ロシアの軍事侵攻 日本政府 中国の覇権主義的行動の助長に懸念

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、政府は、中国の覇権主義的な行動を助長しアジア地域の秩序にも影響しかねないと懸念を強めていて、日米同盟と合わせて防衛力の強化を図っていく方針です。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について林外務大臣は26日、アメリカのブリンケン国務長官と電話で会談し、主権と領土の一体性を侵害する重大な国際法違反で決して認められないとして厳しく非難することで一致しました。

林大臣は「侵略」という表現を使い「今回の侵略は力による一方的な現状変更を認めない国際秩序の根幹を揺るがすもので、影響はヨーロッパにとどまるものではない。当然、東アジアなどのインド太平洋地域も含まれる」と述べました。

政府は、ロシアの力による現状変更の試みが台湾海峡や東シナ海などで海洋進出の動きを強める中国の覇権主義的な行動を助長し、アジア地域の秩序にも影響しかねないと懸念を強めていて、日米同盟と合わせて防衛力の強化を図っていく方針です。

また法の支配や民主主義などの価値観に基づく自由で開かれたインド太平洋を実現することの意義と重要性を改めて国際社会に強く訴える必要があるとして、首脳レベルも含めた外交を積極的に展開していきたい考えです。

政府 ベラルーシへの制裁検討 経済的な結びつきは…

ウクライナと国境を接するベラルーシについて、政府は、ロシアの軍事行動を支援した可能性があるとして制裁を科すことを検討していて、アメリカなど関係国の動向も踏まえ対応を判断する方針です。

外務省の海外進出日系企業拠点数調査によりますと、ベラルーシには2020年10月時点で、建設や医療・福祉などの分野で合わせて11の日本企業が進出しています。

日本からベラルーシへの2020年の輸出額は自動車部品や金属加工機械などを中心に52億8900万円、ベラルーシから日本への輸入額は肥料を中心に31億300万円となっていて、経済的な結びつきは限定的なものにとどまっています。

JETRO=日本貿易振興機構によりますと、ウクライナや隣国のベラルーシは欧米主要国と比べて優秀なエンジニアの賃金水準が低いことや、政府がスタートアップ企業の育成にも力を入れていることを背景に、IT産業の集積が進んでいるということです。

ベラルーシでもアプリ開発などを手がけるスタートアップ企業が相次いで生まれ、日本のIT企業の間でもこの地域への注目が高まっていたということで、経済制裁が実施されればこうしたIT分野のビジネスへの影響も懸念されています。