国連安保理 ロシア拒否権で決議案否決 ウクライナ大使は黙とう

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、国連の安全保障理事会ではロシア軍の即時撤退などを求める決議案が採決にかけられ、理事国15か国のうち11か国が賛成しましたが、ロシアが拒否権を行使し、決議案は否決されました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって、国連安保理では25日午後、日本時間の26日午前7時すぎから緊急の会合が開かれ、アメリカなどが提案した決議案の採決が行われました。

決議案は、ロシアの軍事侵攻に強い懸念を示した上で、ウクライナの主権と領土の一体性を改めて確認し、ロシアに対して軍の即時撤退を求めています。

採決の結果、理事国15か国のうち11か国が賛成し、中国、インド、UAE=アラブ首長国連邦は棄権しましたが、議長国で常任理事国のロシアが拒否権を行使し、決議案は否決されました。

これを受けてアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「無責任な常任理事国が権限を乱用し国連と国際社会のシステムを破壊した。ロシアは拒否権を行使できるが、われわれの声を拒否できない。真実を拒否できない」と述べ、ロシアを厳しく非難しました。
これに対してロシアのネベンジャ国連大使は「われわれはウクライナやウクライナの国民と戦争を行っているのではなく、東部の国民を守るために特別な作戦を行っている。目標はまもなく達成され、彼らは平和に暮らす機会を得るだろう」と述べ、強く反論しました。

今回の決議案は、理事国以外の日本なども含めおよそ80か国が共同で提案し、ロシアの国際的な孤立が際立つかたちとなりました。

一方で、国際社会がウクライナ情勢への懸念を強める中でも、紛争の当事者であるロシア自身の拒否権によって安保理の決議案が否決されたことで、国連の限界が浮き彫りにされたかたちです。

ウクライナ国連大使の呼びかけで各国が黙とう

安全保障理事会で決議案がロシアの拒否権によって否決された後、ウクライナのキスリツァ国連大使が発言し、ロシアを非難した上で「ウクライナで亡くなった人たちやこれから亡くなるかもしれない人たちのために、黙とうをささげよう」と呼びかけました。

これに対して、議長国ロシアのネベンジャ国連大使は、親ロシア派が事実上支配するウクライナ東部で犠牲になった人たちにも黙とうをささげるべきだとして遮ろうとしましたが、キスリツァ大使はそのまま黙とうを呼びかけ、各国の大使も数秒間、黙とうをささげました。

黙とうが終わると議場から大きな拍手が起こり、ロシアの国際的な孤立が際立つかたちとなりました。