北朝鮮 “短距離弾道ミサイルと推定の2発を発射” 韓国軍

韓国軍は、北朝鮮が27日午前、東部から日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される飛しょう体2発を発射したと明らかにしました。
北朝鮮による発射はことしに入って6回目と、極めて高い頻度で繰り返されていて、軍事力を強化する姿勢を鮮明にすることで、アメリカを強くけん制するねらいもあるとみられます。

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が27日午前8時ごろと8時5分ごろ、東部のハムギョン(咸鏡)南道ハムン(咸興)周辺から北東の日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される飛しょう体2発を相次いで発射したと明らかにしました。

また飛行距離はおよそ190キロ、高度はおよそ20キロだったとしていて、アメリカ軍とともに詳しい分析を進めています。

これを受けて、韓国政府は、緊急のNSC=国家安全保障会議を開いて対応を協議し、改めて遺憾の意を表明したうえで、北朝鮮に対し対話に速やかに応じるよう求めました。

ハムンでは、2019年8月にも短距離弾道ミサイル2発が発射されていて、この時のミサイルについて防衛省は、アメリカが保有する「ATACMS」という短距離弾道ミサイルに類似していて、変則的な軌道での飛行が可能だとみられると指摘していました。

北朝鮮による発射は、韓国軍の関係者が25日に明らかにした巡航ミサイルとみられる発射も含めれば、ことしに入ってこれで6回目と、極めて高い頻度で繰り返されています。

北朝鮮としては、発射を重ねて軍事力を強化する姿勢を鮮明にすることで、米朝関係に進展がないまま発足から1年を迎えたアメリカのバイデン政権を強くけん制するねらいもあるとみられます。

岸田首相「国連安保理決議違反であり大変遺憾」

岸田総理大臣は午前10時前、総理大臣官邸に入る際、記者団に対し「韓国の報道については承知している。ただ、政府としては引き続き情報収集に努めていく。今、確認できているのはそこまでだ」と述べました。

そのうえで「6度目となる発射だが、弾道ミサイルなどの発射が含まれているので、国連安保理決議違反であり、抗議もしたし、大変遺憾なことだ」と述べました。

また、記者団が「これまでのところ航空機や船舶に被害など何か情報入っているか」と質問したのに対し「少なくとも私のところにはそうした被害の報告は届いていない。それも含めて今、情報収集中であると認識している」と述べました。

松野官房長官「排他的経済水域や領域への飛来 確認されず」

松野官房長官は午前の記者会見で「現在、情報収集に努めているが、現時点でわが国の排他的経済水域や領域への飛来は確認されていない。また、関係機関からの被害報告なども確認されていない」と述べました。

そのうえで「北朝鮮は極めて高い頻度で発射を繰り返している。昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国および地域の安全保障にとって看過できないだけでなく、たび重なる発射は、わが国を含む国際社会全体にとって深刻な課題だ。政府としては国民の生命、財産を守り抜くため、米国や韓国をはじめとして関係国と緊密に連携しながら、引き続き関連情報の収集と分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期していきたい」と述べました。

岸防衛相「航空機や船舶への被害 確認されず」

岸防衛大臣は記者団に対し「きょうの北朝鮮による発射事案については情報収集に努めているが、現時点でわが国の領域やEEZ=排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されていない。航空機や船舶への被害は確認されていない」と述べました。

そのうえで岸大臣は「北朝鮮はことしに入ってから、巡航ミサイルの発射報道も含めれば、すでに6回となる極めて高い頻度で新たな態様での発射を繰り返している。昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国や地域の安全保障にとって看過できないだけでなく、国際社会全体にとって深刻な課題だ」と述べました。

そして、岸大臣は「国民の生命や財産を守り抜くため、アメリカや韓国をはじめ関係国と緊密に連携しながら関連情報の収集と分析に努めるとともに警戒監視に万全を期していく」と述べました。

ことしに入って北朝鮮ミサイル発射は6回目

ことしに入って北朝鮮がミサイルを発射したのは、北朝鮮による発表がないものを含めると、今回で6回目になります。

1回目は今月5日、北朝鮮北部のチャガン(慈江)道から日本海に向けて弾道ミサイル1発が発射されました。
北朝鮮は国営メディアを通じて「極超音速ミサイル」の発射実験を行い「700キロ先に設定された目標に誤差なく命中した」と発表しました。

2回目は6日後の11日で、同じ北部のチャガン道から弾道ミサイル1発が日本海に向けて発射され、北朝鮮は、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の立ち会いのもと「極超音速ミサイル」の発射実験を再び行ったと発表しました。
この中で「ミサイルから分離された弾頭が1000キロ先の水域に設定された目標に命中した」としたうえで、技術的な特性を確認するための「最終的な発射実験」だったと位置づけました。

3回目は3日後の14日で、北西部のピョンアン(平安)北道から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発が発射されました。
北朝鮮は「鉄道機動ミサイル連隊」が抜き打ちの発射訓練を行い「2発の戦術誘導弾が日本海に設定された目標に命中した」と発表し、立ち会った国防科学院の幹部らが、全国的な鉄道機動ミサイルの運用システムを整備する課題について議論したとしていました。

4回目は3日後の17日で、首都ピョンヤン郊外のスナン(順安)にある国際空港付近から日本海に向けて弾道ミサイル2発が発射されました。
北朝鮮は国防科学院などの計画に従って「戦術誘導弾」の発射実験を行い「西部から発射された2発が目標である日本海上の島を精密に打撃した」としたうえで「兵器システムの正確性や安全性などを確認した」としていました。

さらに25日には、韓国軍の関係者が、北朝鮮が巡航ミサイル2発を発射したとみられると明らかにしています。

北朝鮮はこのミサイルの発射について発表していませんが、これを含めると、今回は6回目の発射になります

北朝鮮外務省「正常な国防力強化の一環」

北朝鮮外務省は、一連のミサイル発射について、25日付けで、ウェブサイトに「主権国家の正々堂々たる自衛権の行使だ」と正当化する主張を掲載しました。

この中で「極超音速ミサイル」の発射実験などについて「国家の戦略兵器を現代化する事業を実現するための、正常な国防力強化の一環だ」として、周辺の国家の安全に影響を及ぼすものではないと強調しました。

また、アメリカについて「正当な自衛権の行使を『挑発』だ、『脅威』だと罵倒し、国連安全保障理事会での非難騒動にとどまらず単独制裁まで加えて、自衛権を骨抜きにしようとしている」と非難しています。

そのうえで、朝鮮半島情勢は日増しに不安定になっているとして「国防力の強化は主権国家の当然の権利で、誰も非難したり、言いがかりをつけたりすることはできない」と強くけん制しています。

米 インド太平洋軍“日本と韓国の防衛 アメリカ関与揺るぎない”

アメリカのインド太平洋軍は声明を発表し、北朝鮮が発射したのは弾道ミサイルだったとの認識を示し「今回の発射はアメリカの国民や領土、それに同盟国に対する差し迫った脅威ではないと判断している」としました。

そして、最近の一連の弾道ミサイルの発射実験は、北朝鮮の違法な兵器開発が地域を不安定化させることを浮き彫りにするものだとしたうえで、日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎないものだと強調しました。

米国務省「ミサイル発射を非難 国際社会に対する脅威」

アメリカ国務省の報道担当者はNHKの取材に対し「北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する。これらの実験は、国連安全保障理事会の複数の決議に違反していて、近隣諸国や国際社会に対する脅威だ」と述べました。

そのうえで「われわれは外交的なアプローチを続け、北朝鮮に対し、対話に参加するよう求める」と述べ、非核化に向けた米朝対話の再開に応じるよう求めました。