抗原検査キット 医療機関など優先供給で薬局の販売に影響も

新型コロナウイルスの急速な感染拡大で需要が高まっている抗原検査キットについて、医療機関などに最優先に供給する方針が示されたのを受け、薬局からは今後、一般販売を見合わせざるをえなくなるという声も上がっています。

厚生労働省は27日、抗原検査キットを扱う卸売り業者やメーカーなどに対し症状がある人の検査を行う医療機関や保健所などに最優先に供給するよう要請しました。

この方針を受けて、自治体の無料検査や一般への販売を行ってきた薬局は対応を迫られています。

このうち全国で1000店余りを展開するさくら薬局グループは、今週27日の時点でグループ全体でおよそ5000回分の在庫がありますが、無料検査や販売で毎日1000回分ずつ減っているということです。

これまでは一日300回分ほどは新たに入荷することができていましたが、厚生労働省の方針では無料検査や一般販売用の優先順位は低いことから、今後は入荷量がさらに少なくなり1週間ほどで今の在庫は底をつくとみています。

この薬局では自治体の無料検査はなんとか続けたいとしていますが、一般販売は一時、見合わせざるをえなくなるとしています。

また、BCP=事業継続計画で店舗内で感染者が出た場合は同じ店舗のすべてのスタッフに抗原検査を行うと定めていましたが、対象者を絞るなど計画を見直すことも検討しているということです。

さくら薬局グループ薬局事業部の浅井誠也次長は「医療従事者として業務を止めることはできないので、スタッフに陽性者が出たときのために最低限の検査キットを確保しておく必要があります。一般の方への供給を抑えたくないとは思っていますが、この入荷状況では影響が出てしまうのは避けられそうにありません」と話しています。

日本医薬品卸売業連合会「メーカーの増産待ち対応」

厚生労働省の要請を受けて、医薬品の卸会社でつくる日本医薬品卸売業連合会は「卸売り業者はどこも在庫が無い状態が続いているのでメーカーの増産を待って対応したい。最優先とされている医療機関や自治体のうち、どこにどれくらい配分すればいいのかなど地域によって状況も異なるので、より詳しいルールが今後示されると考えている」と話しています。