新型コロナ オミクロン株 患者のゲノム解析で見えたものは…

急速に感染が拡大する「オミクロン株」。
ウイルス学が専門の東京医科歯科大学の医師が、オミクロン株の入院患者のゲノム解析を行ったところ、同じオミクロン株でも変異箇所が一部異なる複数の種類があったほか、デルタ株でみられた肺炎を起こしやすくするとされる変異と同じ箇所での変異が今回の患者でも確認されたということです。
医師は、「オミクロン株が重症化しないと結論づけるのは時期尚早で、まだ慎重に見る必要がある」と指摘しています。

ウイルス学が専門で、新型コロナの遺伝子解析を進める東京医科歯科大学の武内寛明准教授は、オミクロン株の入院患者4人のゲノム解析を行いました。

その結果、いずれも南アフリカやヨーロッパ、アジアで広がっているものではなく、北米で広がっている系統だったということです。

ただ、同じ北米の系統でも、変異箇所が一部異なる2種類にわかれたということで、武内准教授はオミクロン株は絶えず変異を続けていて、日本でどの系統が主流になるか分析していく必要があるとしています。

武内准教授は、「どこで流行したものが流入し、主流となるのかわかれば、空港の検疫態勢でメリハリがつけられる。治療法も、基本的な情報を得ることが可能になり、治療薬や治療法の選択にもつながる情報になる」と話しています。

オミクロン株の症状は…

また、オミクロン株の症状はどこまで分かっているのか。

武内准教授によりますと、デルタ株で、肺の炎症を起こしやすくするとされる、「P681R」の変異と同じ箇所での変異がオミクロン株の患者にもみられ、「P681H」という変異が確認されたということです。

この変異箇所は、動物を用いた研究で肺炎を起こしやすいという結果が出ているということです。

武内准教授は、「オミクロン株でも、肺の炎症度に関わるとされる部位に変異が入っている。オミクロン株でも基礎疾患があるなど、一定のリスクを持っている方たちには、同等に症状が出てくる可能性は十分考えられる。必ずしもオミクロン株が重症化しない、しにくいと結論づけるのは時期尚早で、まだ慎重に見る必要がある」と指摘しています。