国連安保理 緊急会合を開催 欧米など各国とロシアが非難の応酬

ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部で親ロシア派が事実上、支配している地域を独立国家として、一方的に承認する大統領令に署名したことを受けて、国連の安全保障理事会で緊急の会合が開かれました。
アメリカなど各国が、ロシアの決定は国際法の原則を侵害するものだと厳しく非難したのに対し、ロシアはウクライナ東部の住民を保護するための措置だと反論し、非難の応酬となりました。

ロシアのプーチン大統領は21日、国民向けにテレビ演説を行い、ウクライナ東部で、親ロシア派が事実上支配している地域について、独立国家として一方的に承認する大統領令に署名しました。

これを受けて国連安保理では、アメリカ、フランス、イギリスなどの要請に基づいて、21日午後9時すぎから緊急の会合が開かれました。

会合では欧米など各国が相次いでロシアの決定を非難し、このうちアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「プーチン大統領の決定は国連加盟国であるウクライナへの攻撃で、国際法の原則を侵害するものだ。大統領はさらなる侵攻の口実も作ろうとしている」と厳しく非難しました。
これに対し、安保理の議長国を務めるロシアのネベンジャ国連大使は「ウクライナ軍が東部地域で軍事活動を激化させたことで、多くの女性や子どもの命が脅かされてきた。われわれの決定は住民を保護するためのものだ」と述べ、プーチン大統領の決定を正当化しました。

そして「欧米こそロシアによるウクライナ侵攻が差し迫っていると根拠のないパニックをあおり、武器や部隊を送っている」と欧米側の対応を厳しく非難し、双方の応酬となりました。

ウクライナ国連大使も出席 ロシアを厳しく非難

国連安保理の緊急会合には、ウクライナのキスリツァ国連大使も出席しました。

キスリツァ大使は、発言を前につけていたマスクを外し、「今や新型コロナウイルスに対するワクチンは存在するが、国連はクレムリンがばらまく別のウイルスによって毒されている」と述べ、ロシアを厳しく非難しました。

そして、ウクライナは固有の自衛権を持ち、いかなる挑発にも屈することはないと強調し、ロシアに対して今回の決定を取り消し、交渉のテーブルに戻るよう求めました。

そのうえでキスリツァ国連大使は、ロシアによる2008年のジョージアへの軍事侵攻や、2014年のウクライナのクリミアの併合を例にあげ、ロシアが周辺国への侵攻を繰り返してきたと指摘し「国連加盟国のうち、次に標的にされるのはどこなのか。ウイルスに屈するかどうかは加盟国の対応次第だ」と述べ、国際社会に対して直ちに行動を起こすよう訴えました。