発熱外来ひっ迫 “開業医も新型コロナ対応を” 東京 八王子

新型コロナウイルスの急拡大で、病院の発熱外来を訪れる患者が急増していて、東京 八王子市は、コロナ対応ができる開業医を増やそうと動き始めています。

オミクロン株が急拡大し、診察や検査を求めて病院の発熱外来を訪れる患者が急増し、発熱外来がひっ迫する事態となっています。

こうした中、東京 八王子市は、これまでコロナ対応をしてこなかった開業医にも協力を求めようと、オミクロン株の特徴や対応のしかたについて、病院の医師が伝えるオンラインセミナーが開かれました。

セミナーには、市内の開業医など100人以上が参加しました。

コロナ対応を行ってきた病院の医師が講師となり「経験上、マスクと手指消毒を徹底すれば感染はほとんどしない。防護服などを新たに用意する必要はなく、今ある資源で対応できる」と説明しました。

参加した開業医が「今後も患者がさらに増えることが予想されるが、診療所に一気に詰めかけてきたときにはどう対応すればいいのか」と質問したのに対し、講師の医師は「クリニックと病院、行政などが連携して対応し、地域全体で助け合うことが必要だ」と答えていました。

セミナーを開いた新井隆男医師は「感染者数が急増している中で、今後は、どのクリニックもコロナ対応が必要になるフェーズにきています。地域全体で対応ができるようにしていかなければならない」と話していました。

開業医 “役に立ちたいと思う一方で心配も”

セミナーに参加した東京 八王子市の開業医は、新型コロナの診察に対応しようと準備を進めています。

ただ、その中でも「自分が感染したら、診療所が立ちゆかなくなる」と複雑な気持ちもぬぐえないといった声も聞かれました。

八王子市内にある亀谷診療所は、一般外来と訪問診療を行っています。

亀谷学院長はこれまで、発熱など新型コロナが疑われる症状がある患者は、発熱外来を行っている病院を紹介してきました。

しかし、感染が急拡大し、病院の発熱外来にも患者が急増していることから、今後、発熱などの症状がある患者も診察しようと考えたということです。

新型コロナ患者の診察を始めるにあたって、亀谷院長は、抗原検査キットや防護ゴーグルを新たに購入して備えを始めています。

なんとかコロナ対応で役に立ちたいと思う一方で、心配なこともあるといいます。

それは、診療所の常勤の医師は亀谷院長1人だけ。

仮に発熱患者から院長やスタッフに感染すれば、診療所を閉めざるを得なくなるということです。

診療所での感染対策を徹底しようと、スタッフ全員にマスクや防護ゴーグルを着用してもらうほか、換気扇を2か所に増設するなど、できるかぎりの対策を取ろうとしています。

亀谷院長は「感染の勢いがこれだけ増えている中、現場の第一線にいるので、逃げることはできないと思います。ただ、自分が感染し、診察できなくなると診療所が立ちゆかなくなるという不安はあります。それでも患者さんや、その家族を守り、自分たちも最大限守って医療を続けていくことが大事な使命だと思って進めていきたい」と話していました。