ウミガメの排せつ物に不織布マスク 農工大などのグループ確認

岩手県の沿岸に生息していたウミガメの排せつ物に不織布のマスクが含まれていたのを確認したと、東京農工大学などの研究グループが発表しました。グループではコロナ禍でマスクの使用が日常化する中、捨て方によっては海洋生物に影響を及ぼすおそれがあると指摘しています。

東京農工大学や東京大学の研究グループでは岩手県の沿岸のウミガメについて生態を分析していて、去年8月に定置網にひっかかったアオウミガメを飼育していたところ、排せつ物にマスクが含まれていたのを確認したということです。

縦9センチ、横14センチほどの大きさのポリプロピレン製の不織布マスクで、ひもも付いて元の形が分かる状態でした。

15年ほど同じ場所で調査を続けていますが、不織布のマスクが見つかったのは初めてだということです。

グループではこのウミガメから採取した血液を詳しく調べ、マスクに含まれる物質が海洋生物にどういった影響をもたらすかを分析することにしています。

東京農工大学水環境保全学研究室の福岡拓也研究員は「ウミガメはのどを通るものは飲み込んでしまう性質があり、藻や海草などの餌と間違えて飲み込んだものと考えられる。不織布マスクにもプラスチック素材が使われているので、生物への影響も考えて適切に廃棄処分することが大事だ」と話しています。

マスクの「ポイ捨て」増える 海岸でも

コロナ禍でマスクの使用が日常化する中、ポイ捨てされるマスクが増えているという報告もあります。

清掃活動などの参考にするために、各地のごみ拾いの状況が投稿されるSNSアプリ「ピリカ」には、このところ「マスクがたくさんありました」とか「マスクポイ捨てしないで」などといった投稿が寄せられています。

「ピリカ」の調査によりますと、マスクに関する投稿は、感染拡大前の2019年の1月から5月までが104件だったのに対して、2020年の同じ時期は7倍以上の770件に増え、現在も投稿は続いているということです。

また、ごみ拾いをスポーツ感覚で楽しむイベントを運営している「日本スポGOMI連盟」によりますと、感染拡大後、捨てられるマスクは増加していて、街なかだけではなく海岸でも多く見られるということです。

馬見塚健一代表は「たまたまマスクを落としてしまうケースもあると思うが、そのままにせず適切に処分してほしい」と話していました。