と話していました。