AED使用率 コロナ感染拡大で大幅に下がる 救命率も低下

突然、心停止した人の救命に欠かせないAEDの使用率が新型コロナウイルスの感染拡大以降、大幅に下がり、救命率も低下していることが分かりました。
医師などでつくる団体は、対策を取ったうえで救命処置に協力してほしいと呼びかけています。

AEDは突然の心臓の異常で心停止した人に電気ショックを与える医療機器で胸骨圧迫とともに救命処置に欠かせず、全国に60万台以上設置されています。

総務省消防庁と日本AED財団によりますと、誰かの目の前で倒れた人がAEDで電気ショックの処置を受けた割合を示す「使用率」は年々上昇傾向にあり、2019年に5%を超えましたが、新型コロナの感染が拡大した2020年には4.2%に下がりました。

また、救命率の指標となる、心停止から1か月後に社会復帰できた人の割合も同様に9%から7.5%に低下していて、人との接触を避けたい心理からAEDの使用をためらうケースもあると見られています。

このため、日本AED財団は緊急の声明を出し、処置の際に相手の口を布などで覆えば感染のリスクを減らせるとして、倒れた人に反応がなく呼吸がふだんどおりでなければ119番通報と胸骨圧迫、そしてAEDの使用を呼びかけています。

日本AED財団の三田村秀雄理事長は「心臓が止まった人の命は救急隊の到着を待っていては救えないので、コロナ禍であっても命を救うために市民の協力をお願いしたい」と話しています。