出版市場 3年連続で売り上げ増 電子出版と紙の書籍 ともに好調

去年1年間の出版物の推定販売額は、電子出版の売り上げが好調で、紙の書籍も15年ぶりにプラスに転じたことなどから、紙と電子を合わせた市場全体で3年連続で前の年を上回りました。

出版業界の調査や研究を行う出版科学研究所のまとめによりますと、去年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より3.6%多い1兆6742億円と、3年連続で前の年を上回りました。

このうち電子出版の売り上げは4662億円と前の年を18.6%上回る大幅な伸びを見せ、中でも電子コミックはアニメや映画になった作品や、スマホやタブレット向けに画面を縦にスクロールして読み進める作品がヒットしたことなどから、前の年より20.3%多い4114億円となりました。

また電子書籍でも、人気作家が作品の電子化を解禁する動きが続いたこともあり、前の年を12%上回る449億円となりました。

一方紙の出版物は、コロナ禍で生活や学習環境が変化したことで児童書や参考書などの需要が高まったことなどから、書籍の売り上げが15年ぶりにプラスに転じた一方、雑誌に関しては休刊が相次ぐなどして売り上げが落ち込み、全体で前の年を1.3%下回る1兆2080億円となりました。

出版科学研究所は「電子出版はさらなる伸びが期待できるが、紙の出版物に関しては、コロナの状況によって変化する読者のニーズに応えられるかどうかが問われる1年になるだろう」としています。