オミクロン 濃厚接触者になったら 知っておきたいこと【2/3】

新型コロナウイルスのオミクロン株の感染急拡大が続いています。3日、感染確認の発表が過去最多となったほか、これまでの累計は300万人を超えました。

「自分が濃厚接触者になった」「家族や同居する人が濃厚接触者になった」
いま、そんな人も多いのではないでしょうか…?

濃厚接触者になると一定の期間、自宅での待機が必要とされます。
何日間の待機が必要なのか?
家族や生活はどうするのか?
そうしたさまざまな疑問について最新の情報をまとめました。

■濃厚接触者の定義

濃厚接触者は感染した人と近距離で接触したり長時間接触したりして、感染している可能性がある人です。厚生労働省などによりますと、濃厚接触者かどうかを判断する際の重要なポイントは次のとおりです。
【接触の期間】
・感染者がウイルスを排出しなくなる発症後10日間たつまでの間(感染者が無症状の場合は検査のための検体を採取してから7日間)

【接触の目安】
・マスクなどをつけずに感染者に手で触れたり、お互いに手を伸ばしたら届く距離で15分以上接触したりした場合
・感染者の体液などがついたものに直接触れた可能性のある場合など

家族に感染者がいる場合や感染者の介護をしている場合などはこの目安に当てはまることになると思われます。

●濃厚接触者とみなされないケースも
しかし医療機関や介護施設で行われているようにしっかりとした感染予防策が取られていた場合は濃厚接触者とはみなされません。また15分以上の接触といっても会話をしていたか、歌を歌ったり大声を出したりするような環境だったか、換気が十分にできていたかなど、その場の具体的な状況によって濃厚接触者と判断されるかどうかは変わってきます。

■保健所が判断も…

濃厚接触者に当たるかどうかは保健所が判断していましたが、厚生労働省は感染状況が悪化した場合などでは地域の状況に応じて柔軟に判断することを認めています。このため感染が広がっている現在、保健所が高齢者施設や医療機関など重症化するリスクの高い場所を優先して判断する地域が多くなってきています。

<大阪>感染者の同居家族“濃厚接触者としての対応を”

例えば大阪府では同居する家族については基本的には保健所の連絡を待たずに濃厚接触者としての対応をするよう呼びかけているということです。

また感染者が確認された学校や会社などではそれぞれの学校や会社などに濃厚接触者かどうかを判断をしてもらっていて、それ以外の場所での濃厚接触者については感染した本人から濃厚接触者と考えられる人に連絡してもらうようにしているということです(※参照:大阪府 陽性者と濃厚接触の可能性がある場合の対応について)。

■待機期間は原則7日間

厚生労働省ではオミクロン株の潜伏期間などの最新の科学的な知見を踏まえ先月、濃厚接触者の自宅などでの待機期間を当初の14日間から7日間に短縮しました。
つまり感染者と最後に接触した日を0日として7日間は自宅などでの待機が求められることになります。ただ医療従事者などのいわゆる「エッセンシャルワーカー」については、自治体の判断により4日目と5日目に国内で承認されている抗原検査キットで陰性が確認された場合は5日目から解除できるとしています。

●“7日間で待機解除も10日間たつまで対策を”
国立感染症研究所によりますと、オミクロン株に感染した場合、7日目までに発症する確率は94.5%、10日目までに発症する確率は99.2%となっています。つまり7日間の待機期間では5%程度のリスクが残るとされています。

このため厚生労働省では、待機が解除されたあとも10日間たつまでは検温など自分で健康状態を確認することや、リスクの高い場所や会食などを避けたりマスクを着用したりするなど感染対策を徹底することを求めています。

■感染者の同居家族が濃厚接触者に

同居している家族が感染した場合「最後に接触した日」というのは、感染者が入院したり個室などに隔離された状態になった日とされています。

ただ感染したのが幼い子どもや介護を必要とする人の場合は、自宅療養中に隔離を徹底するのは困難です。こうした場合、これまでは濃厚接触者になった家族は感染者の療養が終わった日を0日として原則としてそこからさらに7日間の自宅待機が必要とされていました。
これについて国は今月2日付けで、感染者と同居している家族が濃厚接触者になった場合の自宅待機期間を短縮しました。これにより家庭内で感染対策を取っていれば待機期間は感染者が発症してから7日間(発症日を0日と数えます)などとなりました。

少し複雑になりますが、詳しくは次のとおりです。

1. いつからいつまで待機?

1. 感染者が発症した日
2. 感染者が無症状の場合は検体を採取した日
3. 感染が分かって感染対策を取った日

この1~3の中で最も遅い日を0日とします。そこから7日間、自宅などで待機して8日目に解除されます。

●感染対策とは?
厚生労働省によりますと、今回想定されている感染対策は完全に部屋を分けて一切の接触を無くすといった厳格な隔離ではないということです。具体的に次のようにされています(日常生活を送るうえで可能な範囲で)。
▽マスク着用
▽手洗い・手指消毒
▽物資等の共用を避ける
▽消毒の実施など

また厚生労働省によりますと、幼い子どもでマスクの着用を徹底するのが難しい場合などは手洗いを徹底したり、タオルなどの共用を避けたりするなどの対策が考えられるということです。このほかにも換気をする、極力接触を避けるなど基本的な感染対策はできるかぎり取る必要があります。

2. 待機期間中に別の家族が発症したら?

最初に感染が分かった家族とは別の家族が待機期間中に感染確認された場合は改めて日数を数え直すことになります。

3. 子どもが感染した場合は?

【軽症で自宅待機の場合】
すぐに家庭内での感染対策を取った場合を考えてみます。子どもの発症日を0日として家族は7日間自宅待機となります。そして8日目に解除となります。また感染した子ども自身は発症日を0日として10日間、かつ症状が治まって72時間たっていれば検査を受けなくても療養が終了となります(※症状が悪化するなどした場合は必ず相談窓口などに相談してください)

【無症状の場合】
感染した子ども本人は検体を採取してから7日間たてば療養を解除できます。そして濃厚接触者についても感染した子どもが検体を採取した日を0日として7日間が自宅待機期間となります(検体採取日から家庭内で感染対策をとった場合)。つまり感染した子どもも家族も同時に解除できる可能性があります。ただ当初は無症状でもその後発症した場合は改めて発症日を0日として数え直すことになります。

●早めの対策で自宅待機も早く解除される可能性
いずれの場合も検査結果が分かった日が起点ではありませんから、検査を受けた日に結果を待たずに感染対策を始めれば濃厚接触者の自宅待機もその分早く解除される可能性があります。

4. 解除後 ふだんの生活は?

濃厚接触者の自宅待機が解除されれば通勤や通学などができるようになります。ただ感染者の療養期間が終わるまでは発熱がないか検温するなど自分で健康状態を確認したり、リスクの高い場所の利用や会食を避けたりするなどの感染対策が求められています(※療養期間や待機期間にかかわらず一般的な感染対策は継続することが必要です)。

■自宅待機中の生活

自宅待機の際には不要不急の外出はできるかぎり控え、やむをえず外出する場合にはマスクの着用や手洗いなどの感染対策を行って人との接触を避けることとされています。また通勤や通学も控える必要があるということです。
オミクロン株の流行が主流となって期間は短縮されましたが、オミクロン株であっても感染が起こる仕組みや場面自体は変わらないとされているため自宅待機中の対策の内容も基本的には変わりません。

東京都の新型コロナ対策を担当する感染症対策部では次のようにしています。
▽不要不急の外出は控え、職場や学校には行かずに自宅で待機
▽待機中は毎日朝と夕方の2回、体温を測って体調に異常がないか確認
▽発熱やせきなどの症状が出たら、かかりつけ医か新型コロナの検査や診療が可能な医療機関を受診
▽なるべく公共交通機関の利用を避ける

ただ厚生労働省では受験をする場合はガイドラインに基づいて必要な対策が取られた会場などで試験を受けることができるとしていて、その場合は外出も認められるということです。

濃厚接触者になった場合は決められた期間がすぎるまでは「もしかしたら感染しているかも」と考えて行動することが重要です(※参照:東京都のHP「身近な人が新型コロナウイルス感染症になった方へ ~自分が濃厚接触者だと思ったら~」)。

■家族に濃厚接触者が出た場合

家族に濃厚接触者が出た場合について東京都の感染症対策部によりますと「『濃厚接触者の濃厚接触者』という概念はないため濃厚接触となった人を除いて家族全員が行動を制限されることはなく、行政としても行動は制限していない」ということです。

ただ勤務先や通学先などで個別にルールを定めている場合もあるため、会社や学校と話し合ってそれぞれのルールに従ってほしいということです。

もちろん濃厚接触者が待機中に発症するなどして実は感染していたことが分かる可能性もあります。万が一感染していた場合に備えて、濃厚接触者となった家族の待機期間中は次のようなことに注意してほしいということです。
▽家庭内でのタオルの共用を避けたり、食事の時間をずらしたりするなどできるかぎり空間を分けて生活する
▽マスク着用などでせきエチケットを守る、手洗いやアルコール消毒などを心がける
▽ドアノブやテレビのリモコンなど頻繁に触れるものの消毒
▽定期的に換気をする

●“油断しないで”
オミクロン株は重症化する割合が低くなったと言われていることから、ついついこれまでよりも軽く考えてしまうこともあるかもしれませんが、それでも高齢者や基礎疾患がある人などを中心に重症化する人が世界中で報告されています。油断せずに、特に基礎疾患があったり高齢だったりして重症化のリスクが高い家族がいる場合は注意が必要です。

■家族の感染確認 “従来の対策徹底で感染防げる”

国立感染症研究所などの調査によりますと、初期の分析結果でオミクロン株の家庭内での感染率は30%~45%程度となっていてデルタ株よりも高い可能性があるということです。

ただこの調査では、オミクロン株でも感染経路はこれまでの新型コロナウイルスと変わらず飛まつ感染や換気の悪い場所でのいわゆる「マイクロ飛まつ(エアロゾル含む)」による感染が中心だったということで、従来からの感染対策を徹底することで防ぐことができると考えられています。

厚生労働省が作成している注意の呼びかけイラストでは家族に感染者が出た場合に次の注意点を挙げています。

1. 部屋を分ける
2. 窓を開けて換気
3. マスクを着用
4. こまめな手洗い、手で触れる部分を消毒
5. 汚れたリネンや洋服は洗濯
6. ゴミは密閉して捨てる