妊婦の感染も増える 都立病院 受け入れ困難になるおそれも

新型コロナウイルスの感染の急拡大が続くなか、周産期医療の専門部門がある都立病院では、感染した妊婦の入院を受け入れていますが、今後、妊婦の感染が増えれば受け入れられなくなるおそれもあるとして、感染防止対策の徹底を呼びかけています。

感染して出産を控えた妊婦を受け入れるには、専門の医療設備が整っている必要があり、都内では妊婦が入院できる病院が限られています。

周産期医療の専門部門がある東京 豊島区の都立大塚病院では、24日時点で、感染した妊婦の入院患者10人を受け入れています。

病院によりますと、今月に入って24日までに延べ71人の感染した妊婦の入院を受け入れ、去年夏の第5波より多いということです。

感染した妊婦の場合、妊娠中には使えない新型コロナの薬があり、治療に制約があるほか、出産の際は、肺に長時間、負担がかかることなどを考慮して、基本的に帝王切開で対応していることです。

病院によりますと、今月に入って受け入れた延べ71人のなかで、重症化した妊婦はいないということですが、松本潤院長は「胎児の状況を確認しつつ、妊婦本人の病状もチェックしなければならないので負担は増してきている」と話しています。

大塚病院では、患者の状態が不安定な場合、高度な医療が受けられる妊婦専用の集中治療室で対応しています。

集中治療室は3部屋、6床と限られていて、現在、1つの部屋に早産のおそれがある感染した妊婦が入院しているということです。

松本院長は「妊婦を診る病院や専用の集中治療室には限りがあるので、感染した妊婦さんが増えると受け入れられないこともあり、今後、対応ができるのか心配している」と話しています。

また「妊婦が感染した時のいろいろな問題をもっと知っていただき、妊婦を感染させないよう守ってもらいたい。家族でも、近くで会話するときはマスクをするなど、誰もが感染している可能性があるという前提で気を付けてほしい」と呼びかけています。

“周りの大事な人のため みんなで感染予防を”

第5波の去年8月、妊娠37週目で感染が分かった20代の女性がNHKのインタビューに応じ「自分のためだけではなく、周りの大事な人のため、できるかぎりの感染予防にみんなで努めていけたらいいと思う」と話しています。

女性は、感染が分かったあと入院し「中等症」と診断されましたが、医師からは妊娠中のため、一部の治療薬が使えないと説明されたということです。

当時の状況について女性は「とにかくおなかの中の赤ちゃんが心配で、影響がないのか、すごく考えました」と話し、看護師が専用の機器で赤ちゃんの心拍などを確認するたびに安心したといいます。

女性は、感染が急拡大している今、「『症状が軽いから大丈夫だろう』と妊娠中の人が近くにいるにもかかわらず、飲みに行く人もいると思いますが、自分のためだけではなく、周りの大事な人のため、できるかぎりの感染予防にみんなで努めていけたらいいと思います」と話していました。