政府 東京の病床使用率50%超も“緊急事態宣言”は慎重に対応

東京都の新型コロナの病床使用率が、都が「緊急事態宣言」の発出の要請を検討するとしていた50%を超えましたが、政府は社会経済活動を維持するためにも、宣言の発出はできるだけ回避したい考えで、重症者用の病床の使用率などを注視しながら、慎重に対応する方針です。

新型コロナの感染拡大が続く中、2月1日の新規感染者数は、東京では1万4445人と火曜日としては最多となり、全国では8万人を超えて過去3番目に多くなりました。

都内の病床使用率は2月1日の時点で50.7%となり、都が緊急事態宣言の発出の要請を検討するとしていた50%を超えました。

政府は、感染力が強いものの重症化率は低いとされるオミクロン株の特性を踏まえ、社会経済活動を維持するためにも、宣言の発出はできるだけ回避したい考えで、重症者用の病床の使用率などを注視しながら、慎重に対応する方針です。

一方、「まん延防止等重点措置」について、和歌山県が適用を要請する意向を示し、ほかにも要請を検討している自治体があることから、政府は要請があれば2月2日、岸田総理大臣と関係閣僚が対応を協議し、3日にも決定することにしています。

また、すでに適用している34都道府県のうち、東京をはじめとする首都圏の1都3県や東海3県など13都県は2月13日の期限まで残り10日余りとなっています。

政府内では、このまま感染状況が大幅に改善しない場合は延長も検討すべきだという意見が出始めていて、自治体の意向も踏まえながら、来週、13都県に対する重点措置の扱いを判断する方向です。

松野官房長官「東京への宣言発出検討せず」

松野官房長官は午前の記者会見で、「東京都の医療状況は、昨年8月半ばのピーク時には、確保していた病床が十分に稼働せずに待機者が発生していたのに対し、現在は病床数や稼働率を引き上げ、きのう時点の病床使用率は50.7%にとどまっている。特に重症病床の使用率は昨年夏は満床状態だったのに対し、きのう時点で37.2%、東京都の基準では5.5%となっている」と述べました。

そのうえで「政府としては現時点で緊急事態宣言の発出は検討していない。まずは病床の状況や、すでに実施されている施策の効果を含め、今後の感染状況や医療のひっ迫度合いなどを最大限の警戒感を持って注視しつつ、知事や専門家と緊密に連携して対応していきたい」と述べました。

一方、「まん延防止等重点措置」の適用をめぐって「現時点で、和歌山県を含め、未実施の都道府県から要請は受けていない。要請がなされた場合には、国会の付帯決議を踏まえ、速やかに検討する」と述べました。