オミクロン株の「BA.2」ゲノム解析で従来株と異なる変異箇所

オミクロン株の系統の1つで、海外の一部の国で広がっている「BA.2」と呼ばれる変異ウイルス。都内にある大学のウイルス学の専門家が患者の遺伝情報を調べたところ、従来のオミクロン株と同じく30か所以上の変異があるものの変異箇所が相当数異なっていたということです。この患者は海外への渡航歴がなく、市中感染の疑いがあり、専門家は「変異箇所の違いが感染のしやすさにどう影響を及ぼすのか、慎重に見ていく必要があるが、これが広がると第6波が長引く可能性がある」と指摘しています。

東京医科歯科大学の武内寛明准教授は、オミクロン株の系統の1つ、「BA.2」に感染し、この病院で治療を行った患者のゲノム解析を行い、従来のオミクロン株「BA.1」との違いを分析しました。

その結果、ウイルスが人間の細胞と結びつく鍵となる「スパイクたんぱく質」に、従来のオミクロン株と同じく、30か所以上の変異があったものの、変異箇所が相当数異なっていたということです。

上段が従来のオミクロン株「BA.1」、下段が「BA.2」で、紫色などが変異している箇所です。

詳しく見ると、アルファ株と同じ「N501Y」の変異、オミクロン株の感染力の強さに影響を及ぼすことが最近の研究で分かってきた「H655Y」の変異は、いずれもありますが、「T19I」のように、従来のオミクロン株にはなかった変異箇所も9か所、確認されました。

武内准教授は「変異箇所が異なる場所に、『BA.2』の感染伝播性の優位性を決める変異があるのではないか」として、それぞれの違いを慎重に見ていく必要があるとしています。

さらに、解析を行った患者は、65歳未満で軽症だったものの、海外への渡航歴がなく、感染経路が分からず、市中感染の疑いがあるとしています。

武内准教授は「『BA.2』の市中感染の始まり、それに近い状況が起きつつあり、オミクロン株による第6波の収束に影響を与える可能性が否定できない。第6波を長引かせないために新たな変異株の市中流行を食い止める必要がある」と指摘しています。