岸田首相 ロシア中央銀行との取り引き制限決定 追加制裁措置

岸田総理大臣は28日夜、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行いました。このあと岸田総理大臣は記者団に対しロシアへの追加の制裁措置としてロシアの中央銀行との取り引きを制限することを決定したと明らかにしました。

岸田総理大臣は28日午後7時すぎから10分余り、ウクライナのゼレンスキー大統領と、ロシアによる軍事侵攻のあと初めてとなる電話会談を行いました。

このあと、岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し「日本はウクライナとともにあること、ロシアの侵略による犠牲者への心からのお悔やみ、そしてウクライナの主権と領土の一体性に対する確固たる支持を伝えた。わが国は主権と領土、そして祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民とともにある」と述べました。

そして、先に表明した1億ドル規模の円借款に加え、1億ドルの人道支援を行う方針を伝えたと説明しました。

そのうえで、ロシアへの追加の制裁措置としてロシアの中央銀行との取り引きを制限することを決めたほか、ロシアと同盟関係にあるベラルーシに対し、ルカシェンコ大統領をはじめとする個人・団体への制裁措置や輸出管理措置などを講じる考えを明らかにしました。

さらに、ウクライナに滞在する日本人の安全を確保するため、ウクライナ国境に近いポーランドのジェシュフ市に臨時の連絡事務所を開設し、陸路で退避する人たちの受け入れに万全を期す考えを示しました。

また「ウクライナの皆さんとの連帯の意思をさらに強固にするため、帰国に不安を抱く在留ウクライナ人の方々の在留の延長を可能とする措置をとる」と述べました。

そして、岸田総理大臣は、3月1日未明、アメリカのバイデン大統領が主催する各国の首脳によるウクライナ情勢に関する電話会議に参加し、ロシアへの制裁を含む今後の対応や、ウクライナや周辺諸国への支援などについて議論を行う考えを示しました。

このほか、会談ではゼレンスキー大統領から現在の情勢やウクライナ政府の対応について説明があったことを明らかにした上で「引き続き、日本に対してさまざまな協力や支援をお願いしたいという意向が表明された。大変な困難の中にあり、わが身の危険にも直面にしている中での電話会談で、真剣な姿勢を感じた」と述べました。

ロシア側が外貨準備として保有し日銀に置かれている円を凍結

政府は、日銀とロシアの中央銀行との取引を制限することになりました。

欧米各国と足並みをそろえ、ロシアの中央銀行が保有する資産を凍結して、外貨準備を活用できなくすることで、経済制裁の実効性を高めるねらいがあります。

関係者によりますと、具体的にはロシア側が外貨準備として保有し、日銀に置かれている円を凍結するとしています。

欧米などの経済制裁を受けて、28日の外国為替市場ではロシアの通貨・ルーブルが急落し、これまでの最安値を更新しました。

ロシアの中央銀行は、これまで通貨安を食い止めるため、外貨準備を取り崩してルーブルを買い支える市場介入を行ってきましたが、凍結によって外貨準備が活用できなくなれば、市場介入が難しくなります。

その結果、ルーブルの値下がりに歯止めがかからず、インフレが加速するなどしてロシア経済に打撃となります。

ロシアの中央銀行が保有する外貨準備はドルやユーロ、人民元などの割合が多く、円建ての外貨準備は数兆円とみられますが、欧米各国と足並みをそろえ凍結に踏み切ることで、経済制裁の実効性を高めるねらいがあります。