東京23区のごみ収集 作業員が感染しても停止しない準備進める

都民の生活に欠かせない東京23区のごみを処理する清掃工場では、去年、新型コロナの第5波で多数の作業員が感染し、欠勤せざるをえない状態になりました。今、感染が再び急拡大するなか、すでに作業員6人の感染が確認されていて、第5波より多い感染者が出ても工場をストップさせないため、補充人員を事前に決めてリスト化するなど準備を進めています。

東京23区では、家庭ごみや事業所から出る一般ごみを「東京二十三区清掃一部事務組合」の21か所の清掃工場で焼却処分していて、持ち込まれるごみは一日平均8000トンに上ります。

「清掃一部事務組合」によりますと、感染が急拡大した去年の第5波では、工場の作業員など45人が感染しました。

感染拡大を防ぐため防護服を着るなど対策したため、クラスターは発生しませんでしたが、濃厚接触者となった作業員も欠勤せざるをえず、最大で一日8人が欠勤しました。

工場は多くが自動運転ですが、設備の制御や点検のために、1つの工場で一度に3分の1以上の作業員が欠勤すると稼働が難しくなるといいます。
このため「一部事務組合」では、それぞれの工場の「応援者リスト」を策定しています。

工場によって、設備の制御や点検のしかたが違うことから、リストでは、その工場で勤務経験がある人をほかの工場や組合の本部から洗いだしていて、欠勤者が出た場合、すぐに補充できるようにしています。

今回の感染の急拡大では、17日の時点で、すでに作業員6人の感染が確認されたということで「一部事務組合」では、オミクロン株の感染力を考慮して第5波の4倍近い感染者がでることを想定して準備を進めています。

1つの工場が止まっても、別の工場でごみを代わりに受け入れるため、すぐに収集が止まるわけではないということですが、半分以上の工場が1週間以上止まると、収集を停止せざるをえないこともあるということです。
「東京二十三区清掃一部事務組合」の古舘陽総務課長は「第5波では保健所からすぐに情報がこないときに自分たちで判断して、感染者と接触のあった作業員に自宅待機してもらった。しかし、それを続けると、どんどん職員がいなくなり仕事ができなくなるので悩ましかった。例えば、感染した人が鼻をかんだティッシュを捨てて処理されないと、さらに感染が広がる要因になる。感染症が世界に広がったときこそ、なくてはならない仕事なので、今の時点でできることを考えて対応していきたい」と話していました。