東京 オミクロン株疑い99% 感染者1万人超 現状と対応は

東京都は25日、過去最多の1万2813人が新型コロナウイルスに感染していることを新たに確認したと発表しました。
また、24日までの1週間に行ったスクリーニング検査で、およそ99%の人がオミクロン株に感染している疑いがあることがわかりました。
都の担当者によると、デルタ株からオミクロン株にほぼ置き換わったと見られるということです。

感染急拡大が続く東京。23区の3回目のワクチン接種への対応など、現状をまとめました。

都内コロナ感染 オミクロン株の感染疑い99%

東京都は、都の健康安全研究センターと民間の検査機関が、24日までの1週間に合わせて4640人を対象に行ったスクリーニング検査の結果を25日公表しました。

その結果、判定不能だった380人を除いて、およそ99%にあたる4221人がオミクロン株に感染している疑いがあることがわかったということです。

都内で最初に疑いがあると確認された12月20日までの週以降、オミクロン株の割合は大幅な増加が続き、6週目でおよそ99%まで広がりました。

都の担当者は「都内ではデルタ株からオミクロン株にほぼ置き換わったと見られる」と話しています。

自宅療養者 初の3万人超

都内では、自宅療養中の人が24日時点で初めて3万人を超えました。
増加のペースは去年夏の第5波を大幅に上回っていて、都は「家庭内で感染防止対策を徹底するともに、感染力の強いオミクロン株の特性を踏まえて宿泊療養施設に入ることも積極的に検討してほしい」と強く呼びかけています。

都内では感染の急拡大にともなって自宅療養中の人も急増していて、
1月17日に1万人、21日に2万人を超えました。
1万人を超えてから2万人を超えるまでは4日で、12日かかった去年夏の第5波を大幅に上回るペースです。

そして23日には、第5波のピークだった去年8月21日を上回る、2万6556人となりました。

さらに24日は一気に5400人余り増えて3万1963人となり、初めて3万人を超え、2日連続で過去最多となりました。

対応に追われるフォローアップセンター

自宅療養者の健康観察や食料品の配達の手配などを行う都のフォローアップセンターでも、担当する自宅療養者が増えています。
都によりますと、24日時点で、去年夏の第5波で最も多かった時の5倍近い1万9000人を担当しているということです。

都は、先週、センターを1か所から3か所に増やし、担当者も3倍近いおよそ450人に増やしましたが、それでも対応に追われているということです。
健康観察では、体調や症状のほかアレルギーの有無など確認する項目が複数あり、1人あたり30分近くかかる時もあるということで、担当者が丁寧に聞き取っていました。

健康観察を担当する女性は「なかにはいきなり症状が悪化している人もいるほか、電話してもつながらないなど、健康状態の把握は本当に難しいです。忙しくてトイレに行くこともできないぐらいです」と話していました。

都内感染者 約65%が経路不明

都内で今月に入って24日までに新型コロナウイルスの感染が確認されたのは8万8572人です。
都によりますと、このうち64.8%にあたる5万7384人は、感染が確認された時点で感染経路が分かっていません。

経路が分からない人の割合を月別で見ると、
▼第3波の1月が60.2%、
▼第5波の▽去年7月が63.8%、▽8月が61.2%で、これまでのピークと比べても今月はやや高くなっています。

過去最多が続く経路不明者数

また、経路が分からない人の7日間平均は、24日時点で5526.6人となり、去年夏の第5波のピークだった3023.7人(8月19日)の1.8倍にのぼっていて、過去最多が続いています。

都の担当者は、「感染経路が分からない人が多いということは、いつどこで感染するか分からないというリスクがあるということでもある。常に感染防止対策を徹底してほしい」と話しています。

3回目接種 23区中13の区で6か月に短縮の予定(64歳以下)

新型コロナワクチンの3回目の接種前倒しをめぐる国の方針を受け、東京23区に64歳以下の人への対応を聞いたところ、13の区が2回目の接種からの間隔を6か月に短縮するなど、各自治体は前倒しで接種を加速させたいとしています。

3回目の接種をめぐって厚生労働省は今月、原則8か月としてきた2回目との接種間隔を、3月以降、医療従事者や高齢者以外の一般の人は7か月に短縮するよう自治体に通知するとともに、接種体制などに余力がある自治体に対しては、さらに前倒しして接種を進めることも要請しました。

これを受けて、東京23区に64歳以下の一般の人への接種対応を聞いたところ、すべての区が当初の8か月から前倒しする方針で、13の区は2回目からの間隔を6か月に短縮する予定だと回答しました。

各区の対応

このうち▼千代田区と▼江戸川区ではすでに接種を始めているほか、
▼目黒区と▼板橋区では今月中に接種を始める予定だとしています。

また、▼北区は50歳から64歳の人は間隔を6か月に、49歳以下の人は間隔を7か月に短縮するとしています。

これほかの10の区はいずれも間隔を7か月に短縮すると回答しました。

一方、今月31日からは、自衛隊による東京での大規模接種が始まり、接種には接種券が必要だとされていますが、大規模接種の開始を受けて接種券の発送を前倒しするか尋ねたところ、12の区がすでに前倒しで発送したり、今後発送する予定があると回答しました。

さらに、国への要望などを尋ねたところ、3回目の接種では2回目までと異なるメーカーのワクチンを接種する「交互接種」が可能となるなか、ファイザーのワクチンに予約が偏り、モデルナの枠に空きが出ているなどの声が7つの区からあげられました。

そのうえで、全体の接種の遅れが生じないよう交互接種の安全性や有効性を国がさらに丁寧に説明し発信すべきだという意見も出されました。

目黒区 モデルナ接種枠に空き 18歳以上に対象拡大

目黒区はファイザーのワクチンに予約が集中する一方、モデルナの接種枠には空きがあります。

このため、区では今月19日から、2回目接種から6か月以上たった高齢者や基礎疾患のある人、それに妊娠している人がモデルナを希望する場合、すみやかに接種券を送り、接種を受けられるようにしました。

しかし依然としてモデルナの予約枠は3割程度しか埋まっていないということで、区は24日、2回目接種から6か月以上たった18歳以上の区民にまで対象をさらに広げる対応をとり接種の加速を図りたいとしています。

医師「“検査なしでも診断可能” は苦肉の策」

新型コロナの急拡大を受け、24日、後藤厚生労働大臣は、自治体が判断すれば、感染者の濃厚接触者に発熱などの症状が出た場合、検査を受けなくても医師が感染したと診断できるようにする方針を明らかにしました。
こうした方針について、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、「厳しい状況が続けば“苦肉の策”としてそこまで許されるということであって、実際に検査してみると、『症状は疑わしいのに感染していなかった』ということも多々あり、検査せずに診断することにはかなりのリスクが伴う。そうしたことが治療全般に影響することも考えられるので、できれば医療機関を受診して検査を行ったうえでその先に進むのが望ましい」と指摘しています。

また、「“苦肉の策”とはいうものの、率直な印象として『そこまで日本の診療が追い込まれているのか』と感じた。それだけ厳しい状況に置かれていることは認識できるが、こんな状況が早めに来てしまい、日本の診療の土台の危うさを感じる」と危機感を募らせていました。

そのうえで、「無症状の人が『単に気になるから』と抗原検査キットを使うのは今の時期、控えてもらいたい。“もの(キット)”が足りないので、あるものを活用するとなれば対象の人に優先順位を付けて、使う必要がある」としています。