自宅療養者の健康観察 保健所に代わり開業医が 都内

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、都内では、保健所の負担を減らすため、自宅で療養している人に医療機関が保健所に代わって健康観察を行う取り組みが始まっていますが、急増する発熱患者の外来やワクチンの接種に健康観察も新たに加わったクリニックでは、対応に追われています。

都内では、去年夏の第5波で保健所の業務がひっ迫して、自宅療養者への健康観察に遅れが出たことなどから、都は、保健所に代わって医療機関が健康観察を行う取り組みを今月から始めています。

健康観察を行っている東京 中野区の「みやびハート&ケアクリニック」では19日時点で、区内で自宅療養する患者およそ30人の健康観察を行っています。

医師や看護師が直接電話をかけ、体温のほか、息苦しさやけん怠感、それに味覚や嗅覚の有無など、18の項目について尋ねます。

1人の患者に対して原則毎日、10日間電話をかけて、健康観察の結果として保健所に報告しています。

このクリニックは一般の診療や訪問診療に加え、コロナの疑いがある患者を診る発熱外来を設けているほか、地域住民へのワクチン接種も毎日行っています。

このため、診療や接種の合間をぬって健康観察の電話をかけていますが、患者が出られないなど、すれ違うことも多いということです。

また、先月は1日に1人や2人だった発熱患者が、先週からは多いときで1日に40人ほど訪れることもあるなど、急増しているということです。

ここ数日は発熱患者の半数以上が陽性になる日が続いているということで、息つく暇もなく対応に追われています。

渡邉雅貴院長は、地域の医療機関が健康観察を行うことについて「保健所は重症患者に注力して、地域の医療機関が軽症・中等症の患者を担当するのは、よい役割分担だと思う。クリニックで診断を受けた患者は、顔色や状態がよくわかっている。患者も医師の顔が見えて、その後も同じ医師が診てくれているという安心感につながると思うので、われわれ開業医の出番だ」と話していました。