スピードスケート【詳細】高木美帆が銀メダル 女子500m

北京オリンピックのスピードスケート、女子500メートルで高木美帆選手が37秒12の自己ベストをマークして銀メダルを獲得しました。
一方、前回大会、金メダリストの小平奈緒選手は17位でメダルを逃しました。

スピードスケートの女子500メートルには30人が出場し、日本からは3人が出場しました。

高木選手は最初の100メートルを全体の5番目で通過しましたが、持ち味の持久力を生かした伸びのある滑りを見せ、37秒12の自己ベストをマークし、銀メダルを獲得しました。
高木選手は今月7日の女子1500メートルで銀メダルを獲得していて、今大会2つめのメダルです。

一方、前回のピョンチャン大会の金メダリストで連覇を目指した小平選手は、スタートでつまずいてスピードに乗ることができず、38秒09で17位となり、メダルを逃しました。

開会式で日本選手団の旗手を務めた郷亜里砂選手は、果敢に飛び出し37秒983のタイムで15位でした。

金メダルは37秒04のアメリカのエリン・ジャクソン選手、銅メダルは37秒21のROC=ロシアオリンピック委員会のアンゲリナ・ゴリコワ選手でした。

銀メダル 高木「こん身のレースができた」

銀メダルが決まった瞬間、飛び上がって喜んだ高木選手は、「苦しい時期が続くなか自己ベストを出せたこと、こん身のレースができたことがうれしかった。今は正直、驚いている気持ちでいっぱい」と笑顔で話しました。

1500メートルに続いての銀メダルについては、「正直なところ、500メートルに出るかどうか本気で考えたこともあったが、最後まで挑戦してよかった。まだパシュートも1000メートルも残っているので、この喜びは頑張っている自分にもすごくいいことだと思うので、まずはしっかり受け止めて切り替えてから次に向かいたい」と話しました。

【オールラウンダー 日ごろから“切り替え”を意識】
高木選手が「1つのミスも許されない一番難しい種目」としていた女子500メートルで銀メダルを獲得しました。
高木選手は、オリンピックの個人種目で金メダルをとることと同様に、短距離から長距離までこなすオールラウンダーとして世界で戦い続けることを重要視してきました。短距離から長距離までの4種目で競う世界オールラウンド選手権で日本選手で初めて総合優勝を果たした経験も。
そのこだわりの強さは今大会、個人種目で4種目にエントリーしていることからも分かります。
今回、500メートルに出場するうえで、高木選手が意識していたのが、「長距離から短距離のスイッチの切り替え」でした。国内大会は、3000メートルと500メートルが同じ日に行われることが多かったため、レースとレースの間の数時間で力配分などの切り替えを日頃から意識していました。
前日に女子団体パシュートで2400メートルを滑っていましたが、この日頃から意識していた切り替えがうまくいき500メートルでのメダル獲得につなげました。
【冬季五輪最多 通算5個目のメダル】
高木選手は、オリンピックで通算5つめのメダルとなり、日本選手が冬のオリンピックで獲得したメダルの最多記録を更新しました。
今大会5種目に出場する予定の高木選手は、13日に獲得した500メートルの銀メダルが1500メートルの銀メダルに続く今大会2つめのメダル獲得でした。
これでオリンピックで通算5つめのメダルとなり、日本選手が冬のオリンピックで獲得したメダルの最多記録を更新しました。
500メートルの銀メダルについて高木選手は「チャレンジした証しなので誇りに思っている」と話していました。
高木選手は、1000メートルと団体パシュートの2種目を残していて、さらなるメダルの獲得が期待されています。

【試合後の一問一答】
ー今の気持ちは
「苦しい時期が続くなか自己ベストを出せたこと、こん身のレースができたことがうれしかった。今は正直、驚いている気持ちでいっぱい」
ー滑り終わってから結果が出るまで長かった
「パシュートも近いので、まずは自分の体をリカバリーさせなきゃなというのと、時間が今日だけはナイトレースということで、どうやってリズムを戻そうかということも考えてはいたんですけれど、組を重ねるごとにメダルの可能性が出てきたので後半になってくるとちょっとそわそわしはじめた」
ー自身5個目のメダル。これまでとは違う意味があるか
「正直なところ、500メートルに出るかどうか本気で考えたこともあったが、最後まで挑戦してよかった。500メートルに関してはチャレンジした証しだと思っているので、すごく誇りに感じる」
ー次は団体パシュート
「団体パシュートは個人種目とは全く違った重みがある。ひと言で表せるものではないが、何が起こるか分からない種目。ひとつひとつを大事にしつつも上をみてチーム全員で挑戦していきたい」

15位の郷「結果に納得している」

15位の郷選手は「今までやってきたことを出そうと思って、それができたと思う。この結果に納得している」と晴れ晴れとした表情で話していました。

また、所属チームがある愛媛県の人たちに向けて「オリンピックに来るまで支えてもらい、応援してもらっていまの私があるので、2回目のこの舞台に立ってレースができてすごく幸せだし、みなさんにレースを届けられて良かった」と話していました。
【笑顔で終えた2回目のオリンピック】
4日の開会式で日本選手団の旗手を務めた郷選手。
「笑顔で終われるオリンピックにしたい」
この思いを胸にレースに臨みました。
30歳で初めて出場した4年前のピョンチャン大会で、郷選手はメダルを目標に500メートルに挑み、8位に入賞したものの、わずか0秒33の差でメダルに届かず悔し涙を流しました。

「オリンピックの舞台に立って、メダルを取ることがどれだけ難しいことなのか。自分があの舞台に立って感じることもたくさんあった」

郷選手はピョンチャン大会の直後に一線を退くことを決めました。しかし、指導者として後進の育成にあたる中、「スケートが好きな気持ちや、もう一度滑りたいと思っている自分に気がついた」と心機一転、翌2019年に現役復帰を決めました。
おととしには国内の大会で長年、背中を追い続けてきたピョンチャンオリンピックの金メダリストの小平奈緒選手を僅差で破って優勝するなど、世界で戦える力をつけてきました。

そして、今大会の日本選手団の旗手に選ばれました。

「スケートを続けて来られたのもたくさんの人の支えがあったからで、恩返しの気持ちを込めて、笑顔で終われるオリンピックにしたい」

迎えた本番、スタートで果敢に飛び出し最後まで粘りきってフィニッシュ。結果は15位と2大会連続の入賞を逃しましたが、郷選手は「すべて出しきった」とすっきりした表情で振り返り、笑顔でオリンピックを終えました。

17位 小平「挑戦することしか私にはできることはない」

小平選手は17位で女子500メートルで連覇はなりませんでしたが、自分自身に投げかけてきた問いと向き合い続けてきた4年間をフィニッシュしました。
去年12月、ワールドカップ第4戦に向かう途中、小平選手は突然、担当のコーチにこう伝えました。
「先生、分かりました」
4か月考え続けていたある問いの答えが見つかった瞬間でした。
“自分は何者なのか”
この壮大な問いについて考えるきっかけとなったのが、東京オリンピックの柔道男子73キロ級で大野将平選手がオリンピック2連覇を達成したあとのインタビューです。
「自分は何者なのかを確かめるために、証明するために戦うことができました」
このことばが印象に残った小平選手は「自分の中で答えを出して、北京オリンピックのスタートラインに立ちたい」と自問自答を頭の中で繰り返してきました。

そして、その答えが突然浮かんだのが、去年の12月でした。その答えは…
「何者にもなる必要はないし、ほかの何かになろうとしていたんじゃない。私以外の何者でもない。私は私」
前回のピョンチャン大会、女子500メートルで金メダルを獲得すると周りの人が作る「小平奈緒像」と本当の自分との差に悩まされ、周りと壁を作っていたといいます。
心境が変わったのが、地元・長野を襲った2019年の台風19号による豪雨災害でした。小平選手は、練習の合間を縫ってボランティア活動に参加しました。
そこで、アスリートではなく、1人の市民として地域の人と交流を重ねていくことで徐々に自分の中に作っていた壁がなくなっていきました。そこで感じたのがありのままの自分でいることの大切さでした。

昨シーズン、股関節の違和感で一時不調に陥り結果が残せなかったときも「勝てない姿をみせることは、はずかしいとほかの選手は思うかもしれないが、それを乗り越える姿を見て、共感してもらえたらいい」と話す表情は穏やかでした。

北京大会では「自分のスケートがこれだというものを表現したい。大好きなスケートに、自分の滑りに没頭したい、ただただそれだけ」と臨みましたが、17位。

レース後、小平選手は「スタートの1歩目でつまずいたのが本当に悔やまれる。失敗も含めて、こんな表現しかできなくて、応援してくれた人に申し訳ない」と肩を落としていました。

そして1000メートルに向けては、「挑戦することしか私にはできることはないと思うので、かっこ悪くても1000メートルを歯をくいしばって、やりたい表現を氷の上にのせていきたい。氷としっかりやりとりをして、会場の空気を温かく包み込めるようなそんなスケーティングができたらいいなと思う」と前を向いていました。

金メダルはエリン・ジャクソン

日本の最大のライバルと目されたアメリカのエリン・ジャクソン選手。
スピードスケートの個人種目で、アフリカ系アメリカ人の女子選手として初めてメダルを獲得しました。

元々はインラインスケートの選手だったジャクソン選手は、2017年にスピードスケートに転向すると、翌年のピョンチャン大会に初めて出場するなど、急激に力をつけてきました。

冬のオリンピックで黒人選手が活躍した例としては、2006年のトリノオリンピックのスピードスケート、男子1000メートルで、黒人選手として初めて個人種目で金メダルを獲得し、その後も2連覇を果たしたアメリカのジャニー・デービス選手などがあげられますが、まだまだ少ないのが現状です。

今回、金メダルを獲得したジャクソン選手は、去年11月、黒人女子選手としては初めてスピードスケートのワールドカップで優勝するなど注目を集めてきました。

そして、ジャクソン選手は、スピードスケートの世界で人種の多様性が増すことを願いながらこのオリンピックに臨み、見事に滑りで存在感を示しました。

【女子500m 経過】

【現地21:56】
女子500メートル始まる。1組目がスタート。
【現地22:04】
高木美帆選手が4組目に登場。アウトスタートで滑り、タイムは37秒12の自己ベストで暫定トップ。
【現地22:06】
5組まで終了。高木美帆選手は暫定トップのまま。
【現地22:09】
6組まで終了。高木美帆選手は暫定トップのまま。
【現地22:14】
7組まで終了。高木美帆選手は暫定トップのまま。
【現地22:16】
8組まで終了。高木美帆選手は暫定トップのまま。
【現地22:19】
9組まで終了。高木美帆選手は暫定トップのまま。
【現地22:22】
郷亜里砂選手が10組目に登場。インスタートで滑り、タイムは37秒98で、この時点で8位。依然として暫定トップは高木美帆選手。
【現地22:24】
11組まで終了。暫定でトップが高木美帆選手。郷亜里砂選手は9位。
【現地22:27】
12組まで終了。暫定で高木美帆選手がトップ。郷亜里砂選手は10位。
【現地22:30】
小平奈緒選手が13組目に登場。アウトスタートで滑り、タイムは38秒09で暫定13位で大会連覇ならず。暫定で高木美帆選手がトップ。郷亜里砂選手は11位。
【現地22:32】
14組目に登場したアメリカのエリン・ジャクソン選手が37秒04で暫定トップ。高木美帆選手は2位に後退。
【現地22:35】
最終15組が終了。
高木美帆選手が銀メダルを獲得。

1位 エリン・ジャクソン(アメリカ):37秒04
2位 高木美帆:37秒12
3位 アンゲリナ・ゴリコワ(ROC):37秒21
15位 郷亜里砂選:37秒983
17位 小平奈緒:38秒09

【滑走順】

1組
IN:ミハエラ・ホガシュ(ルーマニア)
OUT:マリア ビクトリア・ロドリゲス ロペス(アルゼンチン)
2組
IN:サンドリーヌ・タス(ベルギー)
OUT:ジュリーニースタッド・サムソンセン(ノルウェー)
3組
IN:ニコラ・ズドラーハロバー(チェコ)
OUT:マルティネ・リプスルード(ノルウェー)
4組
IN:バネッサ・ヘルツォーク(オーストリア)
OUT:高木美帆(日本)
5組
IN:マーシャ・フーディー(カナダ)
OUT:ブリタニー・ボウ(アメリカ)
6組
IN:エカテリーナ・アイドワ(カザフスタン)
OUT:コウ・郁テイ(台湾)
7組
IN:金京珠(中国)
OUT:ユタ・レールダム(オランダ)
8組
IN:ヘザー・マクリーン(カナダ)
OUT:ミシェレ・デ ヨング(オランダ)
9組
IN:フェムケ・コック(オランダ)
OUT:ブルックリン・マクドゥガル(カナダ)
10組
IN:郷亜里砂(日本)
OUT:キム・ミンソン(韓国)
11組
IN:キミ・ゲッツ(アメリカ)
OUT:ダリア・カチャノワ(ROC)
12組
IN:田ゼイ寧(中国)
OUT:ハンナ・ニファンタワ(ベラルーシ)
13組
IN:アンゲリナ・ゴリコワ(ROC)
OUT:小平奈緒(日本)
14組
IN:エリン・ジャクソン(アメリカ)
OUT:カヤ・ジオメク(ポーランド)
15組
IN:オリガ・ファクトリナ(ROC)
OUT:アンジェリカ・ボイチック(ポーランド)