トンガの海底火山噴火から1週間 「長期的な支援が必要」

南太平洋の島国トンガ付近で発生した大規模な海底火山の噴火から22日で1週間です。各国の支援が本格化する中、現地では火山灰による農業被害や電力不足への懸念が出ていて、長期的な支援が求められています。

トンガで勤務する男性「現地はほぼ灰で覆われている」

1月15日にトンガ付近で発生した大規模な海底火山の噴火から1週間となる中、現地では、オーストラリアとニュージーランドが、20日から軍の航空機や艦船で飲料水や通信機器などの支援物資を届けているほか、日本の自衛隊の輸送機も22日午後、現地に到着し、初めて飲料水を届けるなど支援活動が本格化しています。

こうした中、WHO=世界保健機関の職員として首都ヌクアロファで勤務する瀬戸屋雄太郎さんが22日、NHKの電話取材に応じ「噴火以降、今も灰が舞っているが、状況は落ち着いている」と現在の状況を話しました。

ただ現地では「ほぼ99%が灰で覆われていて、農作物への被害がでているほか物流がとまっている。食料が不足し、水も足りていない」としたうえで、「離島では石油が枯渇しつつあり電力をまわすことができなくなるおそれがある」と述べ、火山灰による農業被害や電力不足への懸念を示しました。

また、瀬戸屋さんは「多くの家屋がほぼ全壊したり半壊したりしていて、復興にはしばらく時間がかかる見通しだ」として、各国による支援が本格化する中、長期的な支援が求められていると指摘しました。

死者3人 14人ケガ 住民移転の島も

トンガ政府は、21日までに判明した海底火山の噴火による被害の状況を新たに発表し、死者の数は、これまでと同じ3人ですが、複数の島で、合わせて14人のけが人が確認されたということです。

さらに、ノムカ島では、医療施設が津波で流されたほか、マンゴー島では、住民62人が住宅や家財を失い、別の島への移転を進めているということです。

また、水質検査の結果、地下水や雨水は飲み水にあてられることが分かったということですが、トンガの危機管理当局は、依然として水がもっとも必要であることに変わりはなく、これまでに配給された水は6万リットルに上るとしています。

津波で島のほとんどが破壊 火山灰も

トンガの首都があるトンガタプ島から北におよそ7キロ離れたアタタ島で噴火の翌日の今月16日に撮影された映像には、津波により島のほとんどが破壊された様子がとらえられています。

建物の跡とみられる場所では土台だけが残って、周囲にがれきが散らばっているほか、木が根こそぎ倒れている様子が確認できます。

また、火山灰で覆われ、島全体が灰色になっていて、AP通信によりますと、島の住民は大きな被害を免れた島の教会に避難するなどして全員無事だったということです。

各国からの支援本格化 自衛隊も到着

南太平洋のトンガ付近で1月15日に海底火山が噴火してから22日で1週間となる中、各国からの支援が本格化しています。
このうち、オーストラリアとニュージーランドは、20日から軍の航空機や艦船で飲料水や通信機器などの支援物資を届けているほか、日本の自衛隊の輸送機も22日午後、現地に到着し、初めて飲料水を届けました。

さらにニュージーランド軍は、港の被害状況を調査するための人員を現地に派遣し、今後の支援活動に向けて船が安全に着岸できるかどうか調査を進めています。

また中国も、中国の赤十字社にあたる『中国紅十字会』がすでに10万ドルの緊急援助を行ったことや、現地の大使館を通じて飲み水や食料などの支援物資の提供を行ったことを明らかにしています。

地元メディア「食料や飲料水の供給 最も望む」

インターネットで記事を配信しているトンガの主要メディア「マタンギ・トンガ」は1月15日の噴火発生以来、初めてとなる記事を22日、ウェブサイトに掲載しました。

この中には、▽津波が首都ヌクアロファの海岸に押し寄せる様子や、▽火山灰に覆われた船やコンテナが港に散乱している様子、それに、▽重機でがれきや土砂を撤去しながら救助活動が行われている様子などをとらえた写真が掲載されています。

記事では「噴火と津波から1週間がたち、私たちは無事だということをようやく読者の皆さんに伝えることができ、感無量だ」とつづっています。

そして「津波が来た時、海岸沿いのオフィスにいた私たちは、避難が間に合わずに身動きがとれなくなった。どれだけ高い波が襲ってくるのかわからないまま、恐怖を感じながら津波の映像や写真を撮った」と津波発生当時の状況を伝えています。

現地ではインターネットの接続が不安定な中でも、4人の記者が連日、懸命に被災地の取材を続けているということです。

記事を執筆した記者のペシ・フォヌアさんはNHKの電話インタビューに対し「噴火活動はもうおさまったと言う人もいるが、まだ状況はわからない。火山灰が至る所に降り積もっていて、人々は灰を取り除く作業に追われている」として、噴火から1週間たつ今もなお火山灰が人々の生活に影響を及ぼしていると明らかにしました。

そのうえで「私たちの仕事に欠かせないインターネットが早く復旧してほしいが、まずは噴火がこれ以上起きずに人々が安全でいられること、そして食料や飲料水が供給されることを最も望んでいる」と話していました。