ガソリン価格170円超 価格抑制で石油元売りへ初の補助金支給へ

政府はレギュラーガソリンの小売価格の全国平均が1リットル当たり170円を超えたとして、価格を抑えるため石油元売り会社に補助金を出す異例の対策を初めて発動する方針を明らかにしました。
27日以降に適用されます。

これは萩生田経済産業大臣が25日の閣議のあとの記者会見で明らかにしました。それによりますと、レギュラーガソリンの小売価格の全国平均は24日時点で1リットル当たり170.2円となりました。

政府はガソリン価格の上昇を抑えるため小売価格が170円を超えた場合に石油の元売り会社に補助金を出すという異例の対策を決めており、この条件を満たしたことになります。
対策は27日以降に適用されます。

今回、元売り会社はガソリンスタンドへの卸売価格について170円を超えた0.2円分と、原油価格の上昇に伴い今週影響を受ける分の合わせて3.4円分を引き下げます。
そして、その分の資金を政府が事後に補助する仕組みです。

ガソリンだけでなく、軽油や灯油、重油も補助の対象となります。

ただ、小売価格はガソリンスタンドがそれぞれの経営判断に基づいて決定するため、経済産業省は卸売価格の引き下げ分が小売価格に反映されているか各地のガソリンスタンドを調査することにしています。

ガソリン価格 なぜ上昇?

国の委託を受けてガソリン価格を調査している石油情報センターによりますと、レギュラーガソリンの小売価格は去年2月に全国平均で1リットル当たり140円台となり、上昇傾向となります。3月下旬に150円台となり、10月4日に160円ちょうどとなりました。
そして24日時点で1リットル当たり170.2円となりました。

ガソリン価格が170円を超えるのは2008年9月以来、およそ13年ぶりの水準です。
要因としては世界的に原油価格が高騰しているためです。
中東で石油施設の爆発や火災などが相次いだことやウクライナを巡るロシアと欧米との緊張状態が続いていることから供給への懸念が強まっています。

一方で、新型コロナのオミクロン株の感染拡大に伴う経済活動への世界的な影響が限定的だという見方から経済活動再開への期待がふくらみ、原油の先物価格が上昇しています。

価格抑制の仕組み

今回の対策では政府が元売りに対して補助金を出すことでガソリンスタンドなどへの卸売価格を引き下げてもらいます。

発動の基準となるのはレギュラーガソリンの小売価格の全国平均です。
1リットル当たり170円を超えたときが補助金を支給する基準となりました。

補助金は▼170円を超えた分と、▼原油価格の上昇にともなって元売り会社がガソリンスタンドに卸す際の卸売価格の値上げ分をあわせた金額となります。
例えば小売価格が1リットル当たり▽171円になった場合は、1円と、原油価格の上昇にともなってその週に引き上げられる卸売価格の値上げ分の合計金額、▽173円では3円と、同じく卸売価格の値上げ分を政府が補助します。

補助額の上限は一律で5円となります。

また灯油や軽油、重油についてもガソリンの価格を基準にして同様の対策をとることにしていて、最大で1リットル当たり5円まで補助することにしています。

店舗によっては小売価格に反映されない可能性も

ただ、小売価格はガソリンスタンドがそれぞれの経営判断で決めています。

スタンドでは卸売価格だけでなく人件費や地域の競争環境などを踏まえて利益が出る水準を設定しているため、卸売価格が引き下げられても小売価格に反映させない店舗が出る可能性も指摘されています。

このため経済産業省は各地のスタンドの小売価格を電話で確認をするなど調査することにしていて、価格が下がっていないケースを確認した場合には、「消費者の負担軽減という制度の趣旨を説明して理解を求めていく」としています。

一方、専門家からはさまざまな商品が値上げされる中で補助金の対象をガソリンや灯油などに絞るのは公平ではないという指摘も出ています。

さらに今回の措置はことし3月末までの期間限定の緊急措置となっていますが、国際情勢の緊迫化などによって原油価格がさらに上昇する可能性もあります。その場合に政府がどのような対策をいつまで行うのかという課題もあります。
事業費は今年度予算の予備費も活用して893億円を想定しています。

ガソリンスタンドでは

政府の対策について、ガソリンスタンドでは小売価格の高止まりに歯止めがかかることを期待する声が聞かれました。

千葉市若葉区にあるガソリンスタンドでは、レギュラーガソリンの小売価格が25日時点で1リットル当たり161円となっています。
原油価格の上昇を受けて近く値上げする予定でしたが、政府の対策が発動されることになったため、小売価格を再度検討することになりました。

石油元売り会社の卸売価格が引き下げられれば、高止まりしている小売価格の値下げにもつながると期待を寄せています。

片寄彰之マネージャーは「補助金が出ることで、卸売価格の上昇に歯止めがかかることを期待しています。値下げできればお客さんも喜んでくれると思います」と話していました。

またガソリンスタンドを利用する40代の女性は「通勤で車を使うのでガソリン代が高くても耐えるしかありません。補助金が出されることで少しでも価格が下がるとうれしいです」と話していました。

戸惑いの声も

また、札幌市内でガソリンスタンドを経営する「札幌河辺石油」の河辺善一社長は「ガソリンの値段が高くなりすぎると客が離れていくので、価格の抑制につながる対策はありがたい」とまずは歓迎しました。

一方、今回の政策の効果で石油元売り会社からのガソリンの仕入れ価格がどの程度引き下げられるのかまだ分からないため、店頭の小売価格を安くできるのか見通せない状況だといいます。

河辺社長は「補助金の上限が1リットル当たり5円ということで、客からは店頭価格も『5円下がるのか』という問い合わせが寄せられている。しかし、元売り会社からの仕入れ価格がいくらになるのか分からないため説明できない状況だ。政府の対策によって、仕入れ価格がいくらになるのか政府は早く情報提供してほしい」と話していました。

専門家「どのような効果あるか読めない」

今回の政府の対策について、日本エネルギー経済研究所の小山堅 首席研究員は「価格の高騰が経済や暮らしに与える影響を抑えるのが目的となっているが、異例の措置で、実際にどのような効果があるのか読めないというのが正直なところだ」と述べました。

そして、ガソリンの小売価格に政府が介入することに対しては「エネルギーは暮らしや経済を運営する上で必要不可欠の物資で、価格が一気に上がるような状況になると市場に任せておくわけにはいかない局面になる。コロナ禍から経済が回復に向かう中で、経済的に大きな問題が出ることはなんとしても避けたいという政府の強い思いが反映されているのではないか」と述べました。

萩生田経済産業相「更なる急激な値上がり抑制を期待」

萩生田経済産業大臣は25日の閣議のあとの記者会見で「石油製品の価格には地域差はあるが、この事業により価格の上昇が抑えられ、それぞれの地域において、更なる急激な値上がりを抑制することを期待している」と述べました。

また補助金の上限が1リットル当たり5円に対して今回、すでに3.4円分を支給することで、追加の対策は検討しているか問われたのに対して萩生田大臣は「これは補正予算で3月までの制度だ。原油価格が新年度以降も高騰が続くようなことも当然、シミュレーションしなければならない。国民生活への影響を最小限にできるように引き続き検討していきたい」と述べ、原油価格の高騰が続けば追加の対策も検討する考えを示しました。