米野球殿堂 オルティーズ氏選出 ボンズ氏やクレメンス氏ら落選

大リーグで活躍した名選手などが入るアメリカ野球殿堂の新たなメンバーに、レッドソックスなどで活躍したデビッド・オルティーズさんが選ばれました。一方、通算ホームラン762本の大リーグ記録を持つバリー・ボンズさんは投票の対象になる最後の年だった今回も落選しました。

アメリカ野球殿堂入りのメンバーは、全米野球記者協会に10年以上在籍する記者の投票で75%以上の票を得た候補者が選出されます。

ことしの殿堂入りメンバーは25日発表され、レッドソックスなどで主に指名打者として活躍したオルティーズさんが77.9%の票を集め、選考対象になって1年目で選出されました。

ドミニカ共和国出身のオルティーズさんは通算541本のホームランを打った強打者で、レッドソックスでは松坂大輔さんや上原浩治さんともプレーし、合わせて3回のワールドシリーズ制覇に貢献しました。

一方、選考対象10年目でことしが記者投票の資格最終年だったボンズさんは、66%の得票にとどまり落選しました。

このほかにも、ことしが資格最終年だった通算354勝のロジャー・クレメンスさん、通算216勝のカート・シリングさん、通算ホームラン609本のサミー・ソーサさんといった実績十分な時代を代表する選手たちもそろって落選し、記者投票での殿堂入りはなくなりました。

ボンズさん、クレメンスさん、ソーサさんはいずれも現役時代に禁止薬物の使用がスキャンダルとして取り沙汰されたことが、シリングさんは引退後に差別的な発言を繰り返したことが殿堂入りを逃している理由とされています。

また、ヤンキースなどで大リーグ歴代4位の通算ホームラン696本を打った一方、禁止薬物の使用で1年を超える出場停止処分を受けたことがあるアレックス・ロドリゲスさんもことし初めて殿堂入りの対象になりましたが、34.3%の得票にとどまり、落選しました。

時代委員会での殿堂入りも

アメリカ野球殿堂では記者投票のほかに時代委員会による選考があり、ボンズさんなどは今後、時代委員会で殿堂入りする可能性が残っています。

アメリカ野球殿堂は野球の歴史を1871年から1949年、1950年から1969年、1970年から1987年、1988年以降の4つに区切り、それぞれの時代ごとに殿堂入りするメンバーを時代委員会で検討しています。

去年12月に行われた時代委員会では前半の2つの時代の選考が行われてあわせて6人が殿堂入りしました。

ことし12月には1988年以降の時代について殿堂入りの選考が行われることになっていて、この時代に大リーグを代表する選手だったボンズさんやクレメンスさんなどが選ばれる可能性もあります。

議論呼ぶ「薬物問題」

大リーグ関係者にとって最高の栄誉となるアメリカ野球殿堂で長年、議論を呼んでいるのが「禁止薬物を使用した疑いのある選手たち」の扱いについてです。

大リーグで初めてドーピング検査が実施されたのは2003年で、当時は使用した場合の罰則はありませんでした。

その後、罰則が設けられ、2005年には検査が抜き打ち方式になりましたが、大リーグで史上初のホームラン40本、40盗塁を達成した強打者のホセ・カンセコさんがこの年「大リーグ選手の85%が禁止薬物を使用している」と告白し、大きな衝撃が広がりました。

ボンズさんやクレメンスさん、ソーサさんは現役時代の薬物使用がスキャンダルとしてとりざたされ、本人たちはいずれも否定したものの、真相ははっきりしませんでした。

3人の実績は申し分ありませんが、殿堂入りには記録や野球選手としての能力以外にスポーツマンシップや誠実さも考慮されるため、こうした薬物使用の疑惑が「殿堂入りにふさわしいのか」という根強い批判として残り、選考対象となってから10年もの間、殿堂入りを逃し続ける要因となりました。

一方でボンズさんたちは出場停止などの処分を受けたことはなく、薬物使用が指摘された時期よりも前にすでに抜群の成績を残していたことなどから「殿堂入りに値する」という声もあり、実際にボンズさんは1年目には36.2%だった得票率をことしは66%まで伸ばしました。

ボンズさんたちの記者投票による殿堂入りはなくなりましたが、数々の記録はさん然と輝き、今後の時代委員会で殿堂入りする可能性は残っています。

禁止薬物への規制が十分でなかった時代に活躍した選手たちをどう取り扱うのか。

議論は今後も続きそうです。