政府 東京対象の“宣言”は重症用の病床使用率など見極め検討

東京都内の新型コロナの病床使用率が50%に迫る中、岸田総理大臣は31日、現時点で「緊急事態宣言」の発出は検討していないと述べました。
政府は、今後の感染状況とあわせて重症者用の病床の使用率なども見極めながら、対応を検討していく方針です。

新型コロナの感染拡大が続く中、31日の新規感染者数は、東京都内で月曜日としては初めて1万人を超えるなど、全国で6万人余りが確認されました。

都内の新型コロナ患者用の病床使用率は49.2%となり、都が「緊急事態宣言」の発出の要請を検討するとしている50%に迫っています。

岸田総理大臣は31日、都を対象とする宣言発出について「『まん延防止等重点措置』などの効果を確認し、事態の推移なども見て、総合的に判断するというのが基本的な考え方で、少なくとも現時点で、国としては検討していない」と述べました。

政府は、多くの感染者が出た去年夏に比べれば、東京などの重症者用の病床は確保されているとして、社会経済活動への影響を考慮して宣言の発出はできるだけ回避したい考えです。

このため、今後の感染状況とあわせて重症者用の病床の使用率なども見極めながら対応を検討していく方針です。

また、東京都内では、1月30日までの1週間の高齢者の感染確認が、第5波のピークだった去年8月の1か月間を上回っておよそ7500人となるなど、重症化する高齢者の増加が各地で懸念されています。

政府は、自治体とも連携して、高齢者への対策の検討を進めるとともに、3回目のワクチン接種をペースアップさせたい考えです。

一方、在日アメリカ軍の施設区域などで1月10日から続いていた外出制限は、感染状況が落ち着きつつあるとして31日で終了しました。

在日アメリカ軍では、施設区域内外でのマスクの着用義務や、兵士らに対する出入国時の検査などの感染対策は、引き続き徹底していくとしています。