衛星が噴火後の波の変動捉える トンガの海底火山噴火

トンガの海底火山の噴火のおよそ半日後、衛星が火山の周辺で波が伝わっていくような波紋を捉えていたことが分かりました。
専門家は、噴火に伴って発生した海面変動を捉えていると分析したうえで、「地震による津波とは波の周期が大きく異なっていることなどが分かり、今回の現象全体の理解につながるのではないか」と指摘しています。

ヨーロッパの地球観測衛星は、噴火のおよそ13時間後に当たる日本時間の16日未明、トンガ付近を通過し、データを取得していました。

この衛星に搭載している「合成開口レーダー」は、詳細な地形や海面の変化を把握することができ、画像からは波のような波紋が広がる様子が確認できます。

中心付近に見えるのが、噴火したトンガの海底火山から北に100キロほど離れたトフア島で、その周辺で半円状の波が数十キロにわたり確認できます。

このデータについて、津波や高波などのメカニズムに詳しい京都大学防災研究所の森信人教授は、噴火のあとに発生した海面変動を捉えたと分析しています。

また波一つ一つの間隔は数キロから5キロ程度と、地震によって起きる津波に比べて、はるかに狭いということです。

これは一つ一つの波の「周期」が短くなることにつながり、今回、各地の潮位計で観測されたデータからみえる傾向とも一致するということです。

森教授は「非常に珍しい観測結果で、噴火のあと海面がどのように変動していたかが分かる重要なデータだ」としたうえで、「波の周期が短くなると、地形による反射などで波が複雑な動きになりやすいため、半日たっても細かい周期の波が太平洋全体で行ったり来たりしていたと考えられる。日本周辺では、場所によって波の高さが大きく異なったことにつながったのではないか」と指摘しています。

また「今回の海面の変動は噴火による気圧の変化など、いくつかの要因が絡み合って起きた、非常にまれで複雑な現象だ。空間的なデータが得られたことで現象全体の理解につながると考えている」と話していました。

津波 ほぼ音速で地球全体に広がる

トンガの海底火山の噴火のあと各地に到達した津波は、ほぼ音速で地球全体に広がっていたことが、世界で捉えられたデータの解析で分かりました。

津波は噴火に伴う気圧の変化と同じタイミングで観測されていたことも分かり、専門家は「気圧の変化が各地で津波を引き起こしたことがデータから裏付けられた」と指摘しています。

京都大学防災研究所の山田真澄助教などの研究グループは今月15日、トンガの海底火山で発生した大規模な噴火のあと、日本やアメリカなど世界各地で観測された地震計や気圧計、海底に設置された津波計などのデータを分析しました。

その結果、津波の第一波の到達時刻は、トンガからおよそ5000キロ離れたハワイでは噴火から4時間余りたった日本時間の15日午後5時半ごろ、およそ8000キロ離れた日本では午後8時から9時ごろにかけて、およそ1万キロ離れた南米のチリでは午後10時半ごろなどと、いずれも気圧の変化とほぼ同じタイミングで観測されていました。

津波はトンガから世界各地へ同心円状に伝わっていて、その速度は音速とほぼ同じだったということです。

通常の地震や火山の崩壊などに伴う津波は音速より遅いため、山田助教らは噴火で発生した気圧の変化が津波を起こし、広がっていったと考えられるとしています。

山田助教は「気圧の変化が津波にもたらした影響を、近代的な高密度な観測で捉えられたことはこれまでに1度も無かった。津波を発生させた詳しいメカニズムは十分に分かっていないので、さらに調べる必要がある。今後、これらのデータを世界中の研究者が分析することによって、新しい発見が生まれてくるのではないか」と話しています。