皇居で新春恒例の「歌会始」 お題は「窓」 1万4000首近く

新春恒例の「歌会始」が18日、皇居で行われました。

ことしの「歌会始」のお題は「窓」で、全国と海外から合わせて1万4000首近くの短歌が寄せられました。

ことしも皇居 宮殿で、去年同様、陪聴する人の数を大幅に減らし、歌を詠み上げる人にフェイスシールドをつけてもらうなど、感染防止対策を徹底して行われました。

はじめに入選した10人の歌が天皇皇后両陛下や皇族方の前で、古式にのっとって披露されました。

このうち、富山県南砺市の西村忠さん(85)は、県内で春先に見られる美しい光景と人々の営みに思いをはせて「剱岳 三ノ窓より 朝日さし 富山平野に 田植はじまる」と詠みました。

また、東京 港区の主婦、川坂浩代さん(55)は、コロナ禍で人と自由に会う機会が減る中で感じた日常の尊さを「パソコンの 小さき窓に それぞれの 日常ありて 会は始まる」と詠みました。

続いて皇族方の歌が披露され、秋篠宮ご夫妻の次女の佳子さまは、秋のある日、部屋の窓を開けると、金もくせいの甘い香りが風に乗って漂ってきた時のうれしい気持ちを「窓開くれば 金木犀の 風が入り 甘き香りに 心がはづむ」と詠まれました。

秋篠宮さまは、感染拡大の影響が多くの学校でも続いた中、校庭で児童や生徒が元気に過ごす姿を目にし、ひとときの安心感を覚えた時のことを「窓越しに 子ら駆け回る 姿を見 心和みて くるを確かむ」と詠まれました。

皇后さまは、上皇ご夫妻に代わって暮らし始めた皇居の「御所」からの大きな木々の眺めを、ご夫妻への感謝の気持ちを新たにしながら「新しき 住まひとなれる 吹上の 窓から望む 大樹のみどり」と詠まれました。
最後に天皇陛下の「世界との 往き来難かる 世はつづき 窓開く日を 偏に願ふ」という歌が詠み上げられました。

天皇陛下は、去年に続いて感染拡大の収束を願う気持ちを詠み、大きく落ち込んでいる世界との人々の往来が再び盛んになる日の訪れを願われました。

来年の歌会始のお題は「友」で、「友」の文字が詠み込まれていればよく、「友人」や「友好」のような熟語にしてもかまいません。

作品は、18日から9月30日まで受け付けられます。

愛子さま 初めての歌 寄せられる

先月、20歳の誕生日を迎え、成年皇族となった天皇皇后両陛下の長女の愛子さまは、歌会始に初めて歌を寄せられました。

愛子さまは、学習院の中等科や高等科のころ、学校の課題で歌を詠んでいたということで、お題の「窓」を詠み込んで「英国の 学び舎に立つ 時迎へ 開かれそむる 世界への窓」と歌にされました。

この歌は、愛子さまが、学習院女子高等科の2年生の夏休みにイギリスでサマースクールに参加された時のことを詠まれたものです。

初めて外国の学校を訪れ、歴史の重みを感じさせる建物を前にした時、今、ここから世界が開かれようとしていると、イギリス滞在への期待に心を弾ませた気持ちを歌にされたということです。

側近の1人は「20年間の中で、いちばん印象深かったことをお詠みになったのではないか」と話しています。

愛子さまは、学習院大学の学業を優先し、18日の歌会始への出席は控えられました。

入選者の声

富山県南砺市の西村忠さん(85)
「大変光栄に思っております。私の詠んだ歌が富山県民の皆さんにも喜んでいただけるならば大変うれしく思います。この年になって皇居へ足を運ばせていただけるなんて全く夢のようで、ようやく親孝行が1つできたかなと思っております」
東京 三鷹市の伊藤奈々さん(41)
「とても緊張しましたが、非常に貴重なものを拝聴でき、貴重な体験をさせていただきました。歌会始のあと、両陛下と懇談した際、私の子どもの話になり、皇后さまから『どんな遊びが好きですか』と尋ねられ、『かくれんぼです』とお答えしました。お二人はずっとニコニコされて、すごく丁寧に話を聞いて下さろうとしている気持ちが感じられて、申し訳ないぐらいの気持ちになりました」
東京 新宿区の三浦宗美さん(68)
「いまだに少し信じられないところがあり、両陛下や皇族方の前で歌が歌われたことはとてもありがたかったですが、この感動はもう少しあとになってから湧いてくるんじゃないかという気がします。亡くなった夫のことを歌に入れていて、歌会始のあと、皇后さまから『きっとご主人はどこかで見てらっしゃるんでしょうね』とおっしゃっていただきました。両陛下は、とても穏やかであたたかい、包み込まれるようなお人柄だと感じました」
福岡県久留米市の高木典子さん(84)
「長年続けてきましたけれど、ことしもたぶんだめだろうとなかば諦めていましたが、思いがけなく入選いたしまして望外の喜びでございます。歌会始のあとの懇談で、両陛下に私の出身の宮崎の美しい海のことを話したら、皇后さまが『私も行きました』と嬉しそうに話してくださいました」
福岡県春日市の田久保節子さん(81)
「自分の歌が皇居で披露されるなんて夢にも思っていませんでしたので、歌会の最中も本当に夢のような気持ちで座っておりました。歌会始のあと、天皇陛下が『様子が目に見えるような歌ですね』と言って下さり、私が『テントウムシもここで詠んでもらってびっくりしていると思います』と話すと、皇后さまと2人で笑ってくださいました」
香川県小豆島町の藤井哲夫さん(78)
「知人から川柳じゃないのと言われるようなくすっとするような歌が多いので、まさか私が選ばれるとは思いもしませんでした。いちばんびっくりしているのは私自身だと思います。島から出るのは2年ぶり、東京に来るのはもう10年以上ぶりで、都会の真ん中の別世界に来て驚きでいっぱいです」
青森市の高橋圭子さん(60)
「10回目の詠進でやっとこの日が来て、ただただ光栄でありがたいです。歌を出し始めた時は父が闘病中で、私が皇居に連れて行くと話していました。もう亡くなったんですが、天皇陛下から『いい報告ができてよかったですね』と声をかけていただきました。懇談の最後に両陛下から一人一人に『お元気で』とおっしゃっていただき、国民のことを考えておられるんだなと思いました」