ミャンマー「沈黙のストライキ」で街は閑散 クーデターから1年

ミャンマーでは、軍がクーデターを起こしてから1日で1年になります。クーデターに抗議する市民がSNSで呼びかけ合い一斉に仕事を休んで外出を控える「沈黙のストライキ」を行い、街は閑散として軍の統治を受け入れていないことを示しました。

ミャンマーでは去年2月1日、軍がクーデターを起こしてアウン・サン・スー・チー氏ら民主派の政治指導者を次々と拘束しました。

これに抗議する市民は一時、街頭で大規模なデモを連日行いましたが、軍が実弾を発砲するなど激しい弾圧を加えて抑え込み、今では小規模な抗議活動が散発的に行われるのみとなっています。

こうした中、1日、クーデターから1年になるのに合わせて、市民がSNSで呼びかけ合い、一斉に仕事を休んで外出を控え、商店なども休業することで軍への抗議の意思を示そうという「沈黙のストライキ」を各地で行いました。

その結果、最大都市のヤンゴンでは車や人の通りがふだんに比べて大きく減って、街全体が閑散としていました。

軍は、数日前から「沈黙のストライキ」の参加者には法的措置を取ると警告し、軍や警察の車両が頻繁にパトロールを行ったことから大通り沿いの店は開いているところが目立ちましたが、客の姿はほとんど見られませんでした。

ミャンマー国内では1日は各地でこうした状態になり、市民はクーデターから1年がたった今も軍の統治を受け入れていないことを示しました。

最大都市ヤンゴン 市民の抵抗根強く

ミャンマーの最大都市ヤンゴンの街なかでは、仕事や買い物をする人が大勢行き交い、大通りは車が渋滞し、けん騒が戻っています。

街は一見、日常を取り戻したかのように見えますが、市民は軍の統治を受け入れておらず抵抗を根強く続けている様子があちらこちらで見て取ることができます。

その1つが不買運動です。

ミャンマーでは国営の宝くじの人気が高く売り場が多くありますが、閉店している店が目立っています。

収益が軍に流れるのを防ぐのがねらいで、地元メディアによりますと売り上げが10分の1以下に落ち込んだという店も少なくないということです。

このため、国営の宝くじは抽せんを遅らせたり、賞金額を3分の1に減らしたりするといった影響も出ています。

不買運動は、軍とのつながりが深くその資金源にもなっているいわゆる「軍系企業」の製品も標的となっています。

「レッド・ルビー」という銘柄のタバコは、以前は値段も手ごろで非常に人気が高かった商品です。

それでも愛煙家たちは吸いなれた味を捨ててほかの企業のタバコを買うようになっています。

レッド・ルビーの購入をやめた人たちは「軍にお金が流れれば彼らはそれで国民を殺す。それは受け入れられない」とか「軍を一切支援しない。これは子どもや次の世代のためだ」などと話しています。

抵抗の様子は、国のシンボルと言われる高さおよそ100メートルの黄金の仏塔「シュエダゴン・パゴダ」にも見られます。

軍の統制下になってからは訪れる人が以前に比べ少なくなっています。

本来ならもっとも人出の多い、休日の朝の時間帯でも人影はまばらで、閑散とした状態が続いています。

大切な聖地だからこそ、軍の管理のもとでは訪れたくないという市民の抵抗心がこうした状況を生んでいるということです。

街のところどころにかいま見える抵抗運動ですが、求心力をもって大規模な形で行われるケースも出てきています。

去年12月10日の世界人権デーに合わせて「沈黙のストライキ」が全土で行われました。

市民が一斉に仕事を休み、店も休業することで、軍への抗議の意思を示すという取り組みです。

これに対し、軍は商店主らに店を閉めないよう命令し、参加した場合には禁錮刑に処すなどと周知して取り組みを潰そうとしました。

それでも当日は、街から人影が消え、軒並み店は閉じて、ゴーストタウンのようになり、市民の軍に対する根強い抵抗心と団結を如実に示す形となりました。

抵抗運動が続く中、軍は市民の声に耳を傾ける姿勢は全くなく、両者の溝が埋まる気配は見えていません。

地方で軍と少数民族武装勢力の戦闘続く 避難民も

ミャンマーでは、主に地方で軍と少数民族の武装勢力との戦闘が続いているため多くの住民が家を追われ、避難生活を強いられています。

このうち、ミャンマー南東部のカレン州では、軍と少数民族の武装勢力との戦闘が続き、去年12月には戦闘が一段と激しくなりました。

その際、一部の住民は家を追われて川を挟んだ対岸のタイ側に一時、数千人が避難し、今もミャンマー側の国境付近のキャンプではこうした人たちが避難生活を続けています。

1日、NHKがタイ側から取材したところ、キャンプでは、住民たちが木をおので割ってまきを作ったり、子どもたちがボールを使って遊んだりしている様子を見ることができました。

クーデターから1年となる1日はこの近辺での戦闘は確認されていませんが、キャンプとその周辺には今もおよそ1000人が避難しているということです。

日本に暮らすミャンマー人ら 外務省前で抗議活動

クーデターの発生から1日で1年になるのに合わせ、東京の外務省の前に日本に暮らすミャンマー人などおよそ300人が集まり、抗議活動を行いました。

参加者たちは「スー・チー氏を解放しろ」とか「日本政府はミャンマーの軍主導の政権を認めるな」などと声を上げて、日本政府に対しミャンマーの民主化に向けて働きかけを強めるよう訴えました。

現地の人権団体によりますと、クーデター以降、軍の弾圧でこれまでに1500人以上が亡くなっているほか、国連の推計では戦闘から逃れるために家を追われた人は30万人以上に上り人道危機が深刻化しています。

参加した30歳の女性は「子どもや女性を含め何の罪もない人たちが日々殺されていて、ことばがありません。日本の皆さんにもミャンマーを応援してほしいです」と話していました。

また、別の男性は「戦闘が続く中、命をかけて戦っている人もいてとても心配です。軍の行為は絶対に許せません」と話していました。

サッカー元ミャンマー代表選手も参加

1日の抗議集会には、サッカーの元ミャンマー代表でピエ・リアン・アウンさんも駆けつけました。

アウンさんは去年、サッカー・ワールドカップの予選のため来日した際、試合前に3本の指を立てて軍に抗議の意思を示したため、迫害のおそれがあるとして日本にとどまり、その後、難民認定されました。

アウンさんは集会で「ミャンマーに自由を」とか「日本政府はミャンマー国民の声に耳を傾けろ」などと声をあげました。

スピーチでは「現地で軍と戦っている人や家を追われ、避難している人たちをもっと支援してください。それが私の願いです」と呼びかけました。

そのうえで「民主主義を取り戻そう」と声を張り上げ、軍を批判しました。

ヤンゴンで一部市民が小規模な抗議活動

軍によるクーデターから1年に合わせて各地で「沈黙のストライキ」が呼びかけられる中、最大都市のヤンゴンでは、監視や取締りを強める軍や警察に対して、一部の市民が小規模な抗議活動を行いました。

現地からの映像では、10人ほどの市民が「軍を倒そう」とか「民主主義を手に入れよう」などと声をあげ、軍による統治に反対し、民主化を訴えながら町の中を行進している様子が確認できます。

また「われわれは強く、敵を恐れない」などと書かれた横断幕を掲げ、軍への抵抗を続ける姿勢を示していました。