12月の消費者物価指数 前年同月を0.5%上回る 4か月連続上昇

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる12月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が前の年の同じ月を0.5%上回り4か月連続で上昇しました。
原油価格の高止まりを背景にガソリンや灯油などの「エネルギー」は13年4か月ぶりの大幅な上昇となりました。

総務省が発表した12月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が2020年を100として100.0となり、前の年の同じ月を0.5%上回りました。

上昇は4か月連続です。

原油価格の高止まりを背景に
▽ガソリンが前の年の同じ月と比べて22.4%、
▽灯油は36%、それぞれ上昇しました。

また
▽電気代は13.4%の上昇と1981年3月以来、40年9か月ぶりの上昇幅となり、
▽これらを含む「エネルギー」全体では、16.4%の上昇と、
2008年8月以来、13年4か月ぶりの大幅な上昇となりました。

一方、▽通信料は、携帯大手などの料金プランの値下げで53.6%下落し、指数全体を1.5ポイント近く押し下げていて、総務省はこの影響がなければ先月の消費者物価指数は単純計算で2%近い上昇になったとしています。

また、合わせて発表された2021年1年間の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が前の年と比べてマイナス0.2%となり、2年連続でマイナスとなりました。

総務省は「ことしの物価も、当面はエネルギーの値動きに左右される展開になりそうだ」としています。

「生鮮食品」も上昇で家計への負担大きく

12月の消費者物価指数は、家計に占める割合の高い野菜や魚介類などの「生鮮食品」も前の年の同じ月と比べて8%上昇し、エネルギー価格の高騰が要因の一つになっています。

このうち「生鮮野菜」では、農業用ハウスで使う重油の価格が高止まりしていることから、トマトが前の年の同じ月と比べて17.3%、上昇しました。

また「生鮮魚介」でも、海外からの輸送にかかる燃料価格の上昇で、マグロが16.4%値上がりしました。

生鮮食品を含む消費者物価指数の「総合指数」は、前の年の同じ月を0.8%上回っていて、家計への負担が大きくなっていることがうかがえます。

雪国の暮らしを直撃

ガソリンや灯油などの物価の上昇は、雪国で暮らす人たちの家計を直撃しています。

青森市に住むビジネスコンサルタントの植松宏真さん(34)は、賃貸アパートで夫婦2人で生活しています。

市内全域が特別豪雪地域に指定されている青森市。

雪国の暮らしには灯油が欠かせず、冬は家計に占める光熱費の割合が高くなりますが、この冬は例年より積雪が多く、暖房に使う灯油代や電気代が増えているといいます。

また、入居するアパートには深く積もった駐車場の雪を溶かすための設備が併設されていて、融雪に使う灯油代は部屋の暖房代とは別に、入居者が均等に負担することになっています。

アパートを管理する不動産会社によりますと、おととし12月の融雪設備の灯油代は入居者全体でおよそ6800円でしたが、積雪が多かった先月、12月はおよそ2万9000円と4倍以上に増えました。

現在、アパートには4世帯が入居しているため、植松さん夫妻の先月の負担額は7200円余りになっていて、積雪が増える今月は、さらに負担が増す見通しです。

このため、植松さんは家計簿アプリを使って日々の支出を管理し、食費を抑えるなどして家計をやりくりしているといいます。

また、外食を減らしたり、夫婦で在宅で仕事をする際には暖房をつけている1つの部屋に集まって、作業や生活したりしているということです。

植松さんは「アパートの灯油代は、雪の降り方によって費用が違ってくるので家計に余裕をもっておかなければいけませんし、原油価格が上がると、家計の計算がぶれてしまうので不安要素になっています。最初は灯油のストーブを使って、家の中が暖まってきたら比較的お金がかからないエアコンに切り替えたり、服をたくさん着たりして工夫しながらやりくりしています」と話していました。

専門家 “『悪い物価上昇』で格差拡大も”

今の物価上昇について、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「食品とエネルギーという買わなければ生きていけない生活必需品を中心に値上がりしていることが最大の特徴だ。消費に占める生活必需品の割合は所得の低い人ほど高くなるため、同じように物価が上がっても低所得の人のほうが負担感が増す傾向がある。このような物価上昇は格差の拡大につながりやすい」と指摘しています。

また「地方のほうが都市部より車での移動が多いほか、寒冷地では冬場の暖房需要も多くなるので、地方の寒冷地ではエネルギー高の家計への負担が、より増えてしまうことになる。中間層の所得が締めつけられる“スクリューフレーション”とも呼ばれる現象が進行する厳しい状況だ」と話しています。

そのうえで「物価上昇自体は持続しなければならないが、今の状況は家計の収入が増えずに所得が奪われる『悪い物価上昇』なので持続性がなく、またデフレに逆戻りするおそれもある。生活必需品の消費税の軽減税率を期間限定でもう1段階引き下げるなど、家計の負担を軽くして需要を喚起する対策が必要だと思う」と話しています。