米 バイデン大統領就任から1年 支持率低迷 厳しい政権運営続く

アメリカのバイデン大統領は20日、就任から1年を迎えます。ただ、与党・民主党内の対立などから主要な政策が進められず、支持率も低迷し、国民の審判とも言える中間選挙をことし秋に控え、厳しい政権運営が続きそうです。

バイデン大統領はおととしの大統領選挙で過去最多の得票で当選し、去年1月の就任以来、新型コロナワクチンの普及や巨額のインフラ投資法案の成立を実現させたほか、外交では国際協調主義を掲げてトランプ前政権の「アメリカ第一主義」からの転換を図り、多くの国から歓迎されてきました。

しかし、去年8月、アフガニスタンからの軍の撤退をめぐる混乱をきっかけに支持を失い始め、新型コロナの感染拡大や記録的な物価上昇などを背景に、支持率はこれまでで最も低い水準に落ち込んでいます。

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、18日時点の各種世論調査の平均値で「支持する」と答えた人は40.9%にとどまり、調査会社「ギャラップ」によりますと就任後1年の支持率は40%と、第2次世界大戦後に就任した大統領の中ではトランプ前大統領に次いで2番目に低くなっています、与野党の勢力がきっ抗する議会では、与党・民主党内でも中道寄りの一部の議員と急進左派が対立し、バイデン大統領が看板政策として掲げた大型の歳出法案などを成立させられない状況で、国民の審判とも言える中間選挙を11月に控え、厳しい政権運営が続きそうです。

世論調査 国民の不満高まる

大手調査会社ユーガブとアメリカのCBSテレビが今月行った世論調査では、バイデン大統領に対する国民の不満が高まっていることがうかがえます。

バイデン大統領についてどう思うかを複数回答で聞いたところ「いらだちを感じる」が50%、「失望している」が49%だった一方、「満足している」は25%にとどまっています。

政策ごとに見ますと、新型コロナウイルスへの対応について評価するとした人は去年3月は67%でしたが、今月は49%まで下がっています。

また、経済への対応については「支持する」が38%だったのに対し、「支持しない」は62%に上っています。

さらに、大統領を「支持しない」とした人にどうすれば支持するか尋ねたところ、「インフレの抑制」を挙げた人が63%に上った一方、政権が看板政策と位置づける「大型歳出法案の成立」を挙げた人は24%にとどまり、国民の不満に政権が対応し切れていない現状が浮き彫りとなっています。

調査会社「ギャラップ」の世論調査では、無党派層の支持率の低下が顕著で、去年1月は61%だったのが今月は半分近い33%に下がっています。

バイデン大統領は2020年の大統領選挙での得票が8100万票余りと過去最多の票を集めましたが、「ギャラップ」の調査では就任1年を前にした支持率は40%と、第2次世界大戦後に就任した大統領の中ではトランプ前大統領に次いで2番目に低く、厳しい政権運営を強いられています。

労働組合 物価高騰などへの対応不十分

バイデン大統領のこの1年の仕事ぶりについて、東部ペンシルベニア州にある労働組合の人たちに話を聞いたところ、物価の高騰などへの対応が不十分だとして、厳しい意見が相次ぎました。

ペンシルベニア州はかつては重工業が栄えた、ラストベルトと呼ばれる地帯の一部を成し、大統領選挙ではしばしば勝敗の鍵を握る州となります。

なかでも労働組合は、伝統的に民主党の支持基盤ですが、トランプ氏の登場以降、多くの白人労働者がトランプ支持に流れ、支持が割れています。

今月中旬、大都市ピッツバーグにある建築関係の労働組合の会合を訪ね、話を聞きました。

無党派だという塗装工の男性は「あらゆる物価が上がっています。以前より収入は増えましたが、生活のためにもっと多くのお金が必要です。バイデン大統領にはとにかくインフレを収束させてほしい」と話していました。

ガラス工の男性は「おととしの大統領選挙では、トランプ氏の再選を阻むためにバイデン氏に投票しましたが、バイデン氏は重要法案を通せていないし、何も成し遂げていません。経済状況はいいとは言えず、医療費も高騰しています」と、不満をあらわにしていました。

また、組合スタッフの女性は「バイデン大統領は労働者への約束を果たそうと一生懸命にやっていると思います。ただ、もっと成果を見せてほしい」と話していました。

この労働組合のジョセフ・ヒューズ部長は「バイデン大統領は最も労働組合寄りの大統領の1人ですが、労働者が心配しているのは目の前の生活です。支持率が低迷しているのは、人々が具体的な成果を実感できていないからだと思います」と話していました。

民主党 政治コンサルタント「コロナと経済が原因」

与党・民主党の政治コンサルタントを務めるケビン・ウォーリング氏はNHKのインタビューに対し、バイデン大統領の支持率が低迷している理由について「新型コロナウイルスの危機と、経済をめぐる問題が直接の原因だ」と分析しました。

そして、ことし11月に行われる中間選挙に向けては「これから300日間のアメリカ経済の状態が最も重要になる。インフレをコントロールできるかどうかにかかっている」と述べて、現在の記録的なインフレを抑制することができれば、バイデン政権への有権者の支持も取り戻せるという見方を示しました。

そのうえで、先鋭化するアメリカ社会の対立をバイデン大統領が和らげることはできるかとの質問に対して、ウォーリング氏は「われわれはいま、ひどく分断された国に身を置いている。恐怖や怒りが渦巻いており、新型コロナがそれを表面化させた。残念ながら、どんな政治家であっても、いい方策を示して人々を1つにできるとは思えず、それは生涯をかけて国に奉仕してきたバイデン大統領でも同じだ」と述べ、融和を図ることの難しさを指摘しました。

一方、トランプ前大統領の中間選挙を念頭に置いた動向については「トランプ氏は、議会の本選挙で誰なら勝てるかではなく、自分の考えにどれだけ近いかで候補者への支持表明をしている」と指摘し「共和党内でどれだけトランプ氏への支持が力強いものでも、小さな器の中だけで戦っていては最終的に選挙では勝てない」と述べ、劣勢が伝えられている民主党の側が、無党派層などの支持を得て、中間選挙で議席を増やす可能性はあるとの見方を示しました。