国会 各党の代表質問始まる 首相 “重点措置”の判断変更せず

国会では、19日から岸田総理大臣の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まりました。
立憲民主党の泉代表が、オミクロン株の特性を踏まえ「まん延防止等重点措置」などを適用する要件の見直しを求めたのに対し、岸田総理大臣は、医療体制のひっ迫度などを踏まえた総合的判断を変更する考えはないと述べました。

衆議院本会議で行われた19日の代表質問では、自民党と立憲民主党が質問に立ちました。

立民 泉代表

立憲民主党の泉代表は、政府の新型コロナ対策について、「まん延防止等重点措置などの発令要件もオミクロン株以前の感染力を想定しており、見直しを速やかに行うべきではないか。感染症危機に備えた官邸の司令塔機能の強化は、悠長に6月をめどにと演説したが、遅すぎて驚いている」とただしました。

岸田総理大臣は「専門家の意見を踏まえ、現在の医療体制のひっ迫度に重点を置くレベル分類を踏まえた総合的判断という考え方は変更しない。6月をめどに、迅速、的確に危機に対応するための中長期的観点から必要な対応を取りまとめるが、客観的に検証するためには必要な期間だ」と反論しました。

また、泉氏は、岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」について「中身が依然不明なままだ。新年度予算案を見ても、これまでの政策の焼き直しだ」と批判しました。

一方で「私たちは、持続可能な日本を実現するため所得の再分配、地方への分配、将来への分配という『3つの分配』を提案する」と述べました。

岸田総理大臣は「アベノミクスなどの成果のうえに、市場・競争にすべてを任せるのではなく、官と民が協働して、成長と分配の好循環を生み出していく。市場の失敗や外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略の両面から資本主義の中に埋め込み、資本主義がもたらす便益を最大化する」と述べました。

自民 梶山幹事長代行

自民党の梶山幹事長代行は、政府の新型コロナ対策について「国内外でオミクロン株の感染が急拡大しつつあり、国民の間にも新たな不安が広がり始めている。諸外国と比べた国内の感染状況、水際対策や国内対策について改めて説明してほしい」と求めました。

岸田総理大臣は「これまでG7=主要7か国で最も厳しい水準の水際対策により、国内感染の増加に備える時間を確保することができた。拡充してきた医療提供体制をしっかり機能させ、病床がひっ迫するような緊急事態にならないよう、各都道府県との密接な連携のもと、高い警戒感を持って対応にあたっていく」と述べました。

また梶山氏は、相次ぐ北朝鮮の弾道ミサイルの発射に関連し「既存の秩序をめぐる不確実性が増大する中で、軍事のみならず政治・経済・情報も含めた国家間のハイブリッド戦への対応が求められている」と指摘し、安全保障に対する基本姿勢を問いました。

岸田総理大臣は、「北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されず、ミサイル技術の著しい向上を見過ごすことはできない。国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識のもと、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化する」と述べました。

さらに、梶山氏は新しい資本主義について「岸田総理大臣は、新しい資本主義を通じて生み出された利益を適切に分配し、次の消費や新たな需要を生み出し、さらなる供給力強化につなげる好循環を目指しているが、あらゆる政策手段を通じて賃上げを実現させることが必要だ」と述べ、今後の取り組みを問いました。

岸田総理大臣は「成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現する要となるのが、賃上げや人への投資をはじめとする分配戦略だ。賃上げ税制の拡充、公的価格の引き上げに加え、中小企業が原材料費の高騰で苦しむ中、適正な価格転嫁が行えるよう環境整備を進めるとともに、最低賃金の見直しにも取り組む」と述べました。

立民 小川政調会長

立憲民主党の小川政務調査会長は、岸田総理大臣の政治姿勢について18歳以下への10万円相当の給付をめぐる対応などを例に「一見柔軟、しかし結果的に朝令暮改の対応は総理の決定の重みを失わせ、信頼が揺らいでいる。大切な決定はよく熟考・熟慮を重ねる必要がある」とただしました。

岸田総理大臣は「山積する課題にスピード感を持って決断し、対応してきた。自治体や当事者の声に丁寧に耳を澄まし、方針変更すべきと判断したことは思い切ってかじを切ることもあった。大切なことは国民にとって最善の対応をとることだ」と述べました。

一方、質疑の中で、国の統計の中でも特に重要な「基幹統計」のデータの書き換え問題について岸田総理大臣は「統計作成上の課題や問題を抽出し、基幹統計の集計プロセスを点検するとともに、再発防止策やデジタル化、人材育成などの公的統計の改善策を取りまとめる。関係閣僚に対し、統計の信頼回復に向けて全力で取り組むよう指示する」と述べました。
代表質問は、20日は衆参両院で行われます。