ヨーロッパ 天然ガスをロシア以外から調達する動きが加速

ウクライナ情勢の緊張が高まる中、天然ガスの多くをロシアからの輸入に依存するヨーロッパでは、エネルギー安全保障の観点から、ロシア以外から調達する動きが加速しています。

ヨーロッパ最大規模のオランダのロッテルダム港では、LNG=液化天然ガスを積んだタンカーの出入りが去年12月半ばごろから増えていて、この2か月でおよそ60隻と、去年1年間の半分に相当するタンカーが入港したということです。

22日も、アメリカのテキサス州やエジプトなどから、LNGを積んだタンカーが相次いで出入りし、専用のふ頭では、夜を徹してLNGの荷降ろしが行われていました。

港を管理する公社の担当者は「ウクライナ情勢を背景にアメリカなどからのタンカーが増えていると聞いている。これまでにない忙しさだ」と話しています。

EU=ヨーロッパ連合は、輸入する天然ガスのおよそ4割をロシアに依存しており、欧米が制裁を科した場合、ロシアが対抗措置としてヨーロッパへのガスの供給を制限する可能性があるとして、アメリカや中東のカタールなど、ロシア以外からの調達を急いできました。

先月にはおよそ100億立方メートルを確保し、仮にロシアからの供給が滞ったとしても当面は対処できるとしています。

ただ、天然ガスの多くをロシアのパイプラインからの調達に依存してきたドイツなど、LNGを受け入れる施設がない国もあり、ほかの国からの輸送にコストがかかるなどして経済活動に影響する可能性があります。

脱炭素を急ぐヨーロッパでは、再生可能エネルギーの拡大に時間がかかる一方、石炭や石油より温室効果ガスの排出が少ないとして天然ガスの需要が一段と高まっていて、価格の高止まりが続いています。

ウクライナ情勢は、これに拍車をかける格好になっていて、調達先の多様化は、エネルギー安全保障の観点からヨーロッパの大きな課題になっています。