自宅療養者の健康観察 保健所に代わり訪問看護師が 東京 立川

新型コロナウイルスに感染された人のうち、都内で自宅療養している人は、26日時点で4万人を超える中、立川市では保健所に代わり、訪問看護師が健康観察を行う取り組みを始めました。

東京都では保健所のひっ迫を防ごうと、今月から都の保健所の業務を地域の医療機関などが代行していますが、立川市では、電話での聞き取りに訪問看護師のスキルを生かそうと、市医師会が訪問診療を行う医療機関などに自宅療養者の健康観察を依頼しました。

このうち、訪問診療を専門とする「立川在宅ケアクリニック」では、4人の訪問看護師で1日に最大で80人程度の自宅療養者の健康観察を担当しています。

ふだんから患者の自宅を訪問する前に看護師が電話して症状を聞き取っていることから、そのスキルが役立っているということです。

看護師たちは、相手の年齢に応じて表現や言い回しを変えながら、呼吸の苦しさや、けん怠感、それに吐き気などの状態を丁寧に聞き取り、症状などをシステムに入力していました。

健康観察を行った訪問看護師の1人は「声のトーンが明るいか沈んでいるか、声の大きさや声の張りで相手の状況を捉えている。安心して自宅療養するために、多くの情報を得て対応したい」と話していました。

このクリニックでは、聞き取りで体調の異変を把握した場合には、訪問診療や入院調整の依頼も代行していて、取材した24日も、電話での聞き取りで、同居する子どもに発熱の症状が出ていることがわかり、報告を聞いた医師がPCR検査のキットを持って往診に向かっていました。
立川在宅ケアクリニックの荘司輝昭院長は「症状の急変を拾いきれないことが、いちばん怖い。訪問看護師の能力を活用し、得た情報をもとに、必要なケースは往診していきたい」と話していました。