大阪 “感染者の増加ペース予想以上 今後2倍 3倍にも” 専門家

大阪府内で一日に新たに感染が確認された人の数が初めて5000人を超えたことについて、国立感染症研究所の客員研究員で新型コロナ患者の治療にあたっている大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「患者数の増加ペースが予想以上に速い。感染者数は来週、再来週にかけて2倍、3倍になってもおかしくない状況だ」と危機感を示しました。

さらに、大阪府内の検査の陽性率が1週間の平均で18%を超え、増加傾向にあることについて「高い数値ですべての感染者を把握し切れていないと考えるべきだ。発症して把握できている人だけを隔離したり入院させたりしても、この流行はなかなか止まらないかもしれない」と懸念を示しました。

今後の見通しについては「このままのペースで感染者が増えれば、濃厚接触者として自宅待機する人も多数出る。医療機関ではスタッフの感染によって、すでに診療に影響が出始めていて、今後の感染状況によっては社会機能がまひする事態にもなりかねない」としています。

そのうえで安井医師は「今、われわれが行動を改めて感染対策をさらに強化したとしても、その効果があらわれるには2、3週間かかる。今すぐに、できる範囲で人の移動や行動制限を少しでも始めてほしい」と呼びかけていました。

そして、大阪府内で自宅療養者や入院調整中の人が1万9000人を超えていることを挙げ「去年の第4波の時のように自宅療養者の状況を十分把握できず、重症化してから病院に運ぶような状況は避けなければならない。重症化のリスクがある人を速やかに特定して必要な治療を行う態勢を作ることが最も重要だ」と指摘しました。

また、オミクロン株の患者への効果が期待されている「ソトロビマブ」という点滴薬の使用が高齢者などに限られていることについては「オミクロン株の軽症と中等症の患者には最も効果が期待できる薬だが年齢などの制限があり、若い人などに簡単に使える状況にない。もう少し間口を広げ、外来や訪問診療などでも使いやすいようにしてほしい」と訴えていました。