総合病院が患者に入院延期を要請 医療従事者感染拡大に備え

オミクロン株による新型コロナウイルスの感染拡大で、医療従事者が感染するなどして職場を離脱せざるをえなくなり、医療に影響が出ることが懸念されています。
神奈川県内にある総合病院では、そうした事態に至る前に、新型コロナや救急の対応にあたる医療スタッフを確保するため、緊急性が比較的低い患者に入院の延期を要請する対応を始めました。

神奈川県海老名市にある海老名総合病院は、新型コロナの主に中等症や軽症の患者を受け入れる病床が22床あり、19日朝の時点で9人が入院しています。

病院では今後、コロナ病床を38床まで増やす予定ですが、18日の時点で看護師などで感染者や濃厚接触者になって勤務できない人が11人に上っており、業務が継続できない事態になるのを防ぎ、コロナや救急の対応にあたる医療スタッフを確保するため、感染対策を徹底するとともに、今週から緊急性が比較的低い患者46人に入院の延期を要請する対応を始めました。

病院では、去年夏の感染の第5波で入院患者と職員合わせて87人が感染する大規模なクラスターが発生し、およそ2週間にわたってすべての診療科の受け入れを中止したこともあり、今回、影響を最小限にとどめたいとしています。
小泉正樹副院長は「患者さんに手術の延期などをお願いするのは心苦しいが、命に関わる救急医療を譲れない一線として守るために打てる手は打っていきたい」と話しています。

介護施設のBCP対策 運営会社が現場支える仕組み

介護施設を運営する会社は、スタッフが出勤できなくなった場合に備えて、BCP=事業継続計画で現場を支える仕組みをつくっています。

東京 品川区に本社がある、全国でおよそ450の介護施設を運営する会社は、感染拡大を受けてBCP=事業継続計画を見直しました。

それによりますと、スタッフが感染したり濃厚接触者になったりして出勤できなくなった場合に備えて、6つのエリアごとにスタッフを相互に応援に派遣し、それでも確保が難しいときは本社の社員を向かわせます。

本社では介護現場での実務経験や資格を持っているかなどの基本情報をもとに、現場で必要とされる人材を派遣するということです。

このうち、コールセンターで働く男性社員は、10年以上の実務経験があり、介護福祉士の資格も持っていて、これまでにも感染者が出て人手が足りなくなった施設に応援に入ったことがあるということです。

男性は「現場が困っているのは十分承知しているので、お手伝いしたい」と話していました。

「SOMPOケア」の飯田博之 理事特命部長は「入所者の生活を守りながら感染予防を徹底するため、できるかぎり想定できることを準備して、現場を止めないことを大切に対応していきたい」と話していました。

本社の社員が応援に駆けつける仕組みについて、東京 大田区の介護付き有料老人ホームの西脇勝治ホーム長は「この施設では感染者は出ていませんが、気を緩められない状況が続いています。現場と本部が一体感をもって対応していきたい」と話していました。